1級ファイナンシャル・プランニング技能士実技試験(FP協会主催)勉強の備忘録です。
今回は不動産運用設計に出てくる建蔽率・容積率絡みの計算問題について書いていきます。
ご注意
この手の記事は執筆時点の情報をもとに書いています。
法改正などで情報が古くなっている可能性もありますのでその点はご了承下さい。
あと私も勉強中につきシンプルに間違っているということもありえます。
その際はTwitterなどでご指摘いただければ頑張ってすぐ直すようにします。
2つの用途地域にまたがる土地の建蔽率計算
さっそく例題です。
・例題
下図の土地にかかる建築面積の最高限度は何平米になる?
※近隣商業地域の建蔽率:8/10
準住居地域の建蔽率 :6/10 とする
※記載のない条件については一切考慮しないものとする

この問題は「建物を建てようとする土地が建蔽率の異なる地域にまたがっているときはどうするのか?」というものです。
結論から言うと、それぞれの面積に対して建築面積限度を求めて足すだけです。
やってみましょう。
まずは準住居地域から。
84㎡ × 6/10 = 50.4㎡
次に近隣商業地域。
96㎡ × 8/10 = 76.8㎡
これを足すだけです。
50.4 + 76.8 = 127.2㎡
が答になりますね。
これはそれぞれの面積を足すということで覚えておけば大丈夫かと思います。
スポンサーリンク
防火地域・準防火地域の建蔽率補正絡みの問題。
続いては、防火地域や準防火地域の建築面積上限を求める問題です。
ここで覚えておくべきことは、
防火地域で耐火建築・準防火地域で準耐火建築の建物を立てると、建蔽率8/10以外の場合に建蔽率が1/10緩和される
というシステムです。
他の条件は大体設問に提示されるのでなんとかなりそうな感じですね。
では例題です。
・例題
下図の土地にかかる建築面積の最高限度は何平米になる?
なお、いずれの区域も準防火地域であり、準耐火建築物を建てるものとする。
※第一種住居地域の建蔽率:5/10
第二種住居地域の建蔽率:6/10 とする
※記載のない条件については一切考慮しないものとする

この問題は1問目のやり方と上で述べた準防火地域の準耐火建築物の緩和措置を覚えていれば簡単に解けます。
まず、それぞれの地域における緩和後の建蔽率は、
第一種住居地域:5/10 + 1/10 = 6/10
第二種住居地域:6/10 + 1/10 = 7/10
となりますので、それぞれの面積にこれらをかけて合計するだけです。
左側 → 84 × 6/10 = 50.4(㎡)
右側 → 96 × 7/10 = 67.2(㎡)
合計 117.6㎡
となります。
ちなみに、特定の行政庁が指定する角地についても建蔽率が1/10緩和されますので、こちらも覚えておきましょう。
特定道路につながる土地の容積率緩和絡みの問題。
続いては容積率を求める問題です。
延べ面積を問われる形が主ですが、基本的には「土地の面積 × 容積率」で求めます。
その中でちょっとややこしい「特定道路につながる土地の延べ面積」を計算する問題です。
・例題
下図の土地における土地に建築物を立てる場合の延べ面積の上限は?
※用途地域は第一種住居地域、指定容積率は 30/10 とする。
※計算途中に端数が出る場合、小数点以下2位を切り捨てること。

<特定道路までの延長距離に応じて求められる数値を当該前面道路の福音に加算する場合の計算式>
- 前面道路の幅員:W
- 特定道路までの距離:L
- 前面道路幅員に加算できる値 = (12 – W) × (70 – L) ÷ 70
この問題で使われるルールは2つ、
- 前面道路が幅員12m未満の場合は、全面道路の幅員に、住居系は4/10・他は6/10をかけた数字と指定容積率を比べて小さい方の数字を延べ面積の上限とする。
- 幅員15m以上の特定道路につながる前面道路幅員6~12mの土地は、その距離に応じて容積率が緩和される
というものです。
ともあれ式に数字を入れていきましょう。
「W」はその土地の前面道路の幅員なので6(m)ですね。
「L」はそこから特定道路までの距離なので58(m)です。
なので加算できる数字は、
(12 – 6) × (70 – 58) / 70 = 1.02857… → 1.02
これを前面道路幅員に加算できるので、延べ面積を求める式の中での前面道路幅員数値は7.02 ということになります。
これを幅員12m未満の式に当てはめると、
7.02 × 4/10 = 2.808 → 2.80
2.8 < 30/10(指定容積率)なので、延べ面積の計算には2.8を使います。
この数字を土地の面積にかけるだけなので、
120 × 2.8 = 336(㎡)
が答となります。
スポンサーリンク
建築面積・延べ面積計算のまとめ。
- 建築面積は建蔽率、延べ面積は容積率をそれぞれ土地面積にかけて算出する。
- 2つの用途地域にまたがった場合は、それぞれの面積に応じて按分する。
- 防火地域で耐火建築、準防火地域で準耐火建築の場合建蔽率が緩和される。
- 1/10緩和されるが、元々の建蔽率が8/10の地域は対象外。
- 特定行政庁指定の角地でも1/10の緩和が受けられる。
- 前面道路が12m未満の場合指定容積率ではなく、4/10(住居系)または6/10(その他)に前面道路幅員(m)をかけた数字と指定容積率を比べて小さい方の数字が容積率となる。
- 幅員15m以上の特定道路につながる、前面道路幅員6~12mの土地は特定道路までの距離によって容積率が緩和される。
こんな感じです。
1級FPの学科試験や、CFP科目試験の不動産を通って間もない方であれば特に難しいことはないと思います。
中には科目試験通過してから20年近く経って忘れている方もいるかも知れませんので、そういった方々の参考になれば幸いでございますよ。
以上です!
