今回は3級ファイナンシャル・プランニング技能士試験、リスク管理分野の第2回です。
前回は保険の分類と仕組みについてやりました。
今回はその続きで、「保険の契約者保護」について解説していきますのでお付き合いください。
Contents
保険の契約者を保護する仕組み。
保険も金融商品ですので、契約者と事業者の間にはお金が絡む契約が存在することになります。
仮に事業者に何らかの瑕疵(もしくは悪意)があったりした場合には個人である契約者のお金が失われたりするようなことが起こり得ます。
契約者自身に落ち度がないのに損失を被るようなことがなるべく内容にするため、保険に関しても様々な仕組みがありますのでそれについて解説していきますよ。
保険会社が潰れても大丈夫「保険契約者保護機構」。
せっかく保険を契約して保険料を支払っているにも関わらず、保険会社が倒産して保障がパーになってしまうのは契約者にとってこの上ない損失です。
そうならないように設立されたのが「保険契約者保護機構」というものです。
国内で営業する保険会社は保険契約者保護機構への加入が義務となっていて、その保険会社が破綻した場合には保険契約者保護機構が保険会社に代わって保険金を補償してくれるシステムになっています。
ただ、全てが100%補償されるというわけではなく、保険の内容によってその割合が決まっていることにはご注意ください。
機構の種類 | 保険の種類 | 保障割合 |
生命保険契約者 保護機構 |
生命保険 | 破綻時点の責任準備金の90% ただし、予定利率が基準利率を超えている「高予定利率契約」の保険(俗に言う『お宝保険』)は除外 |
損害保険契約者 保護機構 |
自賠責保険 地震保険 |
保険金の100% |
自動車保険 火災保険など |
破綻後3ヶ月以内であれば保険金の100% それ以降は保険金の80% |
|
その他の疾病や 損害保険 |
保険金の90% |
「責任準備金」というのは生命保険会社が義務付けられている積立金のことです。
生命保険会社は契約者が支払った保険料の一定割合をこの責任準備金として貯めておかなければいけないことになっていて、保険金や解約返戻金などをその中から支払っています。
なので生命保険に関しては、状況によって必ずしも保険金の90%を受け取れるわけではないということに注意してください。
ちなみに、「少額短期保険業者」と「共済」は加入義務の対象外ですのでこちらも覚えておいてください。
対象外とか怖いんだけど。
スマホ保険とかペット保険とかニッチなやつ。
共済はなんで加入義務ないんだ?
んで行政庁が監督下してて業務改善命令とか出したりするかららしいよ。
「行政が見張ってるから安心だ!」
とはならないよなぁ…。
不本意な契約を取り消せる「クーリングオフ制度」。
「クーリングオフ制度」というのは皆様聞いたことがあると思いますが、保険契約においてもそれは適用されます。
要は「断りきれずに契約しちゃったけどやっぱいらないわ」というのが可能になるということですね。
ただし適用にはいくつか条件があり、
- 「契約の申込日」または「クーリングオフについて記載された書面を受け取った日」から8日以内に
- 申し込みの撤回・解除を
- 書面または電磁的記録(メールなど)で通知する
という手続きが必要になります。
この条件はすべて満たしていなければいけません(AND条件)。
また、適用されない条件もいくつかあります。
- 自ら保険業者の窓口に訪れて契約。
- 契約にあたって医師の診査を受けた。
- 1年以内の短期保険。
- そもそも加入義務のある保険
このいずれかに該当した場合はクーリングオフを適用することはできません(OR条件)。
当たり前ではありますが、加入が義務付けられている保険もクーリングオフの対象にはなりません。自賠責保険などがそうですね。
ただ一応クーリングオフの適用範囲に保険契約も入っているということは覚えておいて損はないと思います。
ここでしか聞かない「ソルベンシー・マージン比率」とは?
ちょっとこれは契約者保護から少し離れているような気がしないでもないですが、「ソルベンシー・マージン比率」という指標が存在しますので一応覚えておいて下さい。
「ソルベンシー・マージン比率」は、予測しがたい大きめの災害などが起こった際に保険会社がちゃんと保険金の支払いに耐えられるかどうかの目安を数値化したものです。
計算式などについてはふわっとした変数が絡んできて複雑なので省きますが、数値が高いほど健全性が高く支払い能力が高いとされます。
目安としては200%以上であれば健全とされ、これを下回っている保険会社は金融庁から怒られて改善措置が取られます。
難しい計算はさておいて、「ソルベンシー・マージン比率が低い保険会社を選んでしまうと何かあっても支払いができないという事態も起こりかねないので高めの会社を選びましょうね」という話です。
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事業者の行動を制限する「保険業法」。
ここまでは保険契約者のお金が理不尽に奪われないように設計された「仕組み」の話でしたが、契約者保護にもう1つ必要なものは、営業をかける事業者側を規制することによって契約者を保護するルールです。
保険会社も民間の営利企業ですので、多くの契約を取ることで利益を挙げなければ事業を継続することはできません。
ただそこで事業者に好きにやらせてしまうと、利益のために契約者をないがしろにするような行為が横行してしまいます。
そこで事業者側が契約者から搾取しないように定められたルールが「保険業法」です。
保険業法の中には以下のようなものがありますので覚えておきましょう。
カテゴリ | 内容 | 備考 |
登録 | 保険業を行うにあたり内閣総理大臣の登録を受ける必要がある。 | 誰でも保険を売っていいというわけじゃない。 |
禁止行為 | 保険契約等に対して虚偽のことを告げたり重要事項を告げない行為。 | これやったらただの詐欺。 でもよくある。 |
契約者に対して不利益となる事実を告げずに、既存の契約を消滅させて新たな契約を申し込ませる行為。 | 顧客に不利益な乗り換えを防止。 | |
断定的判断を提供する行為。 | 「絶対に儲かります!」とか言ってはいけない。 証券業でも似たような決まりがある。 |
|
契約者等に対して特別な利益を提供する行為。 | 「お金あげるから契約して」みたいなことはダメ。 飴ちゃん配るのはみんなにやってるからいいのか? |
|
意向把握 | 保険会社は、顧客の意向に沿った保険商品を提供しなければいけない。 | 売上のために無意味な商品を売りつけてはダメ。 |
情報提供 | 顧客が保険に加入するかを判断するために必要な情報を提供しなければいけない。 | 雑な勧誘はダメ。 |
こんな感じです。
禁止行為なんかはグレーな感じでやってくる営業もそれなりにいるんですが、一応ちゃんと規制されているということは覚えておいてください。
そういう業界。
ちなみに保険業法は共済には適用されません。
代わりに「各種協同組合法」とい法律で別に規制されているためです。
ただし、保険業法より1つ上の「保険法」は共済にも適用されます。
ややこしいですがざっくりと覚えておくといいでしょう。
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保険における契約者保護のまとめ。
- 保険契約者の保険金を保護するのが「保険契約者保護機構」。
- 望まない契約を一定要件でキャンセルできる仕組みが「クーリングオフ制度」。
- 保険会社が潰れそうかどうかの目安「ソルベンシー・マージン比率」。
- 悪い営業を規制するささやかな法律が「保険業法」。
こんな感じでしょうか。
特に日本人は保険大好き民族で、保険というだけでありがたがってしまうため、そこにつけ込んで営業成績を上げようとする輩が跋扈しています(保険に限らず金融業界全体ですが…)。
なので保険業法という縛りを設けたり、クーリングオフを適用してみたりといろいろな対策を講じているのですが、現状でもまだその手の被害はなくなりません。
保険業法で営業を縛っているとは言っても勧誘を受ける側が知らなければ意味がありませんので、契約者保護の内容は試験に限らず今後の人生のために覚えておいて損はないと思いますよ。
以上です!
