FPについての雑感

FP資格を取る意味って何?少なくとも持っているだけで食える資格ではないけど取る意味はあるよ!の話。

FP005

私は若い頃金融界隈の営業職に従事していたことからAFP資格を取り、現在は全く関係ない食品メーカーの経理の傍ら1級FPを目指して(十数年ぶりに)勉強中です。
今回の記事では「結局FPって何のために取るの?」「資格としてFPに意味はあるの?」といった誰しもが思う疑問について書いていこうかと思います。

これを読んでFP試験へのモチベーションを高めるのか、あるいは「要らんな」となってFPの勉強をやめるきっかけとなるかは皆さん次第ではありますが、おじさんの戯言にお付き合いいただければ幸いでございますよ。

FP資格についてのおさらい。

毒猫
毒猫
そもそもFPって何なのよ?

FP(ファイナンシャルプランナー)とは、ざっくりいうと「お金に関する様々な知識に関して勉強したことのある人」と思っていただければいいと思います。

FP資格については大まかに2系統あり、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士(1~3級)と、民間資格のAFP・CFPに別れます。
FP技能士は1度受かってしまえばその後一生FP技能士と名乗ることができ、資格維持のためのランニングコストはかかりません。

一方のAFP・CFPは民間資格で、資格を維持するためには2年ごとに一定の単位を取得(有料)しなければ資格の更新が認められません。
また、FP協会という主催団体に年会費を納めて会員資格も維持する必要があり、これを怠るとFP協会から退会となり、取った資格も剥奪となります。
さらにCFPになった場合にはCFPライセンス料が別途発生しますので、この資格を維持するにはトータルで年間数万円の維持費がかかってきます。

FP技能士とAFP・CFPには直接的な優劣はありませんが、試験の難易度でいうと、
1級FP>CFP>AFP≧2級FP>3級FP
といった並びになりますね。
とりわけ1級FPは直近の学科試験の合格率が約3%という驚異の難易度を誇ります。
2級程度のFP知識がすでにある人達だけが受験して3%ですから鬼難易度と言えるでしょう。
ただし、CFPは6つの科目を個別に受験して合格を積み上げていくことができ、CFP全科目合格者は1級学科試験が免除されるので、CFPを経由して1級FPを目指す人もいるようです。

三本松
三本松
ちなみに私もCFP経由での1級受験者です。
毒猫
毒猫
1級のためにFP協会に金払ってたんか!?
三本松
三本松
いや…昔はCFPになりたかったんだけど転職してから惰性で年会費払ってたのが勿体なくなって1級取って退会しようかと思って…。
毒猫
毒猫
18年間も惰性で!?
それはそれでどうかしてるよ?
三本松
三本松
返す言葉もないよ!

FP資格は何に使う?食えるの?

FP資格は何に使うのか、結局食える資格なのかという疑問は、これからFP資格の勉強を考えている人なら誰しも気になるところかと思います。
それについてはどうなんでしょうか。

現状のFP資格は「金融営業マンが素人に対して振り回す武器」

最初に夢も希望もないことを言ってしまいますが、税理士や弁護士などの士業にあるような独占業務はFP資格者にはありません
つまり、FP資格があろうがなかろうが仕事内容に変化や幅の広がりはないということになります。

ではFP資格は何に使うのかというと、

金融商品販売業従事者が顧客に対して商品を販売する際に
営業トークに説得力を持たせるため
に使っている

というのが現実です。

例えば、保険代理店の営業マンが保険を売りたいと思ったときに、

保険屋さん
保険屋さん
お子さんが進学の際にはこれだけのお金が必要になります。
その時に備えなければ!

と言って学資保険を勧めてきたりするときに、その営業マンが何の資格もない人よりかは「ファイナンシャルプランナー」という肩書があったほうがそれっぽく聞こえるといった感じです。

これは個人的な意見ですが、営業マンが持っているFP資格は顧客にとってプラスになることはほとんどないと思って構いません。売るためのツールでしかないわけですから。
ここを勘違いして「FP=お金のプロ」だと思っていると、FP資格を持ったプロ営業に身ぐるみ剥がされて大事なお金を失ってしまう可能性が高いです。
FP資格の有無で顧客利益が変わることはないのでここはしっかり意識して営業マンと付き合ってください。

三本松
三本松
極論いうと金融界隈の営業マンには近づかないのが一番いいんですけどね…。

FP資格の効用は「ビビらすだけ」

これはYoutubeでサバンナの八木さんが言っていた言葉です(正確には「1級FPは基本ビビらすだけ」)。
彼は芸人でありながら3級→2級とFP技能士の資格を取得して、現在1級取得のために勉強中心の生活を送っているそうです。

毒猫
毒猫
その豆知識要るか??

これはある意味核心を突いていて、FP資格に独占業務がない以上これはしょうがないことなのかなと思います。
上で述べた「営業マンの肩書にFP資格がある」ことで顧客が信用しやすくなるといった効用もこれに類するものだと思います。

ただこれは逆でも言えることで、例えば金融の営業マンがあなたのところに口八丁で金融商品を売りつけようと近づいてきたとします。
その時あなたがFP資格を持っていることを知ったらどうでしょうか。
おそらくその営業マンは少なくとも嘘や誤魔化しを並べ立ててまで貴方に商品を売りつけようとはしないと思います。

三本松
三本松
売れる見込みもない上に返り討ちとか嫌ですからね。

ブラック金融会社の営業も経験したことがある私の偏見ですが、FP資格を持っている勧誘対象に対して営業マンが抱くイメージとしては、

  • 3級FP → 「金融知識かじってるからあんまり雑な営業はかけられないな…」
  • 2級FP・AFP → 「間違ったこと言ったらバレるし他あたろう…」
  • 1級FP・CFP → 「うわ怖っ!近づかないようにしよう!」

こんな感じです。

三本松
三本松
※個人の感想です。

つまり、FP資格は「金融営業マンが素人に対して振り回す武器」だけでなく、「金融営業マンから身を守る盾」にもなるということです。

もし仮にあなたがFP資格を持っていたとして、金融の営業マンがそれを知った後もゴリゴリ金融商品を勧めてくるようであれば、その営業マンはFPについて無知すぎるか視野が狭すぎる営業マンであることは明白です。
ですのであなたにとって付き合う価値のある営業でないことは間違いないでしょう。
それくらい普通の金融営業マンはFP資格持ちの顧客を警戒しています。

「FP資格は食えない」と言われるのは嘘ではない。

FP資格は食える食えないの話になるとやはり「食えない」と言われることのほうが多いのですが、これはあながち嘘とも言えません。
FP資格を仕事に役立てようとするとやはり、保険・証券・不動産業などの金融商品販売事業者の営業職くらいしか使い所はないですし、FP資格があろうがなかろうがこれらの職種の成果は資格そのものよりも営業スキルに依存することのほうが多いからです。
もちろん多少の資格手当が出る会社もあるでしょうが、結局は営業としての数字を挙げなければ食べていくことはできません。

ですので「食えるか食えないか」だけを論ずるとなるとやはり「食えない」ということになるわけです。
FP資格はそれだけでどうこうするものではなく、金融の営業にプラスオンするためのツールに過ぎないんですね。
私も正直、現在持っているAFPと2級FP技能士の資格を金融とは無縁である今の仕事に活かせているとは言い難いですし、それはこの先1級を取得したとしても変わることはないでしょう。

FP資格を直接活かすのであれば
金融営業マンになって素人相手に振り回すくらいしかない

というのは覚えておいてほしいところですね。ぶっちゃけFPだけじゃ食えません。

スポンサーリンク




FP資格を取得することの意味は?

では金融営業マンにならない人間にとってFP資格は全くの無意味なのかというと、必ずしもそうではありません。
1つは上でも述べたように「金融営業マンから身を守る盾になる」ということですが、それ以外には何があるか考えてみました。

お金に関する幅広い知識を勉強することで引出しが増える。

ご存知の通り、FP資格試験の勉強をすると非常に幅広いお金の知識を身につけることができます。
たとえ仕事に活かせない環境であっても、勉強した内容の多くは自分の人生の中で遭遇する可能性がそこそこにあるわけですね。

例えば結婚や子供が生まれることでライフステージが変わったときに必要な資金を計算したり、家を買うときにローン返済が無理なくできそうな物件価格の見積もりを出したり、FPの勉強が活かせる場面はそれなりに出てきます。

毒猫
毒猫
相続も?
三本松
三本松
税理士に頼む必要があるかないかくらいは計算できるかな…。
必要だと思ったらその後はめんどくさすぎて丸投げするけど…。

人生の中でまとわりついて離れないお金に関する事柄について、自分で解決する道筋を立てられるというのは間違いなくアドバンテージになります。
特に最近は情報とお金が昔以上に直結する時代です。
FP試験に限らずではありますが、お金にまつわる勉強をしている人としていない人では生涯でかなりの差がつくであろうことは間違いありません。

三本松
三本松
今の私も決して裕福ではありませんが
もし私がFPの勉強してなかったら今頃借金まみれで野垂れ死にしていたかもしれません。
毒猫
毒猫
えぇぇ・・・。

お金のことに関して調べる癖がつく。

もちろんFP資格の勉強さえしていれば世の中にあるお金の知識が全てカバーできるというわけではありませんし、何もしなくてもお金に関して何でもわかるというわけではありません。
しかし、ある程度幅広くお金について勉強したという経験によって、お金に対する未知の知識を調べることのハードルがぐっと下がります
もっと言えば、ニュースなどでお金に関するわからない情報や新しいワードが出てきたとき、それを調べないと気が済まなくなったりもします。
資格の合格不合格自体よりも、私はこちらの効用のほうがFP資格勉強の醍醐味なんじゃないかなと思うわけです。

例えば2024年から始まる新NISAについては、(2023年時点では)現行法ではないので現在のFP資格勉強で出てはきません。
しかし、FPの有資格者の多くは気になって自ら新NISAについて既に調べている方がほとんどなのではないでしょうか。

三本松
三本松
なにせ来年にはスタートしますからね。
このビッグウェーブに乗らない手はないです。

人それぞれで大小はありますが、FP資格の勉強をするとお金に関するアンテナ感度が非常に高くなり、未知の金融情報に対して調べることが苦ではない、むしろ楽しみになってくるという副作用があります。
情報のアップデート頻度が著しい現代において、調べることが苦にならないというのは割と大きめのアドバンテージになると私は考えています。

FP資格は結局取るべきなのか?

FP資格は結局取るべきか否かという問いに対しては、

仕事で必要な他の資格がないなら取るべき

ということになります。
取る意味については上で述べた通り、金融営業以外の仕事の武器にはならないけど自分のお金を守れるという点で意味はあると考えます。
人生においてお金の問題からは逃げられませんし、逃げようとすれば他人に任せることで余計なコストが青天井で膨れていくからです。

ただもしあなたが、

  • 仕事上必要または有用な他の資格が明確に存在する
  • 他業種に転職するための有益な資格を探している

という状況であれば今FP資格を取得することは優先事項ではありません。
先にも述べましたが、FP資格が仕事で役立つのはほぼ金融営業に限られるからです。
そして金融の営業職に転職するケースにおいても、ある程度営業自体を経験したほうがFP資格の勉強に有利になりますし、あえて先にFP資格を取る必要性は薄いと言えます。
それならば、今の仕事や転職先の仕事に直接使える資格を優先して取得したほうが遥かにパフォーマンスがいいでしょう。

逆に、

  • 仕事上で差し迫って必要な他の資格が特にない
  • 将来に対し漠然とした経済的な不安がある
  • 若い、学生

こういった方はFP資格を取得するのは個人的におすすめします。
特に、勉強時間をある程度確保できる学生さんが手始めに取得する資格としてはFP3級あたりはうってつけと言っていいでしょう。
将来の仕事に直結する可能性は高くはありませんが、後の人生の役に立つことは間違いありません。
そしてお金の知識は後の人生が長いほど役に立つ頻度は高くなりますので、勉強を始めるのは早ければ早いほうがいいです。

三本松
三本松
個人的には簿記3級とFP3級レベルは高校の必修にしてもいいと思っています。

また、将来の漠然とした不安というのは誰しも抱えているとは思いますが、FPの勉強をすることで、その漠然とした不安をある程度可視化することができます。
そして可視化することによって、

  • 将来のどの時点でざっくりいくら足りなくなるか
  • それを補うために前もって取れる対策は何か
  • または、不安が実はただの杞憂だった

といったことがわかります。

今の仕事上で必要な資格を取れば収入が上がり不安が消えるという方にとってはFP資格は優先して取る資格とは言えません。
しかしそうでない場合、FP資格を取る(ために勉強をする)ことで不安を可視化し、転職や貯蓄運用などの対策を考えて前もって行動が取りやすくなるという点では意味のある資格と言えます。

三本松
三本松
資格試験の合否自体よりも
自分の将来を可視化できるまでの勉強をするという行動が重要ですね。
毒猫
毒猫
まあそれができるレベルまで勉強すりゃ大体受かるけどな!

スポンサーリンク




FP資格を取得する意味についてのまとめ。

  • FP資格は国家資格(1~3級技能士)と民間資格(AFP・CFP)の2系統存在する。
  • 上の2系統に優劣はないのでどちらを目指してもOK。
  • FP資格自体はそれだけで食える資格というわけではない。
  • 一部業種を除き転職や就職に有利になる資格でもない。
  • FP資格の本質は「ビビらす」ことだけ。
  • ただし資格勉強の中で得られるものは多い。
  • 金融知識の引き出しを増やし、調べる癖がつくことは後の人生に役立つ。
  • 仕事に必要だったり役立つ別の資格があるならそちらを優先すべき。
  • 他にやることなければ早く取っておいて損はない。

こんな感じです。

私個人の結論としては、

他にやることがなければ早く取っとけ!いずれ役に立つ!

です。

正直言って3級FP技能士についてはさほど難しい試験ではありませんし、3級に受かった人であれば2級の勉強も効率良く進めることができます。
3級合格に必要な勉強時間は個人差はありますが80~150時間程度と言われています。
よほど拘束時間の長いブラック企業でもなければ3ヶ月も勉強すれば充分に合格圏内に達することができます。
それくらいの勉強で海千山千の金融営業マンに対して弱バリアを張れるのであれば割とお得なのではないでしょうか?

中バリアに相当するFP2級技能士になると少し難易度は上がりますが、3級合格直後からであれば150~200時間ほど勉強すれば合格ラインに達すると思われます。

三本松
三本松
すみません私はAFPから入ったので断言できません…。
ちなみに1級技能士の難易度は鬼です。

一方民間資格の方のAFPになるには取得講座を修了して提案書を提出後、2級FP技能士試験を兼ねたテストに合格する必要があるので技能士より少し面倒です。
こちらは面倒な分、講座で一定の試験勉強時間の確保と効率化ができるというメリットもあります。

三本松
三本松
独学より余分なお金かかりますけどね…。

FP資格は食えない食えないと腐されがちな資格ではありますが、FP資格の本質は稼ぐためというより資本主義社会を生き残るためのツールと言えるでしょう。
それを意味のあるものと取るか、結局食えないから意味がないと取るかだと思います。
前者であればFP資格の勉強をしてそのツールを手に入れるもよし、後者であれば別の食える資格を模索するのもそれはそれで一つの生き方です。

何にせよ今回の記事でFP資格の立ち位置を知ってもらうことで今後の判断材料になれば幸いでございますよ。

以上です!

 

ABOUT ME
三本松
野良の1級ファイナンシャル・プランニング技能士。 副業として「三本FPラボ」経営。 北海道根室市出身、都内在住。 基本は零細メーカーで経理をやりつつ、金融機関に属さない野良FPとして日々勉強中。 無知故に若い時間とお金を無駄にしてしまった経験から、 過去の失敗などで学んだことを記事にして発信しています。