最近「プラチナNISA」というのが話題になっていますね。
これはかの岸田元首相がトップを務める、自民党の「資産運用立国推進議員連盟」とかいう怪しげな団体が政府に提言した制度です。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1872725
このプラチナNISA絡みでにわかに注目を集めているのが「毎月分配型投資信託」なんですが、今回はこの毎月分配型投資信託について今さら聞けない部分を含めて解説していきますよ。
Contents
そもそも「プラチナNISA」って何?
まずはプラチナNISAについて簡単に説明します。
これは65歳以上の人向けの投資においての少額非課税制度のことなんですが、この中身についてはあまり評判がよろしくありません。
というのも、65歳以上の投資家に対して新たに枠を増やすとかそういった話ではなく、
「65歳以上の人にのみNISA対象となる金融商品を増やそう」
というだけの制度になりそうだからです。
具体的に言いますと、今まではNISA口座で買うことのできる商品ラインナップからは「毎月分配型投資信託」が除外されていたんですね。
で、このプラチナNISAを利用することによって、「65歳以上の人だけは非課税のNISA口座で毎月分配型投信を買えるようにしてあげるよ」ということなんですね。
悪いことではないんじゃないか?
毎月分配型投資信託は読んで字のごとく、「配当金が毎月もらえる投資信託」のことです。
一見するといいことのように見えてしまうんですが、大きな問題が1つあります。
それは「毎月分配型投資信託は総じてゴミ商品」ということです。
つまり、
- 資産運用立国推進議員連盟が金融業界の意向を受けて
- ゴミ商品である毎月分配型投資信託を売るチャンスを
- 金融業界に与えるよう政府に提言した
という構図になっているんです。
私は正直、最初新NISAが発足したときは「キッシーやるじゃん」と思っていましたが、ここに来てとんでもなくふざけた制度を提案してきたことに愕然としました。
そんなまずいことなのか?
というわけで私が憤る、今さら聞けない「毎月分配型投資信託のゴミっぷり」について書いていこうかと思いますよ。
毎月分配型投資信託デメリット(メリットなんかないよ!)。
まずはこの「毎月分配型投資信託」の仕組みやデメリットについてです。
人気なりのメリットもあるんだろうからそれも書かないとフェアじゃないぞ?
正直言って毎月分配型投資信託にメリットなど微塵もありません。
巷では「毎月お小遣いがもらえるから」みたいな理由で買った人もいるようです(正確には売りつけられた)が、それもメリットでもなんでもないことも含めて書いていきます。
毎月分配型投資信託がゴミな理由1.「タコ足配当」。
上で挙げた「毎月小遣いがもらえる」感覚で投資ができるという特徴は一見メリットのようにも思えますが、別にこれはメリットでもなんでもありません。
毎月分配型投資信託の多くは、月の分配金が基準価額の2%ほどと設定されていることが多いです。
年換算でいうと24%にもなる配当の原資はどこから来ているか、もうおわかりですね?
その分株価(基準価額)が上昇していたり配当金で儲かっていればいいのですが、そうそう都合よく価格が上がるとは限りません。
儲からなかったとき、儲けが少なかったときの分配金は、「預かっている資産を切り崩して分配している」に過ぎないのです。
ちなみに儲かって出す配当は「普通分配金」と言いますよ。
毎月分配型投資信託は、毎月2%の分配を維持するために預かっている資金自体からセコセコとお金を配って、
とか言っちゃってるわけです。舐めてませんか?
この「預かり資産から配当を配る」行為を、飢えたタコが自分の足を食べて腹を満たす様子に例えて「タコ足配当」と呼ばれています。
とはいえ、タコ足配当だけを単体で見た場合は、資産の切り崩し期に該当する65歳以上の人にとってみれば必ずしも悪というわけではありません。
それに付随する極悪なシステムが複数重なるからこそ「the・レジェンドオブゴミ投信」と言える仕上がりになっていますので、その他のデメリットについても続けて見ていきましょう。
毎月分配型投資信託がゴミな理由2.運用コストがバカ高い。
今挙げた「タコ足配当」に目をつぶったとしても、毎月分配型投資信託がゴミ商品であることの確定演出と言える最悪の特徴が「運用コストがとんでもなく高い」ことにあります。
私がおもに利用している投資商品であるインデックスファンドは、運用コストのメインである信託報酬が年間0.05%から高くても0.2%ほどです、
一方、毎月分配型投資信託の信託報酬はアクティブファンドとして運用されており、年間1.5%から2%程度の信託報酬が設定されています。
ChatGPTに出してもらいました。
順位 | ファンド名 | 運用会社 | 純資産総額 (百万円) |
信託報酬率 (税込) |
1 | アライアンス・バーンスタイン・ 米国成長株投信Dコース (毎月決算型・為替ヘッジなし) |
アライアンス・バーンスタイン | 3,065,269 | 1.73% |
2 | インベスコ 世界厳選株式オープン (為替ヘッジなし・毎月決算型) |
インベスコ | 1,868,059 | 1.90% |
3 | フィデリティ・ グロース・オポチュニティ・ ファンドDコース (毎月決算・為替ヘッジなし) |
フィデリティ投信 | 229,901 | 1.64% |
4 | フィデリティ・ 世界割安成長株投信Dコース (毎月決算・為替ヘッジなし) |
フィデリティ投信 | 105,859 | 1.65% |
5 | フィデリティ・ USリート・ファンドB (為替ヘッジなし) |
フィデリティ投信 | 60,473 | 1.54% |
この年間2%近い信託報酬はインデックスファンドの10倍かそれ以上に該当し、正直言ってバカ高いです。
しかも買ったり売ったりするときに手数料を徴収される商品もいまだに多いです。
あったらぼったくりファンド確定です。
手数料が高いってことはそれほど儲かる商品なんだろ?
ここも誤解されがちなんですが、手数料の高いアクティブファンドがインデックスファンドに比べて必ずしも儲かるというわけではありません。
何なら大半のアクティブファンドはインデックスファンドよりもパフォーマンスにおいて劣っているのが実情です。
アクティブファンドの勝率が高くない以上、高い信託報酬を支払うことは無駄以外の何物でもありません。
信託報酬の高い投資信託は営業マンがどんなに勧めてきても絶対に買ってはいけません。
ゴミ商品確定演出ですので超高確率でなかなかの損失を被ることになりますよ。
スポンサーリンク
毎月分配型投資信託がゴミな理由3.寿命が短い。
今述べた「信託報酬が高い」というのはそれだけで買わない理由としては十分なのですが、毎月分配型投資信託のデメリットはさらにもう1つあります。
それは1つ目で挙げたタコ足配当に起因するもので「金融商品としての寿命が短い」というものです。
上で書いた通り、多くの毎月分配型投資信託は月に2%程度、つまり年間で24%近くの分配を行っています。
さらに信託報酬は年間1.5%なので、運用実績に関わらず1.5%は手数料として預けた資産から削られていくわけですから、単純に年間で約25%を運用利益で賄えない場合は預かり資産から配当を捻出することになります。。
いくら運用がうまくいっても毎年25%の利益を出すことが不可能であろうことは想像に難くありませんよね。
運用の利益で賄えなかった部分はタコ足配当で資産を減らしていくわけですから、その投資信託の基準価額はすごい勢いで減っていくことになります。
そうなってくるとその毎月分配型投資信託の末路は、
- 減配または分配停止
- 繰上償還
の2つのいずれかとなります。
まず、投資信託の基準価額は「1万口あたり10,000円」をスタートに設定していることが一般的です。
つまり投資信託を買う人の認識として、「基準価額が1万円を超えていたら儲かっているファンド」「1万円を割り込んでいたら損しているファンド」という色眼鏡で見ていることが多いんですね。
あくまでもイメージです。
このような認識の中で「1万口あたり3,000円」みたいなところまで基準価額が下がった投資信託を買う人がいるでしょうか?
このように毎月分配型投資信託は仕組み上、比較的短いスパンで基準価額がダダ下がりしていく商品なんですね。
そしてゴミ商品に見えるため新たな買い手も現れにくくなり、預かり資産だけが順調に減っていくわけです。
となると運用側としてやることは、
- 基準価額を維持するために減配または分配停止
- コスト負けする前に繰上償還(撤退)
のいずれかしかありません。
投資信託では株式併合(株式をくっつけて単価を上げる)ようなことはしないため、見せかけ上の基準価額を引き上げる細工ができません。
なので下げを抑える施策を取るか下がり切る前に繰上償還して撤退するかの二択を迫られることになります。
減配または分配停止の例で言うと、昔一世風靡した「グローバル・ソブリン・オープン」というファンドが基準価額の下落を防ぐために減配を行いました。
こちらは2000年代に「金の卵」としてもてはやされた高配当の毎月分配型投資信託で、当時の分配率は月1%(年12%)ほど、ピーク時には預かり資産が5兆円を超えるモンスター級の超優良毎月分配型投資信託でした。
しかし2008年のリーマンショックやそれに伴う低金利の長期化でタコ足配当が常態化し、基準価額がみるみる減っていきます。
そして基準価額の下落を止めるために2010年代から減配を繰り返し、最近では年の分配率が1.8%(月で0.15%)程度、基準価額は1万口あたり5,000円強とごくごくありふれた投資信託に姿を変えました。
一時代を築いたモンスター級のファンドでさえ毎月高配当を維持し続けることはできない仕組みになっているんですね。
それでもグローバルソブリンはかなりうまくいった例で、世の中にある普通の毎月分配型投資信託についてはもっとひどい状況です。
多くのファンドが10年程度、短いものだと5年程度で繰上償還を行っています。
繰上償還というのはかいつまんで言うと、これ以上運用を続けることが難しくなった投資信託を解散し、その資産を基準価額を元にして口数に応じ投資家に返却することです。
要は強制的な現金化ということですね。
投資信託の預かり資産額が減ってくると、規模に関係ない固定コストの割合がどうしても高まってしまいます。
そうなると信託報酬では足りず運用を続けられなくなってしまいますよね。
ましてやタコ足配当で基準価額が1万円を大きく割り込んでいるファンドは傍目からはめちゃくちゃ損しているように見えるため、新規の買い手はつかなくなりコストの割合は膨らむ一方です。
そんなファンドを続けていくよりも、「一旦お金を返してチャラにした上で新しい投資信託を設定したほうが新規顧客を呼び込みやすい」というのが毎月分配型投資信託の短命さに拍車をかけています。
例えば65歳から資産を取り崩すフェーズに入ったとして、余命はだいたい20年とか30年あります。
じゃあその20年の寿命を残した状態で、10年とかで終わってしまう投資信託を買うのは心許ないと思いませんか?
65歳時点よりも判断力が低下した75歳とかの状態で、目減りして繰り上償還された残りのお金を何に投資するか(しないのかを含めて)を判断するというのは結構キツいんじゃないかと個人的には思います。
繰上償還をしない場合でも、買ったときよりも分配金の大半がカットされて実入りが減ってしまうのが確実なパターンでも同様です。心許なさマックスです。
それも預けたお金食いつぶしてるだけです。
毎月分配型投資信託がゴミな理由4.NISAとすこぶる相性が悪い。
これはおまけみたいなものでNISA限定の話ではあるのですが、毎月分配型投資信託はNISAの非課税メリットと非常に相性が悪いです。
なので正直「プラチナNISAでは毎月分配型投資信託も対象になります。ドヤァ!」と言われたところで投資した人がその恩恵を充分に受けられないことが多いんですね。
このことについても原因は「タコ足配当」にあります。
そもそもNISAの恩恵のメインは「配当益や売却益に税金が課せられない」ことです。
しかし、分配金と言っても本来課税されるのは儲けにかかる「普通分配金」のみであって、タコ足配当に該当する「特別分配金」はその性格からそもそも課税されないんです。
例えば1万口あたり10,000円で買った毎月分配型投資信託が配当時に10,100円に値上がりしており、200円の分配を行ったとします。
そのファンドの基準価額は配当後に9,900円となり、配当金200円のうち買値を上回った100円分のみが普通分配金、残りの100円は特別分配金となります。
これを一般口座や特定口座で買っていた場合、課税されるのは普通分配金100円に対する20.315%で約20円です。配当金全体の200円に対しては10%程度しか取られていないことになります。
まあ恩恵を受けきれていないとしても税金がゼロになるだけマシと言えばマシではあるのですが、他の商品を押しのけてまで枠の限られているNISA口座で毎月分配型投資信託を買う意味があるとは到底思えません。
そしてNISA口座と毎月分配型投資信託の相性の悪い点はもう1つあります。
それが「NISA口座は内部通算できない」という点です。
「内部通算」というのは、証券の売買で出た損益を相殺することです。
例えばA社で源泉徴収ありの特定口座を利用して100万円の利益が出た場合、その100万円の利益に対して20.315%が源泉徴収されます。
同じ人がB社の特定口座で100万円の損失を出していた場合、利益は出ていないのでもちろん源泉徴収はゼロ円です。
この場合、2社での損益はトータルでプラマイ0円にも関わらずおよそ20万円の税金が源泉徴収されている状態になりますね。
こういったケースでは確定申告をすることで、多く取られていた約20万円を還付として取り戻すことができます。
これが内部通算です。
で、NISA口座はもともとが非課税である特性上、「NISA口座は損失が出た場合でも内部通算の対象にならない」という決まりになっているんです。
無配当ファンドだって通算はできないわけだろ?
確かに無配当ファンドであってもNISAでやっている以上、配当が出ようが出まいが内部通算ができないことに変わりありません。
しかし思い出して下さい。
毎月分配型投資信託は多くがアクティブファンドであり、信託報酬がインデックスファンドに比べてバカ高い金融商品です。
毎年信託報酬の高さによって、インデックスファンドの数倍から数十倍の信託報酬分が基準価額から削られていきます。
そして普通分配金でもらった分は基準価額には乗っからず、すでに配当として投資家の手元に返ってきています。
なのでインデックスファンドよりも「売値が買値を下回っている可能性が高い」んですね。
普通分配金の税金分はすでに得はしているものの、売るときには他の利益との相殺に充当することができません。
そのため、特にNISA発足前から特定口座などで株を持ってる人にとってはかなりもったいない状態であると言えるでしょう。
今からプラチナNISAで毎月分配型投資信託を買うくらいなら、今特定口座で持っている株を上限枠内で売ってNISA口座で同じものを買い直すほうが効率的であることは間違いありません。
だとしても毎月分配型投資信託を買っていい理由にはなりませんが。
何口座で買おうともゴミはゴミです。
※ちなみに「タコ足配当で基準価額が減っていく」ことは内部通算とは関係ありません。
税法上、特別分配金が出た場合はその分取得価額が調整されて分配後の基準価額が買値として扱われますので「基準価額が下がりまくることとで損しやすい」というわけではないことにご注意下さい。
なのでこの「内部通算できないから不利」という項目については、「毎月分配型投資信託が不利」というよりは「信託報酬の高いアクティブファンド全般が不利」ということになりますね。
ちょっと小粒な理由ではありますが、毎月分配型投資信託がNISAの恩恵を受けきれないだけにとどまらず、NISAで買うことで投資の足を引っ張りかねない存在になりうるというのはイメージしていただけたのではないかなと思います。
なので、色々挙げてみましたが毎月分配型投資信託は誰が勧めてこようとも決して買ってはいけない商品だということもご理解いただいたものとして勝手に進めていきます。
スポンサーリンク
一番の悪は「デメリットに触れずに売りつける」こと。
さてここまで毎月分配型投資信託のデメリットについて触れてきましたが、ではなぜこんなゴミ商品が取り沙汰され、人気商品ランキングに入ってしまうほど売られているのでしょうか?
この答えは
販売側にとっては魅力的すぎる商品であること
に尽きます。
確かにこれだけデメリットだらけの商品ではあるのですが、毎月分配型投資信託は「デメリットを隠しやすく、メリットを誤認させやすい」という特徴もあります。
そして売買手数料も取れて、高めの信託報酬により継続収入の入りも大きい商品ですから、ここに注力しない手はありません。
例えば、毎月2%の分配があるという事実について伝える際、
といった勧誘を受けた場合、対面営業と話をしている時点でこの顧客は金融リテラシーを持たない(普通の)人なわけですから、
と舞い上がってしまい、その配当の原資がどこから来ているかなど疑うこともなくサラッと次に進んでしまいます。
もちろん原資について聞かれもしないのにタコ足配当についてペラペラ喋る営業マンなんていませんし、聞かれたら聞かれたで
といった専門用語を交えてマニュアル通りの解答を提示します。
聞いている方はもちろんよくわからないでしょうから「特別分配金」の「特別」という単語だけ拾って、
となってしまうわけです。
こういった販売をする営業マンはつまり、「配当=儲けではない」ということを巧妙に隠して売りつけているということになります。
購入手数料も取れて信託報酬の取り分も多い商品ですから、営利企業の営業マンはそれくらいしてくるのも当然と言えば当然です。
「配当は儲けです」と嘘を言っているわけではなく説明もしていないわけではないので、後から文句を言われても言い逃れはいくらでもできます。
例えば「自爆分配金」とか。
このように毎月分配型投資信託はデメリットを隠して売りやすい商品であることがわかりますが、さらにもう1つ「商品としての寿命が短い」ことにすら販売側にとって都合よく使われることになります。
まず前提として、
「金融機関、特に銀行は役所みたいなものだから信用に値する」
と考えている人が一定数存在します。
これは私からするととんでもない誤解なのですが、特に昔の銀行のイメージを持っている高齢者に多い印象です。
まず、最初に買わされた毎月分配型投資信託が基準価額や預かり資産の減少により繰上償還を行ったとします。
繰上償還をおこなった投資信託は強制的に現金化され、運用資金としては遊んでいる状態になるわけですね。
そこに登場するのが顧客情報をしっかり押さえている金融機関の営業マンです。
最初に投資信託を売った金融機関はもちろん、誰が買った投資信託が繰上償還をして、誰の資金がどれくらい遊んでいるかをしっかり把握していますので、償還された資金をどうしようか困っている投資家の前にタイミングよく現れます。
そしてその投資家に対し、新たな高手数料高信託報酬のゴミ商品を再び売りつけることができるのです。
もちろん1回目の毎月分配型投資信託はゴミ商品ですので、それに懲りて現れた金融営業を追い返す人もいますが、前述した「金融機関に絶対的な信頼を寄せているかわいそうな人」は一定割合で存在しますので、なんだかんだと営業に言いくるめられて新たなゴミ商品を買ってしまう羽目になります。
つまり毎月分配型投資信託は(売る側にとってのみ)手数料を多く取れる上に、焼畑農業のように同じ人から何度も手数料を得るチャンスを含む超魅力的な商品ということになります。
これは売る側の金融機関も営利企業である以上合理性に則った行動ではありますので、法を犯していない(ギリアウトな気もしますが)限り悪とも言い切れません。
かと言って、誰も教えてくれない金融リテラシーが低いと買う側を切り捨ててしまうのも正しいとは言えません。
個人的な見解ではありますが、この辺は制度上の仕組みでなんとかするべき問題ではないかなと考えています。
そもそもNISA発足時にはこういった事態を金融庁が危惧していたからこそ、毎月分配型投資信託はNISAの対象外にされていたはずです。
しかしNISAで潤うはずだった金融業界の思惑とは裏腹に、売れている投資信託のトップは手数料のバカ安い「オルカン」や「S&P500」といったインデックスファンドでした。
おそらく当てが外れた金融業界が近い立ち位置にいる資産運用立国推進議員連盟あたりに要望(圧力)をかけてプラチナNISAで毎月分配型投資信託を解禁させるよう迫ったんじゃないかと推測できます。
ちょっと欲張り過ぎじゃないかと思っています。
で、金融業界を票田として無碍にできない政治家も「まあ年寄りならいっか」的なノリで要望を受け入れたため冒頭のプラチナNISAにつながっているのでしょう。
あとは政治家の立場を利用して金融庁を従えるだけの状態です。
で、これはおそらく誰もが予想していると思いますが、この先プラチナNISAで毎月分配型投資信託が対象商品にされた場合、金融機関は毎月分配型投資信託の販売に今まで以上に攻勢を強めてくると思います。
なのでこれを読んでいるみなさんは、
何のお墨付きがあろうとも毎月分配型投資信託はゴミ!
ということを忘れないで下さい。
というか特に65歳以上の身内の方にもぜひ伝えてあげて下さい。
タコ足な上に手数料が高額というのは投資としてのメリットは微塵もありません。
取り崩し資産として考える場合も、手数料の安いインデックスファンドを定期売却で取り崩していくほうが最終的な実入りは多くなる可能性が高いです。
毎月分配型投資信託は無配当インデックスファンドの定期売却に完全に劣後しています。
しかも取り崩し率も自分で決められます。
わざわざ向こうさんで決めた現金化率に従う必要もありません。
毎月分配型、ダメ、ゼッタイ
スポンサーリンク
プラチナNISAと毎月分配型投資信託の話まとめ。
- プラチナNISAの正体は「65歳以上の人に限り毎月分配型投資信託をNISAの非課税対象に加える」だけのろくでもないシステム。
- ろくでもない理由は「毎月分配型投資信託が投資家にとってゴミ商品すぎる」から。
- 毎月分配型投資信託がゴミな理由は「タコ足配当」「手数料高過ぎ」「寿命が短い」「NISAと相性悪すぎ」の4つ。
- 超モンスターファンド「グロソブ」すら今は見る影もない商品に成り下がったよ。
- 他の有象無象の毎月分配型投資信託は短期スパンで繰上償還しまくり。
- 毎月小遣いが欲しいなら無配当ファンド少しずつ売ったほうが絶対得だよ!
- それを巧妙に隠して、さも良いもののように売りつける販売側が問題。
- そんな売り方を許容しないように制度改革したほうがいい。
- とにかく毎月分配型投資信託は買わない・近づかない!
こんな感じです。
金融商品の営業マンは金融のプロではなく販売のプロですから、毎月分配型投資信託に興味を示してしまったが最後、軽妙なトークでいいものであるかのように丸め込まれてしまいます。
私はそれができなくて金融営業やめました。
なのでとにかく金融機関の窓口や営業マンには近づかないようにしましょう。
特にプラチナNISAが発足した後は超やる気で我々に飛びかかってくるはずです。
身内の方が絡め取られそうになったら必死で止めて下さいね。
以上です!
