昔からそうなんですが、FPという肩書を武器にして知識のない人を食い物にしている営業マンは結構多いです。
個人的に色々思うところがあるのでそれについて書いていきます。
もしかしたら口汚く罵るような記述もあるかもしれませんがご了承の上読み進めてくださいね。
Contents
とあるママ友からの相談。保険屋に騙されている?
我が家は私が博打好きFP(本職はただの経理)で妻が為替に明るい仕事ということで、とあるママ友から資産運用の相談を受けました。
そのママ友から加入中の保険についてざっくり聞かれたのでざっくり答えたんですが、とりあえず
- 外貨建ての保険はゴミ。
- 保険屋などの紐付きFPの言いなりになると損をする。
- 保険は投資としては下の下。
- 将来の備えにはまずはiDeCo。
- 博打はお小遣いで。
みたいなことをさわりだけ話しました。
するとそのママ友には①と②が痛いところに刺さってしまったようで、
と、目に見えてド凹みしていました。
そんなこともあってか、そのママ友はすっかり資産運用に対して前のめりになり、私に保険証券のコピーを渡して詳細な意見を求めることに。
ゴミ商品の外貨建て終身保険が3本も!クソFPのクソ采配。
無償とはいえ個人情報や守秘義務もあるので、あまり詳細に踏み込まず脚色とボカシを加えながらになりますが、何らかの参考になれば幸いでございますよ。
そのママ友は旦那さん(以下、パパ友)の分も含めて結構な本数の保険に加入していました。
その中の何本かはちょっと癖のある保険ではあるものの、まあ保障としてはあって損はないものなので、支払がきつくなければそのままにしておいても大丈夫な旨を伝えました。
問題は3本もあった「外貨建て終身保険」です。内容は、
- 数年払済のママ友本人の終身保険。年払。
- 一時払のママ友本人の終身保険。年払。変動利率型。
- お子さんを被保険者にした数年払済の終身保険。年払。
すべて外貨建てです。
そして全て加入から2年以上経過していました。
正直これを見たときは「詰んだ」と思いました。
当初軽く相談を受けていたときは月払いで加入し間もないとかそんな話だと思っていたので、
などと簡単に答えていましたが、有期払いで2年~3年分も支払った後では損切りとしては大きすぎる額です。
しばらく付き合うとしても解約返戻率が100%くらいになるのはまだまだ先です。
今後数年から十数年の間身動きがとれないという非常に厄介な状態となっています。
しかも悪いことに、お子さんが被保険者となっている外貨建て終身保険については、相談したFPから
と勧めていたにもかかわらず、解約返戻率が100%を超えるのはお子さんが20歳以降という酷い商品でした。
2浪前提とか酷すぎるな。
こんな人を馬鹿にした売り方をするボンクラ営業がいまだにいるのかと思って戦慄したね。
とりあえずそのママ友には、
そのときにまた考えましょう。
と伝えるのが精一杯でした。
スポンサーリンク
外貨建て個人年金保険や外貨建て終身保険がゴミな理由。
というわけでこれを読んでいる方がうっかり外貨建て保険を購入してしまわないよう、これらの商品がどれだけメリットの薄い商品かについて書いていきますのでご参照ください。
1.資金の流動性が著しく落ちる。
これは掛け捨てではない保険商品全般に言えることですが、この手の保険に一旦加入してしまうとその資金はかなり長期間に渡ってロックされてしまいます。
何かがあってまとまった資金が必要になっても、経過年数が短いと支払った保険料に満たないどころか、解約返戻金が0円などということも普通にありえます。
ですのでもしこの手の保険に加入するのであれば、長期間絶対に手を付けない確信のあるお金でやるしかないわけです。
月払いで少額ずつであればそれほど影響はないかもしれませんが、有期年払や一時払でやってしまうと家計に対するダメージも大きくなってしまいます。
初期の解約返戻率が著しく低くなる理由は「保険屋さんの経費を保険料から先取りする」からです。
この経費には、
- 原資の運用にかかる経費。
- 会社の運営にかかる経費。
- 会社の粗利。
- 代理店や営業マンに対するインセンティブ。
などが含まれ、これらに充当される保険料を「付加保険料」と呼びます。
そして、支払った保険料から経費(付加保険料)と保険金支払いに充当する部分(「純保険料」の一部)を引いた額を運用に回し、そこからでた運用益が支払った原資に加算されていきます。
つまり、保険料から経費を引いた残りに運用益を足していった金額が支払保険料を超えるまでは解約返戻率は100%に達しないということになるわけですね。
月払いで数ヶ月だけ支払った程度であれば損切りとして割り切れるかもしれませんが、短期の有期支払いでまとまった保険料をすでに支払っている場合は損切りするには金額が大きすぎるので逃げることもままなりません。
おそらく件のFPはその辺もわかった上で、保険料が少し割安になるとか何とか言って短期の年払いを勧めてきた可能性もあります。ひどいですね。
基本的に積立型の保険というものは「何があっても満期まで絶対に使わない自信があるお金」で加入するものと思ってください。
急に入り用になった時に一番頼りにならないのが保険に積み立てたお金なのです。
2.為替差損があり得るので市況によって流動性がさらに落ちる。
ただでさえ長期間の資金ロックを強いられる貯蓄性保険ですが、これに為替差損を加味するとロック期間がさらに長くなる可能性が出てきます。
例えば1ドル=110円のときに、10年後にドルベースでの解約返戻金率が100%になるドル建の個人年金保険を一時払で買ったとします。
もちろん10年間は返戻率が100%を下回るので解約すると損失が出ますので、解約するとしたらそれ以降がベターということになります。
しかしその間に円高が進行し1ドル=108円となっていたらどうでしょうか?
書類上の解約返戻率が100%だったとしても円ベースでは100%に満たないので、円安に振れるか為替差損をカバーするほどの利回りを得るまでは結局その資金はロックされることになってしまうわけです。
もちろん買った当初より円安に振れれば為替差益は出るのですが、為替の上下で利益を出すための金融商品であれば保険なんかよりずっと魅力的な商品はあるわけです。
わざわざ為替の丁半博打を資金ロック期間がべらぼうに長い保険でやる意味は1つもありません。
3.付加保険料の他に為替手数料がかかるので為替差損が出やすい。
外貨建て保険を売りたがる保険営業マンが一番触れたがらないのがこの「為替手数料」です。
外貨建て保険は当然外貨で積み立てる保険ですので、手持ちの円を外貨に両替しなければ外貨を積み立てることはできません。
そして外貨両替に手数料がかかるのも避けることはできません。
にもかかわらず保険営業はこの為替手数料についてろくな説明をしてきません。
保険会社のHPを調べても明記されていない会社すらある始末です。
ざっと見た限りでは、為替手数料は安い会社でも1米ドルあたり0.25円、高ければ外貨預金と同じ1円かかるところもあるようです。
ホームページを調べても為替手数料の詳細が記載されていない保険会社まであります。
ちなみに米ドル以外の外貨の場合はさらに高い手数料がかかります。
これは片道あたりですので、満期返戻金や解約返戻金を円貨で受け取る場合にはもう一度同額の為替手数料を支払う必要があります。
つまり、米ドルで片道0.25円の為替手数料を徴収される場合、解約返戻率が100%になった後でもドル相場が0.5円以上円安ドル高に振れていなければ元本割れしてしまうことになります。
もし1円の手数料なら約2%ドル高にならなければ結局損をしてしまうという恐ろしい商品です。
外貨建て保険を勧める保険営業マンは、高い為替手数料でマイナスからのスタートを強いることをひた隠しにして「外貨のほうが利回りがいいですよ!」と僅かな金利差を振りかざしてゴミ商品を売りつけてくるんです。
絶対に騙されないでください!
ちなみに世間から嫌われがちなFXでは為替手数料(スプレッド)は0.1銭程度から高くて1銭です。
為替の上下で勝負したいのであれば自分でレバレッジを管理しながらFXをやったほうが断然割がいいのです。
そして自分でレバレッジ管理ができないのであれば為替の上下で勝負する土俵にすら上がれていないということは覚えておいてください。
そもそも保険の役割は保障。保障と運用は別で考えるべし。
世の中には「掛け捨ての保険は戻りがないから損」と考える人が一定数います。
それならばと積立感覚の終身保険を選ぶ人が多くなるのも無理はありません。
しかし、掛け捨てでない保険は「掛け捨て部分が隠れているだけ」で実際には捨てられている部分は存在するのです。
それが上で述べた「付加保険料」にあたる部分です。
この部分は積立原資として運用されることはありませんので掛け捨てているのと同義です。
終身保険や個人年金保険は、掛け捨てる部分を運用原資の存在で覆い隠しているに過ぎないのです。
要は保険金額が一緒であれば保障部分の掛け捨てられる金額は概ね同じで、残りの保険料部分については、
- 掛け捨ての保険 → そもそも支払わない。
- 掛け捨てでない保険 → 追加で手数料を支払って運用を一任する。
という違いでしかないということになります。
そして資金流動性や手数料、昨今の運用利回りなどを考えた場合、運用を保険会社に一任することは良策とは言えません。
結果として、保障は掛け捨ての保険で賄い、残りのお金を使って自分で資産運用を行ったほうが断然有利ということになります。
少なくとも運用部分の金額を長期間に渡りロックされて流動性を殺してしまうようなことはなくなりますし、金融商品をちゃんと選べば債券を寝かせておくだけの運用よりも期待できる利回りは大きくなります。
「掛け捨て」という言葉に捕らわれて保険屋さんに無駄金を支払うよりも、保障と運用を別個のものとして考えて賢く立ち回ることこそが重要なのです。
スポンサーリンク
ではなぜFPが外貨建て保険を売りつけてくるの?
先に述べたように、外貨建て保険は投資商品としては下の下と言っていいほどメリットの少ない金融商品です。
ではなぜFPが外貨建て保険を売りつけてくるのでしょうか。
その理由はざっと以下の通りです。
- そもそもFPは保険屋に紐付いていることが多い。
- 保険屋紐付きのFPは他の金融商品を売れない。
- FPである以前に保険営業が本業なので保険以外の金融商品を勉強しない。
- 投資商品でも保険の皮を被っていればネガティブなイメージを削減できる。
- 円建ての保険より保険会社の利益がかなり大きい。
他にも細かい理由はあるかもしれませんがだいたいこんなところです。
そもそも現在FPの肩書を使って営業している人の大多数は保険の営業マンです。
というよりFPという資格そのものが保険屋の営業ツールとして使われてきたという歴史があります。
ですので私のような、昔取ったFP資格を惰性で更新し続けている野良のFPというのは非常に珍しく、野良の人間がFPを持っていても職業としての使い所はあまりないんですね。
結局FP資格自体が金融商品(主に保険)の営業マンに偏ってくることになります。
しかし、何も知らない人間からすればそのFPが持つバックグラウンドには関係なく「お金について幅広い知識を持って他人に最適なものを探し出してくれるプロ」みたいなイメージがあるようです。
この「FPの実情と世間のイメージ乖離」のせいでポンコツFPに消費者が騙される事例は跡を絶ちません。
目の前のFPの本職は何なのかを常に気にしてください。
彼が保険屋なら保険しか勧めてきませんし、不動産屋なら不動産投資を勧めてきます。
証券マンなら投資信託を勧めてきますし、銀行員なら粗利の高い商品から順に進めてきます。
結局所属している組織の意向に沿った行動しかできないのがFPなんです。
日本人はリスクを嫌う傾向があるため、質の悪い金融商品に保険という薄皮をかぶせて不安や欲につけ込んで売りつけるのが保険屋のやり方なんです。
「FP無料相談!」の無料部分に目を奪われてノコノコ出ていくなんてまさにカモネギですからね。
「教えてくださ~い」みたいなスタンスで職業FPに教えを請うたが最後、手持ちの現金はすべてロックされて身動きが取れなくなってしまいます。
インターネットの普及でFP程度の知識ならいくらでも拾える現代では、情報格差で飯を食っている金融屋は知識のない人間から限界まで搾り取ることで利益水準を維持しているに過ぎないのです。
スポンサーリンク
外貨建て保険を勧められたら縁を切ったほうがいい話のまとめ。
何だか途中から職業FPの悪口に話が拡大していましたが、原則として「外貨建て保険は投資商品としての価値が極めて低い」ことは絶対に忘れないでください。
この商品が一定程度の意味を持つのは相続対策くらいのものです。
死亡保険金などは民法上の相続財産に含まれないため、相続財産とは違って受取人の固有財産になります。
そのため、相続させたい人を受取人に指定することで保険金相当額を相続争いから逃れさせるために利用することができます(外貨建てである必要はありませんが…)。
ただし、相続税法上のみなし相続財産として相続税の対象にはなりますすので申告はちゃんとしましょうね。
まあ相続を心配するような人は多少保険屋に騙されたところで痛くも痒くもないでしょうからあまりこの辺は気にしなくてもOKです。
家計のやりくりや資産運用に気を回さなくてはいけない我々一般庶民にとっては外貨建ての積立保険は下の下ということだけは覚えて帰ってください。
そもそも保険商品で専門外の投資を一緒にやろうというのが間違いなんです。
万が一のときのために備える保障部分は定期保険などの掛け捨ての保険で安く済ませ、浮いたお金で資産運用を自ら調べた上で行うというのが最も合理的です。
間違っても外貨建て終身保険や外貨建て個人年金保険といったゴミ商品には手を出さず、もしそんなものを勧めてくるFPがいたら2度と関わらないことを強くおすすめしますよ!
以上です!