私は現在AFP資格を保持しており、17~18年前にCFPの4科目を合格していました。
その後惰性でFP協会の年会費を払い続けていたのですが、今更ながらもったいないと思いランニングコストのかからない1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格取得を目指すことにしました。
今回はその実技試験に向けた勉強の過程を書いていこうかと思います。
おじさんの備忘録ではありますがお付き合いいただければ幸いでございますよ。
ご注意
この手の記事は執筆時点の情報をもとに書いています。
法改正などで情報が古くなっている可能性もありますのでその点はご了承下さい。
あと私も勉強中につきシンプルに間違っているということもありえます。
その際はTwitterなどでご指摘いただければ頑張ってすぐ直すようにします。
Contents
6つもある係数。結局どれ使うのよ?
さて今回は、資金計画の際に使うことになる6つの係数のお話です。
FP的な考えでは、資金計画は基本的に複利運用を行うという前提に立って行っていきます。
その複利計算の際に使う係数は6つもあるのでどの場面でどれを使うかを問われることになるわけですね。
そして設問には大体使わない係数も含めて6つ全て与えられます。
ここをどれだけ正しく選べるかが鍵になってきそうです。
ではそれぞれ見ていきますね。
手元資金だけ運用するときに使う基本ペア、終価係数と現価係数。
まずは6つの中で基本となる(というかシンプルな)係数がこの2つです。
終価係数は「今持っているお金を複利運用したとき最終的にいくらになるか知りたい」ときに使う係数です。
・例題
手元に200万円あり、年利2%で10年間複利運用したらいくらになる?
※税金等は考慮しないものとする。
終価係数(10年・2%):1.21899
実際は6つ全ての係数が複数年・複数利率で提示されますが割愛します。
この場合、手持ちの200万円に終価係数1.21899をかけることで最終的な金額(運用結果)が算出されます。
2,000,000×1.21899=2,437,980(円)
が答えです。
難関はどの数字を選ぶかなんですが問題はあの手この手で悩ませてきます。
終価係数は「元手のまとまった金額にかけて運用結果を求めるとき」に使う
と覚えておきましょう。
ちなみにこんな問題で終価係数を正しく選択する自信がない場合、近似値を電卓で求めることが可能です。
複利計算の計算式は
運用結果 = 元手 × (1 + 年利率)年数
となっているので、元手に掛ける前の数字 (1+年利率)年数 とほぼ同じ数字が記載されている係数を選べばOKです。
電卓で出た結果をそのまま使っても多分問題ないと思いますが、問題の正解は提示された係数での計算結果となりますので、端数処理などの際にズレてしまう可能性を考えると近似値を記載した係数を用いたほうが安心です。
ちなみに(2回目)、SHARP製の電卓をご利用の方は簡単に係数の近似値を計算することができます。
やり方は、「1に年利率を足した数字(例題の場合1.02)」→「×」→ 年数-1の回数だけ「=」を押す(例題の場合は9回)だけです。
上の例題の場合「1.21899441997」と出てきますね。
長くなりましたが終価係数はこんな感じです。
一方の現価係数は終価係数とは逆で、「将来必要な金額にするために必要な元手はいくらか知りたい」ときに使う係数です。
・例題
10年後に200万円必要、年利2%で運用するとしたら元手はいくら必要?
※税金等は(ry
現価係数(10年・2%):0.82035
この場合だと
2,000,000 × 0.82035 = 1,640,700(円)
が答になりますね。
現価係数は「将来必要な金額にかけて今必要な元手を求めるとき」に使う
と覚えておくといいでしょう。
こちらの現価係数についても実は計算で求めることができます。
簡単に言ってしまうとこの現価係数は終価係数の逆数となっているため、
1 ÷ (1 + 年利率)年数
で近似値を求めることができます。
SHARP製の電卓を使う場合には「(1+年利率)」→「×」→「=」を年数-1回押す→「÷」→「=」と押してみて下さい。
例題の場合だと
「1.02」→「×」→「=========」(ここまでで終価係数)→「÷」→「=」ですね。
電卓には「0.82034829989」と出てくるはずです。
あとは終価係数と同じように近い値が記載されている係数を選べばOKです。
そして現価係数が終価係数の逆数であることから、
現価係数をかける ≒ 終価係数で割る(逆も然り)
となり、ぶっちゃけどちらかが使えればだいたい合うことになります。
ただしやはり端数処理などで数字がズレる可能性はありますので、両方きちんと使えるほうがいいのは当然ですので緊急時用として頭の片隅に入れる程度でいいと思います。
正直残りの4つがすごくわかりにくくて覚えきれない僕が緊急避難として使いまくってるんだ…。
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積立に使うペア、年金終価係数と減債基金係数。
次は「積立」というワードが出てきたときに使う可能性が高い係数です。
まず年金終価係数は「一定金額を一定期間、一定利率で積み立てたときの最終的な元利合計金額」を計算するために使います。
はい、よくわかりませんね。
期間と利率は設問内の条件として与えられていることがほとんどなので、この係数は積立金額が確定しているときに使います。
つまり、
年金終価係数は「積み立てる金額にかけて最終的な運用結果を求めるとき」に使う
ことになります。
・例題
毎年20万円を、年利2%で複利運用しながら10年間積み立てたら最終的にいくらになる?
※税金等は(ry
年金終価係数(10年・2%):10.94972
この場合は、
200,000 × 10.94972 = 2,189,944(円)
となりますね。
ちなみに年金終価係数に関しては電卓で計算しようとするとめちゃくちゃ面倒なので触れません。
一方の減債基金係数は「将来的に必要な金額に対し一定期間、一定利率で運用するとしたら毎年積み立てるべき金額」を計算するときに使います。
こちらも期間と利率は与えられるので、
減債基金係数は「必要な金額にかけて積み立て必要金額を求める」ときに使う
ということになります。
・例題
10年後にどうしても200万円欲しい。年利2%で複利運用しながら積み立てるなら毎年いくら積み立てたらいい?
※計算結果の1万円未満は切り上げること
※税金(ry
減債基金係数(10年・2%):0.09133
この場合は、
2,000,000 × 0.09133 = 182,660
→1万円未満切り上げのため 19万円
ということになりますね。
この2つの係数は「積み立てる」をトリガーにしてペアで覚えておくといいでしょう。
関係としてはやはりこの2つは逆数となりますので、ペアで覚えきれていない場合は片方を踏み台にして逆数を電卓で出した近似値から係数をみつけて使うことも可能は可能です。
取り崩しのときに使うペア、年金現価係数と資本回収係数。
最後のペアはこの2つです。
厄介なことに、一見ペアっぽく見える年金現価係数と年金終価係数がペアではないというところがポイントです。
年金現価係数は「一定利率で運用しながら一定期間一定金額を取り崩して受け取るために必要な金額」を計算するのに使う係数です。
これも利率と期間は与えられますので、
年金現価係数は「取り崩す金額にかけて必要な元手を求める」ときに使う
ことになります。
・例題
毎年200万円を2%で運用しながら15年間取り崩していくのに必要な金額はいくら?
※計算結果の1万円未満は切り上げること
※税金(ry
年金現価係数(15年・2%):12.84925
この場合だと、
2,000,000 × 12.84925 = 25,698,500
→1万円未満切り上げなので 2570万円
となりますね。
これに関しては電卓で計算する方法があるのかも不明なので当然触れません。
一方の資本回収係数は「手元にある金額を一定利率で運用しながら一定期間取り崩すときに1回あたり受け取れる金額」を計算するときに使います。
これも利率と期間は与えられますから、
資本回収係数は「今ある元手にかけて1回あたりに取り崩せる金額を求める」ときに使う
ということですね。
・例題
手元にある3000万円を2%で運用しながら毎年1回、15年にわたって取り崩していきたい。1度にに取り崩せる金額はいくら?
※計算結果の1万円未満は切り捨てること
※税金(ry
資本回収係数(15年・2%):0.07783
この場合は、
30,000,000 × 0.07783 = 2,334,900
→1万円未満は切り捨てるので 233万円
となります。
この2つの係数も逆数となっているので緊急避難時に頼るのもありでしょう。
まだ達していませんがこの資本回収係数は住宅ローン返済の計算問題にも使うようです。
※追記:住宅ローン繰り上げ返済において使う資本回収係数の話。
資本回収係数は、住宅ローンの借入額から元利均等返済の返済額を求めるときに使います。
この場合月返済額を問われることが多いので、1ヶ月用の係数が与えられます。
例:2800万円を年利2.6%の25年ローンで借りた場合の月々の返済額はいくら?
資本回収係数(2.6%・25年・1ヶ月Ver.):0.00454
→28,000,000 × 0.00454 = 127,120(円)
こんな感じでペアで覚えておけば、ペアの中でどちらを使うべきかは数字を見ればすぐわかると思います。
なので6つバラバラに覚えるよりはとりあえずペアとキーワードを覚えておけば楽なんじゃないかなーと思った次第でございますよ。
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実際に係数を使う問題はどんな感じ?
以上6つの係数については、どんな問題であっても全種類提示されることが多いです。
つまり、どんな場面でどの係数を使うかをきちんと選択できることが正否につながるということになります。
また、単純に1つ選ぶだけでなく、問題によっては各パートでそれぞれ係数を使って最終的な答えを出す複合問題になっていたりします(というか大体複合問題)。
・例題
15年後までに1500万円必要。
5年後に満期となる養老保険の満期金200万円を年利1%で運用する予定。
不足分に対し年率2%で運用しながら毎年1回一定金額の積み立てを行う場合、毎年いくら積み立てたらいい?
※計算過程で1円未満が出た場合は都度四捨五入すること
※計算結果の1万円未満は切り上げること
※税金(ry
終価係数 | 1% | 2% |
10年 | 1.10462 | 1.21899 |
15年 | 1.16097 | 1.34587 |
現価係数 | 1% | 2% |
10年 | 0.90529 | 0.82035 |
15年 | 0.86135 | 0.74301 |
年金終価係数 | 1% | 2% |
10年 | 10.46221 | 10.94972 |
15年 | 16.09690 | 17.29342 |
減債基金係数 | 1% | 2% |
10年 | 0.09558 | 0.09133 |
15年 | 0.06212 | 0.05783 |
年金現価係数 | 1% | 2% |
10年 | 9.47130 | 8.98259 |
15年 | 13.86505 | 12.84926 |
資本回収係数 | 1% | 2% |
10年 | 0.10558 | 0.11133 |
15年 | 0.07212 | 0.07783 |
この場合まずやることは、5年に満期になる養老保険200万円が15年後(満期から10年後)にいくらになるかを計算します。
これはシンプルな複利運用の結果を求めるため終価係数(1%・10年)を利用します。
2,000,000 × 1.10462 = 2,209,240(円)
この金額は積み立てなしで用意できるので必要金額1500万円から差し引きます。
15,000,000 – 2,209,240 = 12,790,760(円)
この金額を積み立てて用意しなければいけないということですね。
というわけで、必要金額がわかっているので積立金額を求めるためには減債基金係数(15年・2%)を使います。
12,790,760 × 0.05783 ≒ 739,690(円)
→1万円未満切り上げのため 74万円 が答となります。
なんとなくイメージは掴めましたでしょうか?
検算したい場合は74万円×15年を電卓でやってみて必要金額より少し足りないくらいになればありえない係数は選んでいないことがわかりますね。
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複利運用で使う6つの係数の話まとめ。
- 使う係数6個は3組のペアで覚える。
- 元本をシンプルに運用するペアは終価係数と現価係数。
- 積み立て運用は年金終価係数と減債基金係数。
- 運用&取り崩しなら資本回収係数と年金現価係数。
- それぞれのペアは逆数なので最悪導き出すことが可能だが非推奨。
- 実際に出るのは2~3個選ばされる複合問題なので順序立てて解いていこう。
こんな感じです。
全部しっかり覚えられればそれに越したことはないんですが、歳を取ると特に、なかなかすぐには覚えられません。
ペアで覚えて本番でなんとか正解にたどり着ける一助になれば幸いでございますよ。
以上です!
※おまけ
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