それほど頻繁ではありませんが、家を買う際の条件として「当社指定の火災保険に加入」という条件が付帯されていることがあります。
実際に我が家では、新築戸建の購入の際にその条件が付されていました。
今回の記事ではその辺について書いていきますので、もしそういった条件が付けられていてどうしたらいいかわからないという方の参考になれば幸いでございますよ。
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賃貸でもないのに指定の火災保険が付される理由。
指定の火災保険への加入が条件とされるのは賃貸では一般的ですよね。
火災保険に加入しないまま火事を起こしてしまったりすると損害を被るのは物件の持ち主である貸主ですし、借主の中には放っておくと火災保険に加入しないままの人もそれなりにいるでしょう。
なので賃貸のときは保障金額が損失をカバーできるように貸主指定の保険に加入させることは理に適っています。
しかし購入の場合は火災で家が焼け落ちても損害を被るのは家を買った人だけです。
極端な話、売り主は引き渡しの後であれば家が焼け落ちようがどうしようが関係ないわけです。
ではなぜ戸建ての購入(しかも新築)で売り主指定の火災保険に加入しなければいけないという条件が出てくるのでしょうか。
これはおそらく、
売り主が火災保険の代理店を兼ねている
のが理由かと思われます。
家を売ったついでに保険契約のフィーもゲット!という簡単な理由でしょう。
指定の火災保険に加入する場合の注意点。
「指定の保険会社にて火災保険の加入必須」と聞くと、勘の鋭い人は「ここでぼったくるのかよ!」と構えてしまいそうですが、少なくとも私が見た限りでは極端なぼったくり保険を売りつけられるというわけではないようです。
ただ、加入の際に少し注意点があるのでそれについて書いてみます。
注意点1:ネット保険に比べるとやはり少し高い。
これはやはり代理店を通すことになるのでその分の手数料が上乗せされます。
安さが売りのネット保険に比べるとその分はやはり高くなります。
ただ、指定だからといって代理店の取り分が極端にぼったくるというわけではなく、代理店を通すのであれば普通に乗せられる範囲の手数料と考えても問題ないと思います。
ネット保険を使ってどうしても安く済ませたいのであればその辺を交渉するのはありかもしれませんが、「ネットはちょっと…」という方であればその代理店から申し込んだとしても大損ということはないでしょう。
注意点2:保障内容は必ずチェック。必要金額に満たない場合があるよ!
いずれにしろ指定の火災保険に加入という条件なのでいきなりそれを突っぱねるわけには行きません。
購入時に火災保険の見積もりを出してくれるため、まずはそちらを入念にチェックしましょう。
見るべきポイントは
- 必要な保障内容、オプションがついているか
- 保障金額で再調達価額をカバーしているか
あたりです。
まず、保障内容とオプションについては何が必要となるかは人によって異なりますし、オプションが増えれば保険料も上がりますので、保険料と保障内容のバランスを考えながら選んでいくのがいいでしょう。
その中で「こんなオプションはあるのか」「このオプションを削ると保険料がいくら変わるか」などの質問をしてみて、必要に応じて再見積もりを出させることも検討しましょう。
間違っても最初の見積もりで何も考えずに契約するのだけはやめましょう。
そして大事なのが補償金額です。
売り主兼代理店が出してくる見積もりにおいての保険金額が、売買契約に記載されている建物代金で設定されていることがあります。
気をつけなければいけないのは、
「契約書の建物代金 = 焼失した家の再調達価額」ではない
ということです。
ちょっと小難しい話になりますが、それには消費税が関係してきます。
通常会社は売上に含まれる売上消費税から仕入れに含まれる仕入れ消費税を差し引いた額を納税します。
つまり、売上消費税が少なくなれば納税すべき消費税が少なくなるので会社の実入りが増えます。
ここでポイントになるのが、「土地の取引は非課税だが建物の取引は課税される」というところです。
通常、土地付き一戸建ては消費税込みの金額で記載されます。
つまり、物件情報で土地付き一戸建ての価格が4000万円と仮定した場合、土地価格と建物価格の割合によって発生する売上消費税が変わってくることになります。
・土地2000万円、建物2000万円に設定した場合
→土地価格:2000万円(非課税)
建物本体価格:約1818万円
建物消費税:約182万円
・土地2500万円、建物1500万円に設定した場合
→土地価格:2500万円(非課税)
建物本体価格:約1364万円
建物消費税:約136万円
上の例だと、建物1500万円の割合の方が納めるべき消費税額が46万円ほど少なくなるので、手取りがまるまる46万円増えることになりますね。
となると売り主の会社が契約時にやってくることは1つ、
建物価格を税務署に怒られない程度に安く設定する
ということです。
なので多くの場合、契約書に書かれている建物の金額は売り主が施工業者に支払った仕入れ金額に近い金額が記載されており、契約書記載の金額で個人が同等の家を建てるのはほぼ不可能ということになります。
そのため、火災保険の保険金額は契約書記載の建物価格よりも大きい金額を設定しておかないと、いざ火災で家が焼失したときに同程度の家に建て替えることができないという悲劇に見舞われます。
それで足りるかどうかは正直わかりません…。
ですので、指定保険会社からの見積もりが来た場合には契約書の建物価格をある程度上回る保険金額がちゃんと設定されているかを確認しなければいけません。
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ワンチャン指定火災保険条件が外れる場合もあるので交渉してみるのもあり!
さて、 ここまで売り主指定の火災保険に加入する前提で話を進めてきましたが、我が家では結果としてその指定条件を取り下げてもらうことができました。
その辺について少し触れてみます。
我が家は当初指定の火災保険に入るつもりで見積もりを出してもらいました。
そこで売り主の出してきた見積もりを確認したところ、上でも述べたんですが、全焼時の保険金額が概ね契約書記載の建物価格と同額のものでした。
我が家には不足分を平気で払える貯蓄などはないので全焼したら従来の家より安い家にしか住めなくなります。
また、やはりネット保険に比べると保険料が高いため、そのへんも正直に吐き出すことにします。
それを踏まえて不動産業者を通して売り主側に伝えたことは、
- 見積もりの保険金額では建物の再調達価額をカバーできていない。
- 現段階でもそれなりに保険料が高いのに保険金額上げたら保険料もまだ上がるよね?
- 保険料の金額によっては指定保険の最低額最低条件で加入して、不足分は別に自分でネット保険に加入する。
- なので再調達価額をカバーした見積もりと、最低条件の見積もりの2つを改めて出してほしい。
という点でした。
多分売り主も↑と同じことを思ったのでしょう。
同日のうちに不動産業者から、
と、驚くほどあっさり指定条件を取り下げてきました。
※ちなみに取り次いでくれた不動産業者はREDSというところで、仲介手数料が割引(最大無料)になる割に色々頑張ってくれる業者さんなので個人的にオススメです。
興味のある方はこちらの記事をどうぞ。
もちろんこの方法で指定火災保険の条件が必ず取り下げられるわけではありません。
我が家でこれが通ったのにはいくつか理由があったんだと思います。
- 2度目の見積もり依頼で面倒な客であることが充分に伝わった。
- 実入りの割に2回も見積もりを出すのは面倒で割に合わない。
- 「売り主の決算に間に合うよう引き渡しを期末前にするから少し値引きして」という提案を私がしたとき、値引きは断ったが引き渡し日は期末前で行ったという負い目があった(?)。
おそらく上記のような感じです(憶測)。
まあ私が面倒な客だというのは、新築でホームインスペクションを入れたときに気づいていたかと思いますが…。
いずれにせよ、これをやれば必ず条件が外れるということではありませんのであまり過信しないようお願いします。
また、この件に関わらず、「こっちは何も知らないわけじゃないぞ。いい加減なことはするんじゃねえぞ」という姿勢を相手側に知らせるというのは大きな取引をする上で非常に大事なことだと思いますので参考にしていただければなと思いますよ。
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新築戸建ての購入条件に指定火災保険への加入があった時の話まとめ。
- 戸建ての購入で指定火災保険加入が条件についてくることもある。
- 理由はシンプルに「保険代理店としてのフィーがほしい」ということ。
- ボッタクリではないけどネット保険に比べるとやはり少し高い。
- 何も考えずにそのまま加入するのは危険。
- 見積もりをよく読んで必要な保障があるかはちゃんと確認しよう。
- 契約書記載の建物金額は実際に家を建てる金額より安く書かれていることが多い。
- 状況によっては条件解除もあるので交渉の価値はある。
- 解除はされなくても保険内容の不満はちゃんと伝えよう。
こんなところです。
よっぽど悪徳な売り主でもない限り火災保険でぼったくられることはないと思いますが、家を買った以上は火災で損害を被るのは100%自分です。
その際のリスクヘッジとなる火災保険ですから、立て直しに必要な保障がきちんと出るかどうかは自身の責任で管理するしかありません。
間違っても「向こうでいい感じの保険を見繕ってくれる」と人任せにしてはいけません。
きちんと確認して保障内容の不満はきっちりと伝えましょう。
あわよくば指定を取り下げてくれる可能性も出てきますので、なんとなくで決めずにしっかりと粘り強く交渉することをおすすめしますよ。
以上です!