今回は3級ファイナンシャル・プランニング技能士試験の金融資産分野第2回、金利の基本概念と預貯金と呼ばれる貯蓄型金融商品について解説していきます。
預貯金については、何十年と超低金利が続いていたり、決済機能のほうが身近だったりしますのであまり金融商品としての認識がないとは思いますが、試験のために覚えることだけはいっちょ前にたくさんありますのでくじけず頑張りましょう。
Contents
金利に関する基礎知識。
まずは金融商品と切り離せない金利について解説していきます。
まず「金利」というのは、元のお金である「元本」に対して一定の期間においてどれくらいの割合のお金が受け渡されるか、という数字です。
例えば、年利1%の条件で100万円を貸し付けた場合、借り手から貸し手に1年間で受け渡されるお金は、「100万円×1%=1万円」ということになります。
金利は主に年間の利率である「年利」として表されることが多いです。
そして、金利には金融商品によっていくつか種類が分かれてきますのでそちらについての解説もしていきますよ。
固定金利と変動金利。
まずは、よく住宅ローンなどで耳にする「固定金利」と「変動金利」についてです。
これは読んで字の如くなんですが、「ある期間中において金利の変更を行わない」のが「固定金利、「金利が経済状況に応じてその都度変更される」のが「変動金利」です。
言い方を変えると、
- 固定金利は「金利変動による損得を金融機関側が被る」
- 変動金利は「金利変動による損得を消費者側が被る」
ということもできます。
なので、住宅ローンなどの借金について消費者側から見ると、
- 金利のピークの(これから下がりそうな)ときは変動金利で借りたほうが有利。
- 金利の底の(これから上がりそうな)ときは固定金利で借りたほうが有利。
ということになりますね。
ただし、固定金利は金利負担コストを貸し手が負う分、変動金利よりも高い金利を設定していることが多いので、金利の上昇幅によっては上昇局面でも固定金利が不利になるケースもありますのでご注意ください。
単利と複利の計算方法。
金融商品の金利には、「単利」と「複利」の2種類があります。
「単利」は「元本に対してのみ利子が発生する」のに対し、「複利」は「発生した利息に対しても利子が発生」します。
実用としては、1年目は利子なしで始まるため最初の利息は変わりませんが、2年目以降は複利のほうが単利よりも利子が高くなっていきます。
元本と利子の合計の計算方法に関してですが、単利の場合は、
満期時の元利合計 = 元本×{1+(年利率/100)×年数}
となります。
一方複利の場合は1年複利だと、
満期時の元利合計 = 元本×(1+年利率/100)^年数
となります。
例えば年利5%、満期3年で100万円を借りた場合の返済時元利合計はを計算してみます。
単利の場合
元本100万円 × (1 + 0.05 × 3年)
= 100万円 × (1+0.15)
= 100万円 × 1.15
= 115万円
こちらは単純に、元本に対する年間利子5万円の3年分が満期までの利子となりますので、「5万円×3」を元本に足すだけというやり方もできますね。
複利の場合(1年複利)
元本100万円 × (1+0.05)^3年
= 100万円 × 1.157625
= 1,157,625円
こちらは、1年目の利子5万円までは一緒ですが、2年目は「元本+1年目の利子5万円」に5%の利子がつきますので、2年目は「105万円×5%=52,500円」が利子となります。
同様に3年目は「105万円+52,500円=1,102,500円」に5%の利子がつき「1,102,500円×5%=55,125円」が利子となります。
そして「元本100万円+1年目利子5万円+2年目利子52,500円+3年目利子55,125円=1,157,625円」が元利合計となります。
これが計算式の中身です。
ちなみに複利の計算を電卓で行う方法があります。
自分でざっくり複利計算をしたいときに便利ですので、息抜きがてらご参照いただければ幸いでございますよ。
シャープ製電卓の場合
「1に年利率/100を足した数字(上例の場合はの場合1.05)」
→「×」(1回)
→ 年数-1の回数だけ「=」を押す(上例の場合は2回)
→出てきた数字に元本をかける
カシオ製電卓の場合
「1に年利率/100を足した数字(上例の場合はの場合1.05)」
→「×」「×」(2回)
→ 年数-1の回数だけ「=」を押す(上例の場合は2回)
→出てきた数字に元本をかける
ちなみに預金や債券などの場合は、上記の計算で出た金額に税金を加味しなければいけない場合があります。
「手取り金額」を聞かれた場合は、問題に示された税率(大抵20%)を利子の金額にかけて税額を算出し、元利合計額(たまに利子分)から控除した金額が答えになりますのでご注意ください。
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「利率」と「利回り」の違い。
これは言葉の使い方というか定義の違いなんですが触れておきます。
ここまでに出てきた「利率」と似たような意味で「利回り」という用語があります。
「利率」は上でも説明した通り、元本の金額に対し一定期間でどれくらいの割合でお金が動くか(買った・貸した側が受け取れるか)を表した数字です。
一方の「利回り」は利率に加え、元本自体の変動も考慮に入れた数字となります。
例えば、100万円の元本に対し年利5%の投資商品があったとします。
年利率はそのまま5%なんですが、仮に元本の価値が1年後に99万円に下がってしまった場合は、1年後の元利合計は「元本100万円+利子5万円-元本毀損1万円=104万円」となります。
そうなると元本100万円に対しての純利益分は4万円となりますので、年利回りは「4%」ということになります。
預貯金に類する金融商品。
続いては金融商品の基本とも言える「貯蓄型金融商品」です。
いわば「預貯金とかのたぐいの金融商品」のことですね。
正直この低金利下では覚えていても実際に利用するメリットはありませんが、なんかたまに問題では出たりするので取りこぼさないように覚えておきましょう。
なお、これらに共通する特徴としては、
- 利率が低い(現状の低金利下ではなおさら)。
- 元本保証(元本自体の額面価値が毀損しない)。
というものがあります。
投資商品としての価値はあまりありませんが、元本が保証されているので「インフレリスク以外のリスクを極力排除した商品」と言えますね。
また、似たような用途の商品でも、銀行では「預金」、郵便局(ゆうちょ銀行)では「貯金」という名前を使う傾向があります。
貯金と聞いたら郵便局をイメージするといいかもしれませんね。
割と気軽に出し入れできる流動性貯蓄商品。
預貯金の中で、比較的簡単に入出金ができる商品カテゴリを流動性貯蓄商品といいます。
そのラインナップは以下のようなものがありますのでまとめておきます。
商品名 | 商品概要 |
普通預金(銀行など) | いつでも出し入れできる預金。 決済機能があり公共料金の引落としが可能。 |
通常貯金(郵便局) | 普通預金の郵便局版。 |
貯蓄預金(銀行など) | 一定額の残高を上回っていれば普通預金よりも高い利率が適用される預金商品。 決済機能をつけることができない。 |
通常貯蓄貯金(郵便局) | 貯蓄預金の郵便局版。 |
当座預金(銀行など) | 事業主や企業が決済用に使う口座。 手形決済や引落としが可能。 利息はつかないが、全額が預金保護法の対象となる。 |
振替口座(郵便局) | 当座預金の郵便局版。 |
見たことがあるようなのからないようなのまで色々ありますね。
なじみのある普通預金と、流動性をそのままに機能を特化させた商品というイメージで概ね間違いないかと思います。
預入期間の定めがある「定期性預貯金」。
上で述べた商品に対して、流動性を失う代わりに機能を特化させた商品が定期性預貯金です。
簡単に言うと定期預金とそれに近い商品のことです。
商品名 | 商品概要 |
スーパー定期預金(銀行など) | 固定金利の定期預金。 預入期間が3年未満は単利、3年以上だと半年複利も選択可能(個人のみ)。 中途解約した場合は中途解約利率が適用される。 |
定期貯金(郵便局) | スーパー定期預金の郵便局版。 |
大口定期預金(銀行など) | 固定金利、単利のみの定期預金。 預け入れ学の下限が1000万円以上。 金利を銀行との交渉で決められる。 |
定額貯金(郵便局) | 半年複利の固定金利商品。 預入期間は最長10年。半年以内の解約にはペナルティが課せられる。 半年ごとの段階金利が適用され、期間に応じた利率が預入時に遡って適用される。 |
期日指定定期預金(銀行など) | 1年複利の固定金利商品。 据置期間が1年あり、それ以降の任意の日付を満期日に設定できる。 |
変動金利定期預金(銀行など) | 大抵半年ごとに適用金利の見直しを行う商品。 預入期間は1~3年で設定されることが多い。 単利、複利の両方があるが、複利は個人のみ選択可能。 |
一口に定期預金と言っても色々種類があることがわかりますね。
ただ、この低金利下ではどの定期をやったとしても利息はたかが知れていますので、実用としての重要性はありませんね。
ちなみに、ゆうちょ銀行に関しては預入の限度額が存在し、通常貯金1300万円・定期性貯金1300万円の合計2600万円までしか預けることができない決まりになっています。
昔は1000万とかだったような気がします。
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金利と預貯金の話まとめ。
- 「利率」は見た目の金利の割合、「利回り」は元本変動を加味した利益割合を指す。
- 金利には「単利」と「複利」の2種類がある。
- 単利は元本にだけ利子がつき、複利は前回までに発生した利子にも利子がつく。
- 金融商品には「変動金利」と「固定金利」の2種類がある。
- 変動金利は一定期間ごとに市場の金利に合わせて利率を見直す。
- 固定金利は、当初の利率を最後まで適用する。
- 貯蓄型金融商品を、銀行では「預金」、郵便局(ゆうちょ銀行)では「貯金」と呼ぶ。
- ゆうちょ銀行は預け入れできる限度額がある。
商品ラインナップにまとめて書いたので今更まとめということもないんですが、とりあえず金利の計算方法は今後別の項でも使うことがあるので覚えておいたほうがいいですね。
電卓での計算も覚えておくといろいろ捗りますよ。
次回は債券などの投資商品に触れていきます。
だんだん仕組みがややこしくなっていくと思いますが頑張っていきましょう。
以上です!