いくつかのブラック企業に勤めてきた私ですが、今回はその中の1つであるブラックな不動産屋についての記事、というか思い出話です。
まあ特段役に立つような話ではありませんが、「世の中にはそんな会社があるんだなー」という軽い気持ちでお読みいただければ幸いでございますよ。
ちなみに不動産屋以外ではブラック証券会社とブラック税理士事務所に勤めたことがありますので、そちらについては過去記事をお楽しみください。
今回の記事で出てくる不動産屋で働いたのは、時系列では証券会社より後で税理士事務所より前になっていますよ。
Contents
やっぱりあった求人のウソ。もう求人内容はポエムとして見たほうがいいかもしれない。
給与待遇について。これに動じない自分が怖い…。
過去記事で書いた証券会社は休日、税理士事務所は給料と休日に嘘の記載がありましたが、やはりブラック不動産屋においても同様でした。
その会社は当時あったB-ingという就職情報誌に載っていた求人で、その給与待遇については「月給30万円以上」と書いてありました。
そして実際に支給された月給は額面25万円です。
普通なら怒るところですが、実はこの会社の前で働いていた会社と全く同じ(30万記載の25万支給)だったので当時はこんなもんなのかと無駄に納得したのを覚えています。
まあ転職を繰り返して初任給で25万であればそれほど悪くない条件ではありますので、今でも「人呼びたいからって嘘書くなんてセコいなあ」くらいの感想しかありません。腹は立ちますけど。
ちなみに求人には「賞与年2回・歩合あり」と書かれていましたが、ボーナスまで在籍していませんでしたので定かではありません。
歩合については3年ほど勤めている先輩が、「歩合は1回ももらったことない」と言っていました。
歩合はないか、あっても条件が厳しすぎる形骸化されたものであると伺えます。
残念なことに私が前まで在籍していた会社はそこそこイカれたブラックでしたので、この待遇に特段驚くこともありませんでした。
慣れって怖いですね。
休日もめちゃくちゃ。これもまた慣れていたので驚かず。
そして休日ですが、求人の記載には
- 完全週休2日制
- 休日:土日祝
- 夏季休暇
- 年末年始休暇
- その他制度あり
と書かれていました。
これも当然ながら嘘で、土曜日は各社員が交代出勤となり土曜の休みは隔週でしか存在しません。
そして祝日のある週は全員が土曜出勤を課せられ、週に祝日が2日以上ある場合は最初の祝日だけが休みで2日目以降は出勤でした。
証券会社時代のブラックっぷりに慣れていろいろぶっ壊れていた私はこれを聞いたときも、
と、今では考えられないほど素直に受け入れていました。
あ、もちろん有給休暇については一切話に出ず、就業中もしっかり有給を取らせない雰囲気は構築していましたよ。
ちなみに就業時間は求人票には9:00~17:00と書いていましたが、入社初日に
と言われ12時間労働が言い渡されました。もちろん残業代は出ません。
これについても前にいた証券会社が8~20時だったためそれほど驚くこともありませんでした。
ワンマンプレーで勤務形態を変えようとした暴挙。なぜか社員に阻止される。
余談ではありますが勤務形態絡みでひと悶着ありましたのでついでに書いておきます。
とある日、勤務形態についてとの名目で勤務後(21時以降)に社員ミーティングが開催されたことがありました。
勤務時間内にやれよとは思いつつもバックレるわけにはいかないので出席するんですが、社長はそこで開口一番、
具体的には、最初の1週間はすべて出勤で次の週の土日に休んでもらうことになります。
これを各社員交代で行ってください。
出勤週は祝日も出勤です。
つまり、日曜日も店を開けることにして今までの「5.5勤1.5休」から「12勤2休」にするつもりだったようです。
よくよく考えれば2週間あたりの休みが1日減るんですが、これを「休みを動かしただけ」みたいな口ぶりで提案してきたんですね。
ブラック慣れしていたのと、とにかく早く帰りたかったためその場で私は気づくことができなかったのですが、これに思いっきり噛み付いたのが先輩社員でした。
なんでいきなりそんなバカみたいなシフトになるんすか!
口ぶりからすると休みが減ることには気づいていなかったようですが、12連勤というバカみたいな勤務形態に我慢がならなかったのでしょう。
ここからしばらく2人の口論が続き、辞める辞めないの言葉まで飛び交う始末。
ここの社長は、私が言うのもなんですが、典型的な「元いじめられっ子が権力を持ってこじらせたタイプ」の人間です。
対して噛み付いた先輩社員はかなりの口達者に加え、勢いでねじ伏せる迫力も持っていました。
辞める覚悟をもって上下関係というパワーバランスを失っている以上、この2人の口論でどちらに分があるかは一目瞭然です。
最終的に社長が、
とりあえずそのつもりでいるように。
と有耶無耶のままその日は解散になりましたが、社長が軽く涙目でプルプル震えていたのを覚えています。
結局私が辞めるまでの間、その話が再燃することはありませんでした。
今思えばその場にいた他の社員にとって彼の噛みつきは超ファインプレーだったのは間違いありません。
いずれにせよこの求人の嘘は、私が「長居するところじゃないな。」と判断させるには充分な要素でした。
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社長がいろいろおかしい。誰が働き続けるんだ?
これはすべてのブラック企業の社長に共通するわけではありませんが、このときの社長は特におかしかったのでなんとなく書き記しておきます。
ブラック企業あるあるとは少しかけ離れてはいますが読み物としてお楽しみください。
記憶がすり替わる特技を所持。
これもうコミュニケーション取れないよ…。
私が入社してすぐの頃、社長と話しているときにこんなことを言われました。
どういうことですか?
僕が「これやっといて」って言ったことをそのままやらずに放置してたわけ。
そしたらそいつ「そんなこと言われた覚えはない」とか言うのよ。
困っちゃってさ、結局首にしたけど。
といった感じでその場の会話は終わりました。
このときは流石に社長のほうがおかしい事を言っているということに気づく由もありません。
それから数週間後、仕事をしているといきなり社長に絡まれます。
いい加減邪魔なんだけど!
全く身に覚えのない絡みにもちろん私は「???」となります。すると、
何でやれって言ったことやらないの?
思い返してみてもそんな指示をされた覚えは一切ありません。
そこで何とかその前の週の会話を思い出してみます。
<前週の会話>
確かこんな感じの雑談をした気はしますが、「捨ててこい」という指示は一切されていませんし、何なら「お前が捨てても構わない」ということも言われていません。
こちらとしては勝手に捨てたら何を言われるかわからないのでうかつに手出しできないくらいに思うわけですよ。
納得のいかない私は前週の会話の流れを本人に伝えます。すると、
大事なのは今このゴミが処分されてるかどうかなんだよ。
と言って逃げるようにその場を去りました。
他に頼めそうな社員も全員この場にいるにも関わらず…。
これに関しては私も「もしかしたら自分が聞き逃していたかも」と思ったので、前週の会話の時近くにいた社員に確認しましたが、
捨てとけとか一個も言ってないっす。
この流れを見ていた先輩社員も、
むしろハッキリ言わないと何度でも繰り返すから対応はあれでOK。
と、社長にはよくある病気みたいなもんとの見解でした。
その件に関しては特に後を引くこともありませんでしたが、入社直後に言われた「聞いてないとか言うのは無し」という言葉の引き合いに出された元社員はおそらく無実であるということはその時に確信しました。
おそらく同じようなことをいろんな人にやって首にして被害者面してるんだろうな、と思う出来事でした。
いずれにせよこれを繰り返されてはコミュニケーションを取ること自体が困難ですので、この職場も長居することはないだろうと思った次第です。
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仕事すらまともにできない気持ち悪い監視体制。
なんかよくわかりませんがその社長は社員のことを全く信用していないようで、自分の思惑と違う行動を少しでも取ろうとすると力技で阻止してきます。
まあ給料を払っている以上職務に専念させたいのは当然ですが、ちょっと常軌を逸した部分がいくつかあったのでそれを挙げてみます。
顧客との通話中に突然勝手に電話を切る。頭おかしいの?
物件を探しているお客さんとの通話中のことです。
こちらとしてはお客さんに条件や予算などについて話を聞かなければ物件を紹介することすらままなりません。
私の感覚では普通に条件面のすり合わせをしていたのですが、おそらく社長にとっては許容できる時間を超えていた(時間的には5分とかその程度でしたが)のでしょう。
いきなり本体のフックを押して電話を切られました。
そして顔を見るとなぜかアホみたいなドヤ顔です。
普段は成約の見込みもないゴミみたいな案件ばっかり投げてきて、やっと回ってきたやる気のあるお客さんだったのでこちらの怒りもひとしおです。
流石に私も頭にきたので、
と真顔で噛みつきました。
するとドヤ顔だった顔がみるみるうちに紅潮し、
ダラダラ訳わかんない話を長々としてたって時間の無駄でしょうが!
だから僕が切ってやったんだよ!
と、わけのわからない恩まで着せてくる始末です。
5分そこそこで長話なんて言われたら商談なんかできないでしょうが!
いきなり通話切られたお客さんどうするんすか!
流石に頭にきたので反論を試みるんですが、社長が次に放ったのがこの一言。
もう訳がわかりません。
社長はそれだけを告げてまたどこかへ去っていきました。
そもそも人の電話に耳を傾けて盗み聞きしているのにそれが雑談か商談かの区別すらつかないとかもう常人の理解の範疇を超えています。
嘘のようなホントの話だよ。
社員の帰社後にパソコンを覗いて履歴をチェックする執念。アホか。
とある日、社長が外出中に先輩社員に呼び止められてこんなことを聞かれました。
私は当時それほどパソコンの情報に重きをおいていなかったので正直に答えます。
社長はさ、社員が帰った後パソコンの履歴調べてるから何か見てるなら消してから帰ったほうがいいぞ。
しかもそいつサボって見てたわけじゃなくてお客さんの会社のHP見てただけだから。
そういえばその少し前に、なんの脈絡もなく
そんなの気にしたって意味ないからね。
と謎の説教を受けた記憶があります。
その時はまた思いつきでドヤってたくらいにしか思っていませんでしたが、おそらく私の閲覧履歴を調べてのことだったんでしょうね。
社員のパソコンをコソコソチェックするのも気持ち悪いですが、それを恥ずかしげもなく人に言っちゃう神経の図太さには感服です。
そしてパソコン絡みでは私が入社する前にもう一つ事件がありました。
その会社では正社員の他に何人かの学生をアルバイトとして雇っていました。
その中でインターネット周りを担当しているバイト君に社長が言ったそうです。
業務に関係のないサイトを閲覧されるのを嫌うというのはわからんではありませんが、業務に関するサイトすらも見られなくしてしまう大胆な提案です。
話を聞いたバイト君いわく技術的には可能なんだそうですが、その提案の気持ち悪さに驚いて「無理です。」と即答したとのことでした。
こればかりは社長が悪いわけではないのだけれど…。
上記だけで逃げ出す理由には充分ではあるのですが、もう一つ私が辞める決め手となった原因があります。
これは本人に非があると言ってしまっては酷なことなのですが、社長は猛烈に口臭がひどかったんです。
正面に対峙して会話をするだけでも辛く、「吸い込んでしまうと健康に害があるのでは?」と思うほどの強烈な匂いを放っていました。
それだけならまだいい(良くはない)のですが、先に述べたようにいちいち絡んできて説教をしたがりますし、さらには食後でもないのに喋っている途中にランダムにゲップが出るんですよ。
ある日、私と後輩社員が並んで説教を受けているときに社長が不意にゲップをしました。
その瞬間私と後輩社員がその呼気を避けて外側に後ずさったことがあります。
当人たちは意識してやったものではなかったのですがおそらく身の危険を感じての行動だったのでしょう。
それを見ていた先輩社員が後から、
と大笑いしていました。こっちの身にもなってくれ!
それに耐えきれなくなった私はある日社長と話している流れで、
と事態の緩和を試みます。
すると社長からはまさかの返答が返ってきます。
こちらの気遣いに説教で返すという見事なカウンターです。
まあ本人の自覚症状がゼロであろうことを考えるとこの反応は無理もないでしょう。
このときには社長の反応に対する怒りよりも、状況改善の見込みがゼロであるという事実に対する絶望感に覆われたのをよく覚えています。
まあこれは社長が悪いわけでもなくブラックとは直接関係ありませんでしたが、退職を決意した大きな要因になったのは事実でございますよ、という余談でした。
退職したいけど金がないアホな若者がとった行動。
絶対マネしないでね!
さて、こんな感じの職場から一刻も早く逃げ出したいと思っていた私ですが、ここに勤め始める前にも多少の無職期間を経ていましたので蓄えなどもほとんどありませんでした。
一人暮らしで遠方の実家に頼ることもできないので、ここからさらに無職期間を伸ばすことは色々厳しいものがありました。
そこで目をつけたのが上で述べた「パソコンの履歴を就業後にチェックする」という社長の悪癖です。
ご存知かと思いますが、会社が従業員を解雇する場合は「30日以上前に通知するか30日分の給料相当のお金を払わなければいけない」という決まりがあります。
自分から辞めると言ってしまってはそのお金はもらえないのでそれを使って会社から解雇を引き出そうと試みたわけですね。アホですわ。
その日から昼休みや就業後の時間を使って、
- 労働基準法に関するページ
- パワハラ告発の方法などのページ
- 不正経理に関するページ
これらのサイトを時間の許す限り検索して踏み続けました。
もちろん私が使っていた端末にはこの辺のサイトの閲覧履歴がバッチリ残り、検索のサジェストにもこれらのワードが出てきます。
社長が気の小さい人間であることはわかっていたので、「こんなやつは会社に置いておけない」と判断するのを見越しての行動です。
また、「こいつに下手なことをすると面倒だ」と思わせる牽制の効果もあったかもしれません。
そしてそれを始めてから10日ほど経ったある日(GW前くらいだったと記憶しています)、事務所の上にある倉庫のような部屋に呼び出されます。
大体要件はわかっていましたので「来た!」と思いました。まさに決戦の時です。
しかし察しているのを悟られてはいけないので、アホな若者はさらにアホなふりをして現場に向かいます。
そこで待っていた社長がおもむろに話し始めます。
ここで内心ガッツポーズだったのですが、すぐに了承してしまうと貰えるものも貰えなくなってしまうため驚いたふりをして食い下がってみます。
臨場感を出すために怒気を含むという念の入れよう、我ながらキモいです。
こちらの思惑がハマり、少したじろいだ様子で社長が話を続けます。
嘘です。欲しいのは理由ではなくお金です。
言われてもいないこと勝手になんかできませんよ。
今それを論じる意味はないでしょ。
↑厳密に言うとこれは嘘です。これはあくまでも解雇の手続きの段取りの話であり、解雇のための正当な理由が必要なのはお金を払おうが変わりはありません。
ブラウザの閲覧履歴には「違法」をいうワードを含んだページも残していたのでそれを意識した牽制かと思われます。
今更どの口が法律を守るとか言うんだとは思いましたが、このときの私の目的は1ヶ月分の給料です。
論破のためにここで噛み付こうかと思いましたが、それで解雇を取りやめられては本末転倒です。
なのでアホのふりをして解雇の方向へ話を持っていきます。
今日までの日割賃金と解雇条件の1ヶ月分をこの場でもらえるということですかね?
ここで社長は少し安心したような顔を見せます。
お互いが己の勝利を確信しているという意味不明な状況です。
今日はこのまま上がっていいからね。
私も社長を信用しているわけではありませんでしたが、閲覧履歴を見て焦っているという確信は持てていましたので25日の振込みで同意します。
これでとりあえず当座の資金を確保するための言質はしっかり取れたので局地戦としては勝利と言って差し支えないでしょう。
その後社長はすぐに外回りに行ったため、私は一旦事務所に戻り他の社員に挨拶をしに行きます。
その時先輩社員に「何かやらかしたのか?」と聞かれたので、ブラウザの閲覧履歴や検索履歴に労基法やパワハラについての検索語やサイトなどを残しまくったことを伝えました。
となぜか乗り気になっていました。
一つ注意したいのは、このときは私の近視眼的な思惑と小心者の社長の意向がたまたま合致したためうまくいっただけということです。
閲覧履歴でビビるどころか激高するタイプのブラック社長もいるでしょうし、それについて詰められるだけできれいに逃げられる環境が常に用意されているとは限りません。
このようなコスい方法は最悪の結果を招く可能性もあるので決して真似しないようにして下さい。
大人になった今ではこんな方法を取ることは絶対にないでしょう。
ケンカならケンカ、辞めるなら正攻法でスパッと辞めるほうが後々のためにはいいと思いますよ。
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ブラック不動産屋に勤めていた頃の昔話まとめ。
上に挙げた他にも細かいことは色々ありました。
お客さんの要望で物件概要のコピーを渡すためにA4に縮小コピーしたら「不動産業界はB4って決まってるんだからアホなことするな」とか謎の説教を食らったり、メールを返信するのに文章を書いていると「ラブレターじゃないんだからビジネスメールは使い回しでいいんだよ!」と別のメールをコピペして宛名も直さずに送らされたり、結構謎の行動を強制されることもありました。
そういえば事務所内に掲示される責任者名が全然知らない人の名前だったような気がします。
何年か経って「そういえばあの会社どうなってるかな…。」と思って検索したらサイトも何もヒットしなくなっていたのでまあ潰れたんでしょう。
指摘したら「いいんだよこんなの!」ってキレられた。
零細企業だと顕著ですが、ブラックの要因は基本的に経営者の性格に依存します。
大きい企業であれば部署の移動などで環境が改善することもありますが、零細でワンマンだと社長がクソだった場合の逃げ場は一切ありません。
変な手を使って溜飲を下げようとするのはおすすめできませんが、そんな会社に入ってしまったらハズレを引いたと思って次に進むほうが建設的です。
入った会社が明らかにおかしいと思ったら自分を納得させるよりもサンクコストと割り切って転職したほうが絶対に幸せになりますので、若いうちに次の会社を探したほうがいいですよ!
以上です!