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【1級FP実技】外貨預金の利回りや損益分岐点の計算【金融資産運用設計】

帳簿01

1級ファイナンシャル・プランニング技能士実技試験(FP協会主催)勉強の備忘録です。
今回は金融資産運用設計の中の外貨預金関係について書いていきます。

そもそもFPなんだから外貨預金なんて顧客が検討している時点で全力で止めるのが正解だと思うんですが、試験に出るとなったらそうも言っていられないので頑張って勉強していきます。

三本松
三本松
為替手数料高すぎィ!
ドル円相場01
外貨預金よりもFXのほうが有利な理由。リスクを自身で管理すればFXは怖くないが、特におすすめではないよ、の話外貨での資産運用を考えている場合、外貨預金という選択肢にメリットはありません。 悪名高きFXのほうが仕組みとしてかなり有利なのをご存知ですか?...

 

ご注意

この手の記事は執筆時点の情報をもとに書いています。
法改正などで情報が古くなっている可能性もありますのでその点はご了承下さい。
あと私も勉強中につきシンプルに間違っているということもありえます。
その際はTwitterなどでご指摘いただければ頑張ってすぐ直すようにします。

外貨預金の損益分岐点を計算する。

まずは下の問題。
為替差損益と利息の源泉徴収税を考慮して損益分岐点の為替レートを求めろという問題です。

・例題

下記の条件で米ドルの外貨預金を行った場合、損益分岐点となる為替レート(TTM)はいくら?

  • 預入額:10,000米ドル
  • 預入期間:6ヶ月
  • 金利:年利3.0%
  • 預入時のレート:1米ドル=140円(TTM)
  • 為替手数料:1米ドルあたり片道1円

※利息の計算は月割とする。
※利息からは20%相当額が源泉徴収される。復興税は考慮しない。
※為替差益に対する税金は考慮しない。
※解答は小数点第3位を切り上げること。

この手の問題は、まず最初に預入当初の円元本を計算します。
手数料が片道1円乗っかりますので計算は以下の通り。

10,000米ドル × (TTM140円+手数料1円) = 1,410,000円

↑換金したあとにこの金額になるレートが損益分岐点ということになりますね。

次は利息を計算します。
これは外貨のままでOKです。

10,000米ドル × 3% × 6/12(月割分) × 0.8(20%の源泉徴収控除後の割合) = 120米ドル

※厳密には日本の税金は円で引かれますが、どうせ相当額が引かれるだけなのでこの段階で引いてしまって構いません。

そして次は円転前の手取り金額を求めます。これは足すだけです。

10,000米ドル + 120米ドル = 10,120米ドル

これを円転したときに当初元本1,410,000円になるTTMが答ということになります。
簡単な1次方程式なんですが為替手数料に注意しましょう。

10,120米ドル × (TTM-1円) = 1,410,000円

三本松
三本松
預けるときには手数料を足され、円転するときには手数料を差っ引かれます。
いい商売ですね!
毒猫
毒猫
何かトゲあるな…。

TTM = (1,410,000 ÷ 10,120) + 1
TTM = 140.32806… → 140.33(円)

が答になります。
計算自体はそれほど複雑ではありませんが、問題を見てから考えていると時間を浪費してしまいます。
なのでこの手の問題に慣れて手順を覚えてしまったほうがいいですね。

TTBとTTSの話

問題で出てきたTTM(仲値)の他に、為替ではTTBとTTSが出てきます。
正直どっちがどっちかは私もよくわかっていませんでしたが、その手のことに詳しい妻に尋ねたところ、

事情通の妻
事情通の妻
銀行から見た外貨のBuyとSellで考えればいいよ。
銀行は基本的に客の立場で物を見ることなんてないから!

とのことでした。
銀行主観で手数料を徴収すると考えて「TTSが割増、TTBが割引」と覚えて置くといいでしょう。
この例題は覚えていなくても解けますが、穴埋め問題などで迷った際には私の妻の辛辣な一言を思い出していただければ幸いでございますよ。

外貨預金の円ベース利回りを比較する。

次の問題は外貨預金の利回りを計算してどれがおいしいかを選ぶ問題です。

・例題
次の3つの外貨預金のうち、満期時の為替レート(TTM)が預入時に対し5%円安になった場合、円ベースでの利回りが最も良い商品と悪い商品はどれ?

1.アメリカドル預金
預入期間:6ヶ月
税引前年利:3%
預入時TTM:1米ドル=140円
為替手数料:片道50銭

2.南アフリカランド預金
預入期間:6ヶ月
税引前年利:6%
預入時TTM:1南アランド=7円90銭
為替手数料:片道30銭

3.トルコリラ預金
預入期間:6ヶ月
税引前年利:11%
預入時TTM:1トルコリラ=5円50銭
為替手数料:片道80銭

※利息の計算は月割とする。
※利息からは20%相当額が源泉徴収される。復興税は考慮しない。
※為替差益に対する税金は考慮しない。

毒猫
毒猫
何かすごい比較だな…。
三本松
三本松
現況の金利でいい感じの差が出る通貨が他になかったんだよ…。
毒猫
毒猫
元々外貨預金なんて全部投資に値しないからまあいっか…

利回りを求める上で覚えておかなくてはいけないのが利回りの計算式です。
これは学科を通った方なら大丈夫だとは思いますが、

利回り(%) = 税引後損益 ÷ 元本 × 100

となります。

そしてこの問題では預入額が提示されていません。
利回りにはベースとなる金額自体は関係しないので、1でも100でも10,000でも計算しやすい数字を使って進めていけばいいと思います。

三本松
三本松
私は1でやる派です。
小数点以下が煩わしい人は10,000にすることが多いみたいですね。

上の計算式に当てはめるための数字を算出していきます。
まずは最初の例題と同じように円ベースの元本を求めます。

三本松
三本松
今回は1通貨で進めます。

米ドル → 140 + 0.5 = 140.5(円)
ランド → 7.9 + 0.3 = 8.2(円)
リラ → 5.5 + 0.8 = 6.3(円)

続いて外貨ベースの税引後利息を求めます。
預入期間半年なので6/12をかけるのをお忘れなく。

米ドル → 1 × 0.03 × 6/12 × 0.8 = 0.012
ランド → 1 × 0.06 × 6/12 × 0.8 = 0.024
リラ  → 1 × 0.11 × 6/12 × 0.8 = 0.044

次は円転したときの手取り金額を求めます。
外貨ベースの手取りは、1通貨なので 「1 + 利息」 となりますね。

円転時は5%円安(外貨高)という条件なので、預入時のTTMに1.05をかけた数字が満期時のTTMとなります。
円転する際の為替手数料も忘れずに差し引きます。

米ドル → 1.012 × (140×1.05 – 0.5) = 148.258(円)
ランド → 1.024 × (7.9×1.05 – 0.3) = 8.18688(円)
リラ  → 1.044 × (5.5×1.05 – 0.8) = 5.1939(円)

ここまで出たらそれぞれの利回りの計算式に当てはめていきます。

まずは米ドル。

税引後損益は 手取り148.258 ‐ 元本140.5 = 7.758円 ですのでこれを利回りの計算式に当てはめると、

7.758 ÷ 140.5 × 100 ≒ 5.5217(%)

同様に南アフリカランドは、

(8.18688 – 8.2) ÷ 8.2 × 100 = ▲0.16%

トルコリラは、

(6.3 – 5.1939) ÷ 5.1939 × 100 ≒ ▲21.2961%

となります。
なんと5%も為替が上がっているにも関わらず、3つのうち2つが赤字というひどい結果になりました。
為替手数料がいかに投資の足を引っ張っているかがわかりますね。
間違ってもクライアントに新興国通貨の外貨預金など勧誘してしまわないようご注意ください。

三本松
三本松
しかも新興国通貨はボラティリティがえぐいので運が悪いと大損します。
いいことありません!ただの博打です!
毒猫
毒猫
・・・何の話?
三本松
三本松
為替は素人が首突っ込むことじゃないよ!って話だよ!
毒猫
毒猫
そんな勢いで言い切られても…。

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比較だけなら大体わかる小技も…。

2問目の例題は実際に2023年版の緑本にあった問題の類題なのですが、このように最高と最低の利回りとなる商品を相対評価で選択するだけの問題についてはすべての利回りを計算しなくても大体正解する小技のようなものがあります。
100%正解するわけではありませんが、「どうしても時間が足りない」とか「この問題に咲く時間を他に充てたい」といった場合には、下の方法で簡易的に当たりをつけて、後で時間が余ったらちゃんと計算してみるというやり方もあります。

三本松
三本松
あくまでざっくりなので推奨するわけではありません。

この方法が使える条件は、

  • 満期時の為替水準が一定。
  • 預入期間が短めの外貨預金。
  • 為替手数料が激安でなく、商品ごとにある程度の差がある。

このやり方は、

短期の外貨預金は為替手数料負担が利回りを下げまくる

という現実をベースにした、答えだけを導く小ネタです。
当然同種の問題にしか使えませんので汎用性は高くありませんが、もし出てきたらラッキーくらいで読み進めていただければと思いますよ。

まず1つ目の条件ですが、為替の先々の予想が困難なのは当然ですので、「米ドルは満期時に10%上昇したけどユーロは5%下落した場合」という前提条件が出されることは現実的ではありません。
なのであまりここは気にしなくていいと思います。

2つ目の期間条件についてですが、例題のように6ヶ月とかだと年利が高くても利息自体が雀の涙なので、かなり当たる可能性が上がります。
逆に預入期間が20年とか長くなってくると手数料よりも金利のほうが影響してくるのでかなり精度は落ちます。

3つ目の為替手数料については、米ドル片道2銭、豪ドル3銭といったFX並の手数料だと使えません。
同様に米ドル50銭、NZドル60銭というように僅差でも使いにくくなります。

毒猫
毒猫
条件厳しくない?
三本松
三本松
まあでも外貨預金って実務では手数料高いし通貨によって結構差があるから…。

で、この条件が揃ったときに何をするかというと、

通貨の円価格に対する手数料の割合

を求めて比較します。

要は、「手数料負担以外の要素は無視できる些末な条件とみなして雑に処理をする」ということです。
具体的には、

手数料 ÷ 1通貨あたりの円価格 を計算して数字が大きいほど手数料に負ける

と判断することになります。

三本松
三本松
逆にして「大きい方が儲かる」でもOKです。

ちょっと上の例題でやってみましょう。

  • 米ドル
    0.5 ÷ 140 ≒ 0.00357
  • 南アランド
    0.3 ÷ 7.9 ≒ 0.03797
  • トルコリラ
    0.8 ÷ 5.5 ≒ 0.14545

米ドルの手数料負担割合が0.3~0.4%なのに比べてトルコリラは15%近くにもなります。
こんなの多少の利息でカバーできるわけないですよね、という話です。
ちなみに緑本の問題でもやってみましたがちゃんと正解になりましたので、あれくらいの差であればちゃんと正解できるくらいの精度はあるようです。

もちろん問題の主旨からは外れますのでとても推奨できるような代物ではありませんが、もし本番でこの手の問題が出てどうしても時間が足りないという方は緊急避難的に利用するのもアリかと思います。

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外貨預金の損益分岐点、利回り計算の話まとめ。

・損益分岐点の計算

  1. まずは円元本を求める。為替手数料を忘れずに足して計算。
  2. 外貨ベースでの利息を計算。ここで税金を引いちゃってOK。
    預入期間で月割するのを忘れずに!
  3. 外貨ベースの元利合計を出す。買った通貨の金額と②を足すだけ。
  4. 外貨元利合計(③の金額)×(TTM-為替手数料)=円元本(①の金額)
    となる1次方程式を解く。ここでも為替手数料を差し引くのを忘れずに!

 

・利回り比較

  1. 円元本を求める。外貨購入金額は計算しやすい好きな数字でOK。
    上と同じく為替手数料を忘れずに!
  2. 外貨ベースでの利息を計算。税金もここで引く。預入期間の月割も忘れずに!
  3. 外貨ベースの元利合計を出す。ここまでは損益分岐点と一緒。
  4. ③で出した元利合計に満期時のレートで円転金額を出す。ここでも為替手数料を忘れずに!
    「外貨元利×(満期時TTM-為替手数料)」が円転後の手取り
  5. 円転後の損益を求める。④の金額から①の円元本を引くだけ。
  6. 「円転後損益(⑤の金額)÷円元本(①の金額)×100(%)」で利回りが出る。
    パーセンテージが不要であれば×100は無視してOK。
  7. 必要に応じて比較する。

 

・小ネタ

  • 比較するだけの問題なら、外貨の金額(円ベース)に対する為替手数料の割合で有利不利をある程度判断できる。
  • 「為替手数料÷1通貨の円価格」を計算して小さい方が有利。
  • ただし、「預入期間が長い場合・利息がバカ高い・為替手数料に差がないまたは激安」の場合には精度が落ちるので過信は禁物。

こんな感じです。

FP試験において金融資産運用設計は鬼門と言われていますが、実技に関してはそんなに複雑な問題は出ないというのが私が勉強している上での感想です。
なので苦手意識を持っている方も落ち着いて考えれば解けないということはないと思いますので、凡ミスだけには気をつけて頑張っていきましょう!

誰よりも凡ミスが多いおじさんからは以上です!

 

ABOUT ME
三本松
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。 三本FPラボ経営。 北海道根室市出身、都内在住の妻子持ち社畜。 零細メーカーで経理をやりながら野良FPとして勉強中。 無知故に若い時間を無駄にしてしまった経験から、 過去の失敗などで学んだことを記事にして発信しています。