今回は自作PCの必須パーツの1つ「電源ユニット」の選び方についての記事です。
例によって主観と偏見によって構成されていますのでご了承の上読み進めて下さいね。
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電源ユニットの購入が必要な人、そうでない人。
電源ユニットは読んで字の如く、コンセントからの電気をパソコンに供給するためのパーツです。
これがなければもちろんパソコンは動きません。
ただ、電源ユニットは絶対買わなければいけないのかというと、そうではないパターンもわずかに存在します。
それは、「PCケースに電源ユニットが付属している」場合です。
この場合は電源ユニットを別途買うとダブってしまうので買わなくていいです。
電源ユニットのスペックに不満があって載せ替えたいなど特段の事情がなければただの無駄になってしまいます。
一般的にはスリム型のPCケースだと電源ユニット付属の製品が多く、ミドルタワー以上のPCのケースであれば電源ユニットが付属していないのが主流です。
個人的にはスリム型の自作PCを組む事自体をおすすめしていませんので、この記事については電源ユニットを別途購入する前提で話を進めていきますよ。
まずはPCケースから電源ユニットの大きさを決める。
電源ユニットを買う際にまず気をつけることは物理的な大きさです。
いくら安くて高性能な電源ユニットを買ってもPCケースに入らなければ意味がありませんからね。
とは言っても考えることはそう多くはありません。
マザーボードなどと同様、電源ユニットも大きさの規格はある程度決まっています。
主な規格の種類は、
- ATX
- SFX
- Flex-ATX
- TFX
- EPS
あたりでしょうか。
このうちTFXとFlex-ATXはメーカー製スリム型PCやキューブ型PC向けのトリッキーな規格のため自作PCにはほとんど関係ありません。
EPSはサーバー向けでこちらも自作PCにはあまり関係ない規格です。
残る2つのうち、ATXがミニタワー~フルタワー向けの一般的な規格です。
SFXはスリム型ケース向けの小型サイズの規格になります。
スリム型のPCケースには電源ユニットが付属している商品が多いので、必然的にラインナップはATXのほうが豊富になっています。
お使いの予定のPCケースに合わせて規格を決めていけばいいでしょう。
まだPCケースの種類を決めていないという方は下の記事を参考にケースを選んでいただければと思います。
もしどうしてもスリム型を組みたいという方は、ケースとマザーボードの大きさにご注意下さい。
ケーブルの着脱可能なプラグイン式電源ユニットだとよくありますが、最悪そのプラグインがマザーボードに干渉して取り付けられないという悲劇が起こります。
罠が多すぎます。
電源容量は大体のスペックで絞っていこう。
積む電源ユニットの大きさを決めたら次に気にするのは電源容量です。
これはある程度組むPCのスペックを決めておかなければいけません。
電源容量が足りなければ電力不足でスペックを発揮できませんし、逆に不必要な電源容量を積んでもコストが上がるだけで無駄金を使うことになります。
大まかな必要電源容量としては、
- ローエンド → 300W程度
- ミドルレンジ → 300~600W程度
- ハイエンド → 600W以上
くらいが目安です。
よく言われているのが、「各パーツの必要ワット数を足しこんだ数字の2倍くらいの容量のものを選ぶ」というものです。
まあ初めて組むのに必要ワット数なんてわかるわけがないんですが、もし組むパーツがだいたい決まっているならそこから計算して出したほうが無難といえば無難です。
下のサイトでパーツを入力してくと推奨ワット数が算出できる計算機がありますので利用してみるのもいいかもしれません。
https://www.dospara.co.jp/5info/cts_str_power_calculation_main
「そんな細かく決めてないよ!とりあえずだいたいでいいから教えてくれ!」という方は、ざっくりと下記のような感じで電源容量を決めていいかと思います。
CPU | グラフィックカード | 推奨容量ざっくり |
Celeron、Athlon | なし | 250Wくらい |
あり | 300Wくらい | |
Core i3、Ryzen3 | なし | 350Wくらい |
あり | 400W~500Wくらい | |
Core i5、Ryzen5 | あり | 500W~600Wくらい |
Core i7、Ryzen7 | あり | 600W~900Wくらい |
Core i9、Ryzen9 | あり | 900W以上 |
こんな感じでしょうか。
「利用するCPUスペックとかけ離れたグラフィックカードを使わない」、「グラフィックカードは1枚まで」という前提であれば上記くらいのを選んでおけば問題ないと思いますのでご参照くだされば幸いでございますよ。
他にも光学ドライブの有無やメモリ枚数、ファンの個数などで多少変動しますが、極端にたくさん積むとかでなければあまり考えなくていいでしょう。
電源容量を一番食うのはCPUとグラフィックカードですので、この2つのスペックが上がれば必要な電源容量も上がっていくと考えて下さい。
ちなみに我が家の構成は、
- CPU → Core i3 8100
- グラフィックカード → GTX 1050Ti
- 光学ドライブ あり
- メモリ 2枚
- HDD 1個
- SSD 1個
これで400Wの電源容量で組んでいます。
上に挙げた計算サイトだと推奨より若干足りていませんが、とりあえず問題なく動いてくれていますよ。
もちろんこの先グラフィックカード換装や設備の増設などを考えているのであれば、推奨電源容量よりもワット数に少し余裕をもたせておいたほうがいいかもしれません。
ちなみにローエンドの低容量電源ユニットについて注意すべき点が1つありますので書いておきます。
低容量(400W未満)の電源ユニットはATX電源があまりなく、主流がSFX電源となっています。
小型サイズのSFX電源はATX規格のPCケースにそのまま取り付けられない場合があります。
取り付けにはATXプラケットが必要になったり、取り付けた後にコードの長さが足りずに延長コードを買わなければいけなくなったりするんですね。
ケースによっては対応していますが、プラケット付きの電源ユニットを選ぶほうがいいかもしれません。
450W以上だとATXのラインナップがだいぶ増えてきますよ。
ないよりはあったほうがいい「80PLUS」認証。
電源ユニットの役目の1つは、コンセントから供給される交流の電気を、パソコンを動かすのに必要な直流の電気に変換することです。
そして変換の際には必ずロスが出てしまうんですね。
「80PLUS認証」は変換時に出るロスを20%以下に抑えて8割以上をちゃんと使えるようになっている電源に付される証です。
つまり変換のロスが少ないので省エネ性と供給電力量が一定以上担保されているというユーザーにとってはありがたいマークということになります。
種類は上から、
- チタニウム
- プラチナ
- ゴールド
- シルバー
- ブロンズ
- スタンダード
と6種類存在し、チタニウムになると90%以上、最大で94%という変換率を誇ります。
ただまあ、スタンダードでも80%は保証されているので、80PLUS認証がついているものであればランクはそこまでこだわる必要もないかなという気はします。
というのも認証のランクが上がるほど値段も上がってくるという当たり前の市場原理がバッチリ働いているからです。
ですので、80PLUS認証自体はあったほうが安心ですが、ランクについては「同価格帯で上位ランクならラッキー」くらいの感覚で問題ないと思います。
使用感の違いは感じませんね。
コネクタも種類はあるが古い型の電源ユニットを選ばなければまあ平気。
電源ユニットはマザーボードに電気を供給するのが役割ですが、当然ながら線で接続してやらなければ通電しません。
電源ユニットのケーブルとマザーボードとの接続部分を「コネクタ」と呼び、コネクタの形状はある程度規格が決まっています。
正直そこまで気にしなくても合ってくれることのほうが多いですが、たまにどう頑張ってもつながらないパターンもありますので少し解説します。
マザーボード全体に通電させるメインコネクタは「24ピン」が主流。
まあ「20+4ピン」を買っておけば問題なし。
コネクタの中でメインとなるのがマザーボード全体に給電するコネクタです。
これは以前は20本のピンで構成されている20ピンが主流でしたが、現在は24ピンが主流となっています。
現在流通しているマザーボードはほとんどが24ピンのコネクタ対応ですので、うっかり20ピンの電源ユニットを買ってしまわないように注意しましょう。
もし自信がなかったりちょっと旧式のマザーボードを視野に入れていたりする場合は、20ピンと24ピンの両方に対応している「20+4ピン」のコネクタを搭載した電源ユニットもかなりありますのでそれを選んでおけば失敗しないでしょう。
実際は20+4ピンの電源ユニットが大半だったりします。
グラフィックカード用のコネクタは「6+2ピン」があればだいたいOK。
もしパソコンにグラフィックカードを搭載する予定があるのであれば、グラフィックカード用のコネクタについても少し気にしたほうがいいかもしれません。
グラフィックカードはCPUと並んで電気を食うパーツです。
そのため商品によってはマザーボードからの給電では電気の量が足りなくなってしまうんですね。
グラフィックカードには、
- コネクタ給電の必要なし。
- 6ピンでの給電が必要。
- 8ピンでの給電が必要。
- 6ピンコネクタ2つでの給電が必要。
と商品によってパターンが違います。
しかしこちらの場合も「6+2ピン」という便利なコネクタがついている電源ユニットがたくさんありますので、それを買っておけばどちらを買うかを決め打ちしなくても何とかなるようになっています。
この電源ユニットは6+2ピンと6ピンが1個ずつついてるモデルだよ。
グラフィックカードをまだ決めていない、先々換装するかもしれないという方はこの6+2ピンコネクタを搭載した電源ユニットを選んでおけばいいでしょう。
コネクタの数に関しては大体の商品は2つ以上ついていますのでそれほど気にしなくていいです。
ただし、グラフィックカードを2枚挿したりする場合はコネクタが足りないということもあるので、コネクタの数に余裕をもたせておくことをおすすめします。
プラグイン型はスッキリするがマザーボードとの距離に注意。
電源ユニットは本来、コード類が電源本体からニョキっと出ているのが普通です。
しかし電源ユニットから出るコードは結構数が多く、使わないコードを収納するのに結構苦労したりします。
コードを適当にしてしまうとケース内の空気の流れが滞って排熱能力が低下してしまうんですね。
そこで出てきたのが、コードが電源ユニット本体から着脱可能なプラグイン型の電源ユニットです。
これだと使わないコネクタのコードを抜いてしまうことで邪魔なコードを減らすことが可能なんです。
パソコンを組む上で不要なコードは想像以上に邪魔ですので、このプラグインタイプを使うとエアフローとケース内の取り回しが格段に良くなります。
ただしプラグイン型もいいことばかりではありません。
電源側のプラグもコネクタと同様にプラスチックの立体です。
そのためプラグインの分だけ電源ユニット本体から出っ張ってしまいます。
もし小型のケースなどで電源ユニットとマザーボードの距離が近い場合、プラグイン部分がマザーボードに干渉して組み上がらないという悲劇が起こってしまうんです。
「Haswell対応」って?まあ古い型の商品を買わなければOK。
結論から言うと大して気にしなくてもいいことなんですが、電源ユニットを選ぶ中で「Haswll対応」というワードに出くわして「???」となってしまうかもしれませんので一応書いておきます。
Haswell対応とは「Haswell以降のCPUの機能に対応している」電源ユニットのことで、ぶっちゃけると現在出回っている電源のほとんどは対応していると思って差し支えありません。
というのもHaswellはintel製CPUの第4世代Coreシリーズで、現在主流のCPUは第9世代ですからもう何世代も前の規格なんですね。
Haswellの登場は2013年ですので、遅くとも2014年以降に発売された電源ユニットであればほぼ対応済みということになります。
ですのでこれから初めてPCを組む方は、やたら古い型の電源ユニットさえ避ければさして気にするようなことではありませんのでご安心下さい。
Haswell対応について軽く調べてみましたが現在の電源ユニット市場では気にすることでもないのと、正確な説明をする自信がないので内容については割愛します。
これは確かです!
初めて組む人向け電源ユニットの選び方まとめ。
- まずは大きさ。ケースに合わせた規格を選ぼう。
- まあスリム型にしなければATXでOK。
- 電源容量は組む予定のスペックに合わせたワット数を。
- Celeron、Athlonなら300Wくらい。
- Core i3、Ryzen3なら300~450Wくらい。
- Core i5、Ryzen5なら450~600Wくらい。
- Core i7、Ryzen7なら600W以上、のイメージ。
- ワット数が気になるなら計算サイトで割り出してみるのもよし。
- コネクタのピン数は20+4ピンと6+2ピンのを選んでおけばいろいろ対応できる。
- ただしグラフィックカードを2枚挿すなど特殊な場合はコネクタの数も要確認。
- 80PLUS認証は電気の変換効率がいい印なのであったほうが無難。
- 認証のランクはそこまで気にしなくてもいいかも。
- コードの取り外しができるプラグイン式は便利だが他パーツへの干渉に注意。
- Haswell対応?古い商品買わなければOK。
こんな感じでしょうか。
まあ実際私が電源を買った際には大きさと電源容量くらいしか気にしませんでした。
あとは80PLUS認証あればラッキーくらいですかね。結局ついてましたが。
他は特に考えず選んでいますがプラグイン部分がマザーボードに干渉した事件以外で特に困ったことはありません。
電源ユニットは大事なパーツではありますが、CPUやマザーボードに比べて気にしなければならない部分も多くはありませんので、あまり構えずに選んでいっても問題ないと思いますよ。
以上です!
絞り込むのが面倒な方向けにいくつか無難な電源ユニットを紹介しておきます。
↓ローエンド向け
電源容量 | 300W |
---|---|
フォームファクタ | SFX(ATXプラケット付属) |
80PLUS認証 | ブロンズ |
コネクタ | 20+4ピン 6ピン×1 |
価格帯 | 5,000~6,000円程度 |
備考 | グラフィックカード用のピンは6ピンが1個だけ。 「ローエンドじゃいいグラボ積まないでしょ?」という前提の電源です。 |
↓ミドルレンジ向け
電源容量 | 500W |
---|---|
フォームファクタ | ATX |
80PLUS認証 | ブロンズ |
コネクタ | 20+4ピン 6+2ピン×1 6ピン×1 |
価格帯 | 6,000円程度 |
備考 | Core i5やRyzen5でいいグラボ積むと容量が心許なくなる可能性あり。 |
↓ハイエンド向け
電源容量 | 750W |
---|---|
フォームファクタ | ATX |
80PLUS認証 | シルバー |
コネクタ | 20+4ピン 6+2ピン×1 6ピン×1 |
価格帯 | 8,000~9,000円程度 |
備考 | ハイエンドの中では下位スペック向け。 |
電源容量 | 1000W |
---|---|
フォームファクタ | ATX |
80PLUS認証 | プラチナ |
コネクタ | 20+4ピン 6+2ピン×6個 |
価格帯 | 26,000円~35,000円程度 |
備考 | ゴリゴリのハイエンド向け。プラグイン対応。 |