ブラック企業というのは常に人手不足のため、辞めていこうとする人材をあの手この手でつなぎとめようとします。
しかしブラックですから従業員の待遇を向上させて引き止めるというようなことは選択肢にありません。
ではどのような手段で退職を止めようとするかというと、大抵の場合は「独自の理屈で従業員の不安を煽り思考を停止させる」ことで退職を引き留めようとします。
それがタイトルにある「ここを辞めてもお前なんかどこ行ったって通用しない」といった罵倒に近い殺し文句なわけですね。
従業員としてはこれを真に受けてしまうと悲惨な結末しか待っていません。
ですのでこのセリフは全て嘘だと思って無視するのが得策ですよ、というお話です。
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「どこに行っても通用しない」という上司の本音。
上司が「お前なんかどこに行っても通用しない」と吐く理由は突き詰めると1つしかありません。
それは、「辞められたくない」ということにほかなりません。
辞められたくない理由はそれぞれの背景があるでしょう。
- とにかく人手が足りない。
- 募集、採用、教育をやり直すのが嫌。
- 退職者が出ると自身の評価が下がる。
などいろんな理由があるかもしれません。
しかし結局は従業員が辞めていくのを防ぐために発している言葉というのは間違いないでしょう。
結局は部下ではなく上司自身のために出てくる言葉なのです。
そしてこの台詞は、
- 能力不足であると従業員に思わせる。
- 言葉の攻撃で思考を停止させる。
- 他に就職先がないと思わせる。
- 部下を思って言っていると思わせる可能性。
などの付随効果を生むので、辞めたいと言ってきた部下を一言で行動停止に追い込む非常に便利なフレーズです。
「どこに行っても通用しない」の嘘。お前に何がわかる!
「今辞めたところでお前なんかどこに行っても通用しないぞ」という台詞の信憑性について考えてみましょう。
結論から言うと、これには何の信憑性もありません。
ブラック企業の上司が社会を知っているとは到底思えないからです。
ケース1.ブラック企業叩き上げの上司が言った場合。
これは信憑性に関しては一番低いと思っていいでしょう。
一つのブラック企業にしか勤めていない人間が他の会社の何を知っているというのでしょうか?
「こんなブラックでしか働いていないお前に何がわかる!」
と心の中で叫んで無視しましょう。
ケース2.職を転々としてきた上司が言った場合。
信憑性と言う意味では少し高いかもしれません。
職を転々としてきて最終的に部下が辞めたがるようなマネジメントしかできていないわけですから、確かにこの上司自身が社会で通用していないという証左にもなり得ます。
しかし少し考えれば信憑性は少しあっても説得力はゼロです。
「お前が言うな!」
と心の中で叫んで無視しましょう。
というか、仮に今辞めて他所で通用しないとしても、この反面教師の下でメンタルを犠牲にして修行を積んだところで他所で通用する人材に育つ未来が見えますか?
おそらく他所で通用しない状態のまま年月だけが過ぎていくことになります。
とすると、どうせダメ上司の元に居続けてもレベルが変わらないのなら、歳をとってメンタルもやられてから転職するよりも、転職に有利である若くて健康な今こそが辞めどきであるという結論にたどり着くのではないでしょうか。
結局ブラック企業で上司に「他で通用しない」みたいなことを言われたとしても、それを真に受けて居座り続けることにメリットは1つもないのです。
ケース3.同じような立場の先輩に言われた場合。
これは言われた当人と同じような立場から発せられているため、一見上司が発したときよりも信憑性があるように聞こえてしまいます。
しかし、あなたと同じように劣悪な環境下で働いている人間からのこの言葉も信用に値するものではありません。
大抵の場合、
- 自分より先に辞められたくない。
- 自分に言い聞かせている。
のいずれかである場合が多いです。
実際に私がいたブラック企業では、上司のみならず先輩にもこの言葉をかけられることがありました。
ある人は舌の根も乾かぬうちに辞めていき、また別の人は他の人に誘われる形で辞めていきました。
新人と同じように劣悪な環境下で働いている先輩も結局は逃げたいと思っていることがほとんどなのです。
後輩であるあなたにそんな言葉をかけてくるのは、自分に言い聞かせて自分の環境が普通であると思い込みたい、あるいは劣悪な環境下でも仲間意識を持つことで少しでも安心したい心理の裏返しなのです。
これを真に受けてしまうと、その先輩と同じように病みながら先輩風を吹かすことしかできない未来が待っています。
聞き流して離脱する行動を取るのをおすすめしますよ。
まあそんな人は他の言動もおかしいのですぐ見抜けるとは思いますが…。
番外.親に言われた場合。
「すぐ仕事をやめるようなやつは他では通用しない」と言ってくるのは上司だけとは限りません。
歳をとった親御さんが言ってくる場合もあるでしょう。
このときは別に自分の保身のために言っているわけではなく、おそらくは「せっかく働き口があるのに無職になるのはもったいない」という親心である場合が多いです。
しかし大事なことは忘れないで下さい、
親御さんはあなたの職場環境を把握していません。
おそらく親御さん自身が働いていた職場を基準に考えている可能性が非常に高いです。
そう言ってくる親御にとってブラック企業というのはテレビの中の出来事であり、自分の子供がそこに放り込まれている被害者であるとは夢にも思っていないでしょう。
ブラック企業で疲弊してメンタルが弱っている状態では、第三者が上司と同じようなことを言うと「自分が間違っているのかな」と思い更に追い詰められてしまうのはよくあることです。
親は職場の環境を知らずに自分の経験だけで言っている
ということは覚えておいたほうがいいです。
実際に仕事が辛い苦しいと判断できるのは自分だけです。
親御さんは見てもいない職場に対して正しい判断が下せるとは限らないのです。
「今会社を辞めて転職してもどこに行ったって通用しない」と言われたとき、その言葉を額面通りに受け止めて自分を責める必要はありません。
重要なのはその言葉が出てくる背景などをニュートラルに考えることです。
「どこに行っても通用しない」は、考えることを放棄させるための言葉という側面を持っていることを忘れないで下さい。
探せば通用するところなんていずれ見つかる。
これは私の体験談ですが、私はブラック企業をいくつか経て今の会社で働いています。
ブラック企業では上司に「ここ辞めたってお前なんか他所では通用しない」といった類の言葉は何度も浴びせられました。
行く先々で言われたので、
と沈むこともありましたが、それでもブラックで働き続けるよりマシだという強い意志があったので退職を強行し、ブラックではない現職で働くことができています。
そして現職では「使えない」などと罵倒されるようなこともありません。
結局のところ、探せば通用する会社はいずれ見つかるんです。
あなたが今辛いと思っているならばその会社こそがあなたの通用しない場所なんですよ。
そもそも、どこに行っても通用しない人間ならその会社が今すぐあなたを追い出しても何の不思議もありません。
ですので「今辞めてもどこ行ったって通用しない」という引き止めは既に破綻しているのです。
自信を持って辞めていいと思います。
もちろん次に決まった会社があなたの通用する場所とは限りません。
次もまたブラック企業である可能性もあるでしょう。
しかし今いる会社がブラックで先が見えないのにそこにしがみついている理由など1つもないのです。
水の合う会社は諦めずに探せば必ず見つかります。
1回で見つからないからといって落ち込む必要はありません。
そもそも中途採用で、一発でホワイト企業ゲットしようなんて虫が良すぎると言っていいでしょう。
あなたが踏ん張るべきところはブラック企業での仕事ではなく、居場所を得るための求職活動なのです。
色んな意見があるけどとにかく必要なのは考えること。
こんなことを書くと、
とかいう人が出てきますが、包み隠さず言うと、
他人の人生に責任が取れないのはみんな一緒です。
もちろん私もこの記事を見て離職した人の責任は取れませんし、反対する人も責任は取れません。
もちろん、「通用しないぞ!」と言ってくるブラック上司も責任なんて取れないのです。
だからこそ、色んな意見を聞いた上でどうすべきかを考えてほしいのです。
特に疲弊している人ほどニュートラルに考える癖をつけてほしいと私は考えています。
仕事に忙殺されて考える気力が奪われている人ほど、近くの声の大きな人間に引っ張られてしまうことが多いです。
ですので、距離や声の大きさに惑わされずにしっかりと考えていかなければズルズルと現状に引きずられてしまうのです。
とにかくニュートラルな立場でよく考えましょう。
仕事で疲弊しているときに考えろと言われるのはとても辛いかもしれません。
しかし考えるのを止めて流されてしまうと、慣れるか潰れるかの二択になってしまいます。
あと1点、この記事では基本的にブラックな職場環境で働いている(と本人が思いつめている)ことを想定して書いています。
「夜更かししたいけど朝起きるのが辛いから辞めたい」とかしょうもないことで辞めようとしている人は想定していません。
あくまでもブラックの話です。
「若者はめんどくさかったら会社なんか辞めちまえ」みたいな極端なことを煽ってしまうと、「独立してフリーランスに!」とか夢を見させて食べる人たちに絡め取られる可能性が高いので、そこの注意喚起と思って下さい。
私はフリーランスが至高とは思っていませんのでそういった人たちと一緒くたにされるのが嫌ですからね。
私も若者の人生に責任は負えませんが、そういった輩は責任どころか食い物にします。
なんとなく辞めた若者がフリーランスでホイホイ成功できるほど甘くありません。
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ブラック企業で「ここを辞めてもどこ行ったって通用しないぞ」と言われたときのまとめ。
- ブラック叩き上げの上司→「お前に何がわかる!」
- 転職を繰り返した上司→「お前が通用しなかったとしてもそんなやつの下で歳取れるか!」
- 親→「アンタ職場環境知らないでしょ?」
- 上記のように「どこ行っても通用しない」には何かしらの破綻が存在する。
- なので真に受けて留まるような行動にメリットはない。
- ブラック上司の言葉はそのまま受け止めず、考えることを辞めないようにしよう。
- ブラックで踏ん張る根性があるなら転職先を探すのに活用しよう。
- 誰も人の人生の責任は取れない。私も上司も。
- 「ブラックなら迷わず辞めろ」というのが私の意見。
- 迷っているなら色んな意見を聞いてニュートラルに考えて結論を出そう。
- とにかく一番怖いのが思考停止。辛くても考えて行動しよう!
こんな感じです。
「お前なんかここを辞めたってどこに行っても通用しない」というのは疲弊している従業員の思考を停止させ離職する気力を奪う、ブラック企業にとっては非常に使い勝手のいい便利ワードです。
一方辞めようと考えている従業員にとっては非常に残酷なワードでもあります。
しかし蓋を開けて考えてみればその言葉に真実は何も詰まっていません。
ブラック企業の上司の戯言に耳を貸して得するのはその企業だけです。
それで心身を壊す前に恐れず辞めてしまいましょう。
そしてこの記事を読んで迷いが生じた場合、上司の言葉やこの記事の内容などもすべてリセットして現況と先のことをよく考えて下さい。
現状多少辛くてもその会社に明るい未来が見えるのであれば留まるのもいいでしょう。
逆に未来が見えないのであれば自ずと辞めるという決断ができると思います。
あなたの人生ですから私も上司も野次馬も誰も責任は取れません。
ただ、「勤めている会社を辞めてしまったら人生が終わる」というのは真っ赤なウソであることは事実です。
とにかく考えて考えて納得の行く結論を出して下さい。
以上です!
