ブラック企業は全部潰れろ

昔勤めていたブラック不動産屋の話。零細企業がブラックかどうかは社長の性格で決まる。

ブラック企業02

いくつかのブラック企業に勤めてきた私ですが、今回はその中の1つであるブラックな不動産屋についての記事、というか思い出話です。
まあ特段役に立つような話ではありませんが、「世の中にはそんな会社があるんだなー」という軽い気持ちでお読みいただければ幸いでございますよ。

ちなみに不動産屋以外ではブラック証券会社とブラック税理士事務所に勤めたことがありますので、そちらについては過去記事をお楽しみください。

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今回の記事で出てくる不動産屋で働いたのは、時系列では証券会社より後で税理士事務所より前になっていますよ。

やっぱりあった求人のウソ。もう求人内容はポエムとして見たほうがいいかもしれない。

給与待遇について。これに動じない自分が怖い…。

過去記事で書いた証券会社は休日、税理士事務所は給料と休日に嘘の記載がありましたが、やはりブラック不動産屋においても同様でした。

その会社は当時あったB-ingという就職情報誌に載っていた求人で、その給与待遇については「月給30万円以上」と書いてありました。
そして実際に支給された月給は額面25万円です。
普通なら怒るところですが、実はこの会社の前で働いていた会社と全く同じ(30万記載の25万支給)だったので当時はこんなもんなのかと無駄に納得したのを覚えています。

まあ転職を繰り返して初任給で25万であればそれほど悪くない条件ではありますので、今でも「人呼びたいからって嘘書くなんてセコいなあ」くらいの感想しかありません。腹は立ちますけど。

ちなみに求人には「賞与年2回・歩合あり」と書かれていましたが、ボーナスまで在籍していませんでしたので定かではありません。
歩合については3年ほど勤めている先輩が、「歩合は1回ももらったことない」と言っていました。
歩合はないか、あっても条件が厳しすぎる形骸化されたものであると伺えます。

残念なことに私が前まで在籍していた会社はそこそこイカれたブラックでしたので、この待遇に特段驚くこともありませんでした。
慣れって怖いですね。

休日もめちゃくちゃ。これもまた慣れていたので驚かず。

そして休日ですが、求人の記載には

  • 完全週休2日制
  • 休日:土日祝
  • 夏季休暇
  • 年末年始休暇
  • その他制度あり

と書かれていました。

これも当然ながら嘘で、土曜日は各社員が交代出勤となり土曜の休みは隔週でしか存在しません。
そして祝日のある週は全員が土曜出勤を課せられ、週に祝日が2日以上ある場合は最初の祝日だけが休みで2日目以降は出勤でした。

証券会社時代のブラックっぷりに慣れていろいろぶっ壊れていた私はこれを聞いたときも、

三本松
三本松
隔週で休めるならまあいいか…。

と、今では考えられないほど素直に受け入れていました。

毒猫
毒猫
証券会社は土曜祝日全部出勤にされてたからか。

あ、もちろん有給休暇については一切話に出ず、就業中もしっかり有給を取らせない雰囲気は構築していましたよ。

ちなみに就業時間は求人票には9:00~17:00と書いていましたが、入社初日に

社長
社長
うちは定時5時だけど9時まではいてもらうから。

と言われ12時間労働が言い渡されました。もちろん残業代は出ません。

三本松
三本松
なんでですかね、定時5時とかわざわざ言ってヘイト上げるの。

これについても前にいた証券会社が8~20時だったためそれほど驚くこともありませんでした。

三本松
三本松
まあ転職したら働く時間が短くなるという望みは打ち砕かれたわけですが…。

ワンマンプレーで勤務形態を変えようとした暴挙。なぜか社員に阻止される。

余談ではありますが勤務形態絡みでひと悶着ありましたのでついでに書いておきます。

とある日、勤務形態についてとの名目で勤務後(21時以降)に社員ミーティングが開催されたことがありました。

三本松
三本松
社長の他に正社員は3人しかいない小さい会社だったんですけどね…。

勤務時間内にやれよとは思いつつもバックレるわけにはいかないので出席するんですが、社長はそこで開口一番、

社長
社長
来月から勤務形態を少し変えます。
具体的には、最初の1週間はすべて出勤で次の週の土日に休んでもらうことになります。
これを各社員交代で行ってください。
出勤週は祝日も出勤です。

つまり、日曜日も店を開けることにして今までの「5.5勤1.5休」から「12勤2休」にするつもりだったようです。

よくよく考えれば2週間あたりの休みが1日減るんですが、これを「休みを動かしただけ」みたいな口ぶりで提案してきたんですね。
ブラック慣れしていたのと、とにかく早く帰りたかったためその場で私は気づくことができなかったのですが、これに思いっきり噛み付いたのが先輩社員でした。

先輩
先輩
いや意味分かんないです。
なんでいきなりそんなバカみたいなシフトになるんすか!

口ぶりからすると休みが減ることには気づいていなかったようですが、12連勤というバカみたいな勤務形態に我慢がならなかったのでしょう。
ここからしばらく2人の口論が続き、辞める辞めないの言葉まで飛び交う始末。

ここの社長は、私が言うのもなんですが、典型的な「元いじめられっ子が権力を持ってこじらせたタイプ」の人間です。

毒猫
毒猫
ブラック零細あるあるだな。

対して噛み付いた先輩社員はかなりの口達者に加え、勢いでねじ伏せる迫力も持っていました。

三本松
三本松
私の予想では多分元ヤン。

辞める覚悟をもって上下関係というパワーバランスを失っている以上、この2人の口論でどちらに分があるかは一目瞭然です。
最終的に社長が、

社長
社長
この件に関しては追ってまた知らせるから。
とりあえずそのつもりでいるように。

と有耶無耶のままその日は解散になりましたが、社長が軽く涙目でプルプル震えていたのを覚えています。

結局私が辞めるまでの間、その話が再燃することはありませんでした。
今思えばその場にいた他の社員にとって彼の噛みつきは超ファインプレーだったのは間違いありません。

三本松
三本松
私が辞めた次の年に書類もらおうとして電話したときにも、その先輩はまだ勤めていたので日曜出勤はなくなったんでしょうね。

いずれにせよこの求人の嘘は、私が「長居するところじゃないな。」と判断させるには充分な要素でした。

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社長がいろいろおかしい。誰が働き続けるんだ?

これはすべてのブラック企業の社長に共通するわけではありませんが、このときの社長は特におかしかったのでなんとなく書き記しておきます。
ブラック企業あるあるとは少しかけ離れてはいますが読み物としてお楽しみください。

記憶がすり替わる特技を所持。
これもうコミュニケーション取れないよ…。

私が入社してすぐの頃、社長と話しているときにこんなことを言われました。

社長
社長
僕が指示したことをほっといて「そんな事言われてません」とかは無しにしてね。
三本松
三本松
???
どういうことですか?
社長
社長
いや、前に辞めていったやつがそうだったんだけど、
僕が「これやっといて」って言ったことをそのままやらずに放置してたわけ。
三本松
三本松
はぁ。
社長
社長
当然僕は「何でやってないんだ?」って怒るじゃない。
そしたらそいつ「そんなこと言われた覚えはない」とか言うのよ。
困っちゃってさ、結局首にしたけど。
三本松
三本松
色んな人もいるもんですねぇ。

といった感じでその場の会話は終わりました。
このときは流石に社長のほうがおかしい事を言っているということに気づく由もありません。

それから数週間後、仕事をしているといきなり社長に絡まれます。

社長
社長
ねえ三本松さあ、ここにあるゴミいつになったら捨てるの?
いい加減邪魔なんだけど!

全く身に覚えのない絡みにもちろん私は「???」となります。すると、

社長
社長
先週これ捨てといてって言ったじゃん!
何でやれって言ったことやらないの?

思い返してみてもそんな指示をされた覚えは一切ありません。
そこで何とかその前の週の会話を思い出してみます。

<前週の会話>

社長
社長
ここにあるやつもう使えないからゴミなんだけど多分これ粗大ごみなんだよね。
三本松
三本松
確かに不燃にしては大きいですし粗大っぽいですねぇ。
社長
社長
いつか捨てなきゃとは思ってるんだけどやり方わかんなくて延び延びになってるんだよねハハハ。

確かこんな感じの雑談をした気はしますが、「捨ててこい」という指示は一切されていませんし、何なら「お前が捨てても構わない」ということも言われていません。
こちらとしては勝手に捨てたら何を言われるかわからないのでうかつに手出しできないくらいに思うわけですよ。

納得のいかない私は前週の会話の流れを本人に伝えます。すると、

社長
社長
あのさぁ、ここで君がそれを言ったところで結局言った言わないの水掛け論だから。
大事なのは今このゴミが処分されてるかどうかなんだよ。
三本松
三本松
はぁ、まあ必要ならこれからやっときますけど。
社長
社長
もういいよ、他のやつに頼むから。

と言って逃げるようにその場を去りました。
他に頼めそうな社員も全員この場にいるにも関わらず…。

これに関しては私も「もしかしたら自分が聞き逃していたかも」と思ったので、前週の会話の時近くにいた社員に確認しましたが、

後輩ちゃん
後輩ちゃん
俺も聞いてましたけどただの雑談でしたよ?
捨てとけとか一個も言ってないっす。

この流れを見ていた先輩社員も、

先輩社員
先輩社員
あー社長の記憶改竄でしょ?あれよくやるんだよね。
むしろハッキリ言わないと何度でも繰り返すから対応はあれでOK。

と、社長にはよくある病気みたいなもんとの見解でした。

その件に関しては特に後を引くこともありませんでしたが、入社直後に言われた「聞いてないとか言うのは無し」という言葉の引き合いに出された元社員はおそらく無実であるということはその時に確信しました。
おそらく同じようなことをいろんな人にやって首にして被害者面してるんだろうな、と思う出来事でした。

いずれにせよこれを繰り返されてはコミュニケーションを取ること自体が困難ですので、この職場も長居することはないだろうと思った次第です。

三本松
三本松
その時点で2年くらい勤めていたその先輩社員すげえな、とも思いましたね。
毒猫
毒猫
確かに…。

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仕事すらまともにできない気持ち悪い監視体制。

なんかよくわかりませんがその社長は社員のことを全く信用していないようで、自分の思惑と違う行動を少しでも取ろうとすると力技で阻止してきます。
まあ給料を払っている以上職務に専念させたいのは当然ですが、ちょっと常軌を逸した部分がいくつかあったのでそれを挙げてみます。

顧客との通話中に突然勝手に電話を切る。頭おかしいの?

物件を探しているお客さんとの通話中のことです。
こちらとしてはお客さんに条件や予算などについて話を聞かなければ物件を紹介することすらままなりません。
私の感覚では普通に条件面のすり合わせをしていたのですが、おそらく社長にとっては許容できる時間を超えていた(時間的には5分とかその程度でしたが)のでしょう。

いきなり本体のフックを押して電話を切られました。

そして顔を見るとなぜかアホみたいなドヤ顔です。
普段は成約の見込みもないゴミみたいな案件ばっかり投げてきて、やっと回ってきたやる気のあるお客さんだったのでこちらの怒りもひとしおです。
流石に私も頭にきたので、

三本松
三本松
何やってんすか?商談中なんですけど。

と真顔で噛みつきました。
するとドヤ顔だった顔がみるみるうちに紅潮し、

社長
社長
何言ってんの。
ダラダラ訳わかんない話を長々としてたって時間の無駄でしょうが!
だから僕が切ってやったんだよ!

と、わけのわからない恩まで着せてくる始末です。

三本松
三本松
僕雑談の一つもしてましたかね!?
5分そこそこで長話なんて言われたら商談なんかできないでしょうが!
いきなり通話切られたお客さんどうするんすか!

流石に頭にきたので反論を試みるんですが、社長が次に放ったのがこの一言。

社長
社長
お客さんとかどうでもいいからちゃんと仕事しろって言ってんの!

もう訳がわかりません。
社長はそれだけを告げてまたどこかへ去っていきました。

そもそも人の電話に耳を傾けて盗み聞きしているのにそれが雑談か商談かの区別すらつかないとかもう常人の理解の範疇を超えています。

毒猫
毒猫
こんなやついるの?盛ってない?
三本松
三本松
何を盛ったらこんな荒唐無稽な人が出来上がるのよ?
嘘のようなホントの話だよ。

社員の帰社後にパソコンを覗いて履歴をチェックする執念。アホか。

とある日、社長が外出中に先輩社員に呼び止められてこんなことを聞かれました。

先輩社員
先輩社員
三本松さ、会社のパソコンでなんかのページ見たりする?

私は当時それほどパソコンの情報に重きをおいていなかったので正直に答えます。

三本松
三本松
物件検索ソフト以外だと外回りの時間帯の天気予報とか路線情報くらいですかねぇ。
先輩社員
先輩社員
あーそれならまあいいか。
社長はさ、社員が帰った後パソコンの履歴調べてるから何か見てるなら消してから帰ったほうがいいぞ。
三本松
三本松
キモいっすねそれ…。
先輩社員
先輩社員
実際にそれでネチネチ詰められて辞めてったやつもいるからマジで気をつけろ。
しかもそいつサボって見てたわけじゃなくてお客さんの会社のHP見てただけだから。
三本松
三本松
わかりました。

そういえばその少し前に、なんの脈絡もなく

社長
社長
雨だろうが雪だろうが外回りするなら出なきゃいけないんだから、
そんなの気にしたって意味ないからね。

と謎の説教を受けた記憶があります。
その時はまた思いつきでドヤってたくらいにしか思っていませんでしたが、おそらく私の閲覧履歴を調べてのことだったんでしょうね。

社員のパソコンをコソコソチェックするのも気持ち悪いですが、それを恥ずかしげもなく人に言っちゃう神経の図太さには感服です。

そしてパソコン絡みでは私が入社する前にもう一つ事件がありました。
その会社では正社員の他に何人かの学生をアルバイトとして雇っていました。
その中でインターネット周りを担当しているバイト君に社長が言ったそうです。

社長
社長
社内のパソコンでさ、物件検索ソフトと路線検索のページ以外見られないような設定ってできる?

業務に関係のないサイトを閲覧されるのを嫌うというのはわからんではありませんが、業務に関するサイトすらも見られなくしてしまう大胆な提案です。

話を聞いたバイト君いわく技術的には可能なんだそうですが、その提案の気持ち悪さに驚いて「無理です。」と即答したとのことでした。

毒猫
毒猫
もう病気じゃん。
三本松
三本松
病気だね。

こればかりは社長が悪いわけではないのだけれど…。

上記だけで逃げ出す理由には充分ではあるのですが、もう一つ私が辞める決め手となった原因があります。

これは本人に非があると言ってしまっては酷なことなのですが、社長は猛烈に口臭がひどかったんです。
正面に対峙して会話をするだけでも辛く、「吸い込んでしまうと健康に害があるのでは?」と思うほどの強烈な匂いを放っていました

それだけならまだいい(良くはない)のですが、先に述べたようにいちいち絡んできて説教をしたがりますし、さらには食後でもないのに喋っている途中にランダムにゲップが出るんですよ。

ある日、私と後輩社員が並んで説教を受けているときに社長が不意にゲップをしました。
その瞬間私と後輩社員がその呼気を避けて外側に後ずさったことがあります。

社長毒ガス01 社長毒ガス02

当人たちは意識してやったものではなかったのですがおそらく身の危険を感じての行動だったのでしょう。
それを見ていた先輩社員が後から、

先輩社員
先輩社員
同じタイミングで真ん中空けたからモーゼみたいだったぞwww

と大笑いしていました。こっちの身にもなってくれ!

それに耐えきれなくなった私はある日社長と話している流れで、

三本松
三本松
フリスクでも1ついかがですか?

と事態の緩和を試みます。
すると社長からはまさかの返答が返ってきます。

社長
社長
あのさ、勤務中なんだからお菓子食べるのは無しでしょ。

こちらの気遣いに説教で返すという見事なカウンターです。

まあ本人の自覚症状がゼロであろうことを考えるとこの反応は無理もないでしょう。
このときには社長の反応に対する怒りよりも、状況改善の見込みがゼロであるという事実に対する絶望感に覆われたのをよく覚えています。

三本松
三本松
さすがに「口臭すごいから食えよ」なんて面と向かって言えないですからねぇ。

まあこれは社長が悪いわけでもなくブラックとは直接関係ありませんでしたが、退職を決意した大きな要因になったのは事実でございますよ、という余談でした。

毒猫
毒猫
確かにブラック関係ねぇな。
三本松
三本松
でも無駄な説教中にゲップは許せん。

退職したいけど金がないアホな若者がとった行動。
絶対マネしないでね!

さて、こんな感じの職場から一刻も早く逃げ出したいと思っていた私ですが、ここに勤め始める前にも多少の無職期間を経ていましたので蓄えなどもほとんどありませんでした。
一人暮らしで遠方の実家に頼ることもできないので、ここからさらに無職期間を伸ばすことは色々厳しいものがありました。

そこで目をつけたのが上で述べた「パソコンの履歴を就業後にチェックする」という社長の悪癖です。
ご存知かと思いますが、会社が従業員を解雇する場合は「30日以上前に通知するか30日分の給料相当のお金を払わなければいけない」という決まりがあります。
自分から辞めると言ってしまってはそのお金はもらえないのでそれを使って会社から解雇を引き出そうと試みたわけですね。アホですわ。

その日から昼休みや就業後の時間を使って、

  • 労働基準法に関するページ
  • パワハラ告発の方法などのページ
  • 不正経理に関するページ

これらのサイトを時間の許す限り検索して踏み続けました。
もちろん私が使っていた端末にはこの辺のサイトの閲覧履歴がバッチリ残り、検索のサジェストにもこれらのワードが出てきます。

社長が気の小さい人間であることはわかっていたので、「こんなやつは会社に置いておけない」と判断するのを見越しての行動です。
また、「こいつに下手なことをすると面倒だ」と思わせる牽制の効果もあったかもしれません。

そしてそれを始めてから10日ほど経ったある日(GW前くらいだったと記憶しています)、事務所の上にある倉庫のような部屋に呼び出されます。
大体要件はわかっていましたので「来た!」と思いました。まさに決戦の時です。

毒猫
毒猫
決戦どころかただの小競り合いじゃねえかよ。
三本松
三本松
まあこっちも大概小心者だからね…。

しかし察しているのを悟られてはいけないので、アホな若者はさらにアホなふりをして現場に向かいます。
そこで待っていた社長がおもむろに話し始めます。

社長
社長
突然で申し訳ないけど君にはこの会社を辞めてもらうことにしたから。

ここで内心ガッツポーズだったのですが、すぐに了承してしまうと貰えるものも貰えなくなってしまうため驚いたふりをして食い下がってみます。

三本松
三本松
は?いきなり辞めろとか言われても納得できないんですけど。

臨場感を出すために怒気を含むという念の入れよう、我ながらキモいです。
こちらの思惑がハマり、少したじろいだ様子で社長が話を続けます。

社長
社長
いや、まあ君が納得するとかしないとかは問題じゃゴニョゴニョゴニョ…。
三本松
三本松
解雇なら解雇である程度納得する理由が欲しいんですけど。

嘘です。欲しいのは理由ではなくお金です。

社長
社長
例えばほら、ゴミ捨てといてって言ったのに捨ててないとかそういうところだよ。
三本松
三本松
その件はその場で反論しましたよね。
言われてもいないこと勝手になんかできませんよ。
社長
社長
言ったとか言わないとかそれは水掛け論だから。
今それを論じる意味はないでしょ。
三本松
三本松
そうっすか(自分で言いだしたんだろ)。
社長
社長
とにかく君に辞めてもらうのは決定事項だから。
三本松
三本松
いや辞めてもらう辞めてもらうって僕辞めるつもりないですけど(嘘)。
社長
社長
君が知ってるかどうか知らないけど、「30日前に通知するか30日分の給料を払えば従業員を解雇できる」っていう決まりがあるのよ。

↑厳密に言うとこれは嘘です。これはあくまでも解雇の手続きの段取りの話であり、解雇のための正当な理由が必要なのはお金を払おうが変わりはありません。

三本松
三本松
(キタ!)はぁ。
社長
社長
うちは法律をちゃんと守る会社だから、これを支払って君を解雇するということです。わかる?

ブラウザの閲覧履歴には「違法」をいうワードを含んだページも残していたのでそれを意識した牽制かと思われます。
今更どの口が法律を守るとか言うんだとは思いましたが、このときの私の目的は1ヶ月分の給料です。
論破のためにここで噛み付こうかと思いましたが、それで解雇を取りやめられては本末転倒です。
なのでアホのふりをして解雇の方向へ話を持っていきます。

三本松
三本松
そうですか。じゃあしょうがないっすね。
今日までの日割賃金と解雇条件の1ヶ月分をこの場でもらえるということですかね?

ここで社長は少し安心したような顔を見せます。
お互いが己の勝利を確信しているという意味不明な状況です。

社長
社長
それに関しては25日(通常の給料日)にまとめて振り込むから。
今日はこのまま上がっていいからね。
三本松
三本松
わかりました。

私も社長を信用しているわけではありませんでしたが、閲覧履歴を見て焦っているという確信は持てていましたので25日の振込みで同意します。
これでとりあえず当座の資金を確保するための言質はしっかり取れたので局地戦としては勝利と言って差し支えないでしょう。

毒猫
毒猫
まあブラック掴んだ時点で負け戦なんだけどな!

その後社長はすぐに外回りに行ったため、私は一旦事務所に戻り他の社員に挨拶をしに行きます。
その時先輩社員に「何かやらかしたのか?」と聞かれたので、ブラウザの閲覧履歴や検索履歴に労基法やパワハラについての検索語やサイトなどを残しまくったことを伝えました。

先輩社員
先輩社員
いいなそれ!俺も辞めるときそれやろう!

となぜか乗り気になっていました。

一つ注意したいのは、このときは私の近視眼的な思惑と小心者の社長の意向がたまたま合致したためうまくいっただけということです。
閲覧履歴でビビるどころか激高するタイプのブラック社長もいるでしょうし、それについて詰められるだけできれいに逃げられる環境が常に用意されているとは限りません。

三本松
三本松
生兵法は怪我のもとってやつです。

このようなコスい方法は最悪の結果を招く可能性もあるので決して真似しないようにして下さい。
大人になった今ではこんな方法を取ることは絶対にないでしょう。
ケンカならケンカ、辞めるなら正攻法でスパッと辞めるほうが後々のためにはいいと思いますよ。

毒猫
毒猫
心配しなくてもそんなアホなこと誰もやらんよ…。

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ブラック不動産屋に勤めていた頃の昔話まとめ。

上に挙げた他にも細かいことは色々ありました。
お客さんの要望で物件概要のコピーを渡すためにA4に縮小コピーしたら「不動産業界はB4って決まってるんだからアホなことするな」とか謎の説教を食らったり、メールを返信するのに文章を書いていると「ラブレターじゃないんだからビジネスメールは使い回しでいいんだよ!」と別のメールをコピペして宛名も直さずに送らされたり、結構謎の行動を強制されることもありました。
そういえば事務所内に掲示される責任者名が全然知らない人の名前だったような気がします。

何年か経って「そういえばあの会社どうなってるかな…。」と思って検索したらサイトも何もヒットしなくなっていたのでまあ潰れたんでしょう。

毒猫
毒猫
メールの宛名がおかしい会社に何か依頼しようとは思わんからな。
三本松
三本松
宛名の件は社長が気づかなかったわけじゃないからね。
指摘したら「いいんだよこんなの!」ってキレられた。
毒猫
毒猫
何がいいのかサッパリわからん。

零細企業だと顕著ですが、ブラックの要因は基本的に経営者の性格に依存します。
大きい企業であれば部署の移動などで環境が改善することもありますが、零細でワンマンだと社長がクソだった場合の逃げ場は一切ありません。
変な手を使って溜飲を下げようとするのはおすすめできませんが、そんな会社に入ってしまったらハズレを引いたと思って次に進むほうが建設的です。
入った会社が明らかにおかしいと思ったら自分を納得させるよりもサンクコストと割り切って転職したほうが絶対に幸せになりますので、若いうちに次の会社を探したほうがいいですよ!

以上です!

 

ABOUT ME
三本松
野良の1級ファイナンシャル・プランニング技能士。 副業として「三本FPラボ」経営。 北海道根室市出身、都内在住。 基本は零細メーカーで経理をやりつつ、金融機関に属さない野良FPとして日々勉強中。 無知故に若い時間とお金を無駄にしてしまった経験から、 過去の失敗などで学んだことを記事にして発信しています。
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