今回の記事は特に何も役に立たない昔話ですのでそのつもりでお読みいただければ幸いでございますよ。
市販の缶詰について、手で開けられるプルトップ方式が主流になってから結構経ちますよね。
なので「今の若い子たちは缶切りの使い方を知らない」という昭和おじさんの嘆く声がよく聞かれます。
まあ使う機会がないのですから使えないのはしょうがないことですし、一方で昔を懐かしむおじさんの気持ちはわからないではありません。
それがいい悪いという話ではなく、缶切り案件でちょっと昔のエピソードを思い出したのでなんとなく書き連ねていきますよ。
一つ言いたいのは、缶切りが使えないのは平成生まれ特有のスキルではなく、昭和生まれでもそれなりにいますよ、ってことです。
ケース1.缶切りを振り上げて叩き割ろうとしたNさん(当時18)の話。
私は若い頃、とあるファストフード店でアルバイトをしていました。もう20年近く前のことです。
掲題の大学生Nさんがアルバイトとして入店して3ヶ月くらい経ったころ、私が仕込みの仕事を教えようとしていたときのことです。
私がNさんに仕込みを教えている最中に混み始めたので作る方のヘルプに呼ばれました。
とりあえず新人でもできそうなことだけ指示を出してヘルプに向かおうと考え、
と言ってヘルプに向かいます。
幸い混雑は長く続かず、程なく仕込みを教える続きに戻ることになるのですが、Nさんは缶詰を開けることなくその場に立ち尽くしていました。
私が戻ってくる気配に気づいたNさんは、おそらく指示された仕事が滞っていることに焦ったのでしょう。
おもむろに業務用の缶切りを思いっきり振り上げました。
バックグラウンドで大声を出す私、急に大声を出されて驚くNさん。
あーびっくりした。
お前今缶詰叩き割ろうとしただろ!
どうやらNさんは缶切りの使い方を知らなかったらしく、かろうじて見たことがある家庭用の細長い缶切りとも形状が違ったため、もしかしたらメリケンサックみたいな形の業務用缶切りを叩くための道具と咄嗟に判断したのかもしれません。
かくして若き日の私は、大学生相手に15分くらいかけて缶切りの使い方をレクチャーする羽目になったのでした。
まあ缶詰をあまり食べない家庭だったんじゃない?
ケース2.缶切りを見つめてありもしないものを探していたCさん(当時18)の話。
同じバイト先で前項のNさんと同時期に働き始めた大学生にCさんという人がいました。
私がNさんと同様、Cさんに仕込みを教えていたときのことです。
と例によって業務用の缶切りを渡します。
するとCさんは手渡された缶切りをくるくると回しながら見つめています。
最初は刃の位置を確認しているのかと思ったのですが、見ていても一向に缶切りをセットする様子がありません。
この時点でピンときた私はCさんに声をかけます。
その時のCさんの驚いた顔は20年近く経った今でも忘れられません。
ご存知ない方のために説明しますと、缶切りは我々に馴染みのある「握ってキコキコするタイプの缶切り」の他に、「セットしたあとにゼンマイのようなものを回して切り進めるタイプの缶切り」というものがあります。
正直当時の日本では見たことなかった。
回していくタイプの缶切りは日本では馴染みがなく、ほとんど外国でしか使われていないものでした。今はどうかわかりませんが。
実はCさんはとある国の帰国子女で、回すタイプの缶切りしか使ったことがなかったのです。
そして私はたまたま外国で見たそのタイプの缶切りのことを思い出して彼女を諭したんですね。
おそらく業務用のごつい缶切りを見て、ねじって回すパーツがついているに違いないと思ったのでしょう。
しかしその缶切りには回すパーツはついていないので、パッと見で見つからないことに焦ったのかもしれません。
隣で見ている私に悟られないようこっそり回すパーツを探すCさん。
そこへ「ねじるとこないぞ」と一撃看破されたCさん。
それは驚いたことでしょう。
テンパイMAXのCさんは、
回せないのに缶って切れるんですか!?
などとわけのわからない供述をしていました。
かくして若き日の私は、大学生相手に15分くらいかけて缶切りの使い方をレクチャーする羽目になったのでした(5日ぶり2回目)。
缶切りを使えない人たちの話まとめ。
ただの思い出話なのでまとめもクソもないんですが、まあおじさんたちが普通に使えていたものが若者には使えないなんてことはいつの時代もよくあることです。
現に我々おじさん世代だってもっと前の道具なら使えないわけですから。
今まで使っていた道具を使わなくて済むということはそれだけ現代が便利になってきているということの証左なわけですから、一緒にそれを喜べばいいんじゃないですかね。
それにしても缶切りにねじるところがないか探していたCさん、今頃何しているんでしょうかねぇ?
めちゃくちゃ怒られました。
以上です!