ブラック税理士事務所に勤めていた頃の話です。
今回は第3回ですがどのへんまで続くのかはわかりません。
私も消したい記憶ではあり、実際に10年以上も前の話なので結構忘れています。
もしかしたら今回が最後になるかもしれませんし思い出したらまた書くかもしれません。
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Contents
所長はパソコンを一切使えないが
事務所にはなぜか4台導入されている怪。
本題に入る前に書いておきますが、当時の事務所のボスはパソコンが一切使えません。
パソコンに対して一切学ぶ気もないですし、何ならパソコンを使わずに仕事をするほうが偉いと思っている節すらあります。
どれくらい知らないか、使えないかを説明するのは難しいですが、何となく察しがつくエピソードを1つ。
普段はパソコンの前に座ることすらめったにないボスが珍しくパソコンをいじろうと四苦八苦していました。
スタートページであるYahoo!のホームページを前にして私に話しかけてきます。
珍しいこともあるもんだと思ってとりあえず説明します。
まず左側に並んでるところから「路線情報」ってのをクリックしてください。
普通ならここで黙ってクリックするところですが所長は、
「おーここまで知らんか」とは思いましたが、ボスのパソコンの使えなさは知っていましたので驚くほどのことではなく、クリックのやり方を子供にするように説明します。
ちなみにこの時点でボスは軽く半ギレです。
これを「路線情報」のところに動かして下さい。
クリックって何なのか聞いてんだよ。
無視して続けます。
マウスを動かすとカーソルが動くことはかろうじて知っていたようなので多少感心して次の作業を説明します。
ちょっとこれはバカにし過ぎかなとは思いましたが、さすがの所長はその上を行く行動をとってくれました。
なんと、正しい位置にあった人差し指をわざわざずらし、ホイール部分をカチって押してしまったのです。
これだからパソコンは信用できねえんだよ!
自分で勝手に不要な一手間をかけたあげく失敗してパソコンのせいにするというコンボを披露してくれました。
そしてまた不必要に切れだす所長。
そんなに怒ってて疲れないんでしょうかね。まあどうでもいいですけど。
さすがにびっくりした私は、
と指摘する時につい声を荒げてしまいました。
このときのボスの悔しそうな顔は忘れられません。ざまあ。
若干話が逸れたような気もしますが、当時勤めていた税理士事務所で所長がどれだけパソコンに疎いかは何となく想像できるかと思います。
こんなボスの職場になぜかパソコンが4台も導入されているんです。不思議ですねぇ。
EXCELで表を作ったらキレられる職場
目の前にある表計算ソフトで表を作れない怪。
クライアントの売掛金とか買掛金の管理を任されるようになって少し経った頃のことです。
仕事を覚えてくると、だいたい次に考えるのが仕事の効率化です。
この手の科目管理は紙に手書きで行っていました。
ましてや通常期にもかかわらずバカみたいにサービス残業をさせられているわけですから少しでも効率化させて早く帰りたいと思うのは必然です。
さらにその時にクライアントの売掛金とか買掛金管理に使っていた表は、昔誰かが定規で線を引いて作ったお手製の表で、幾度となくコピーを繰り返して罫線はヨレヨレになっている代物です。
と思いつつそれを更にコピーして使っていました。
しかし私の席にはパソコンが置いてあり、それにはOfficeソフトがちゃんとインストールされています。
- 従来の表が汚すぎる。
- そもそもEXCELで管理すれば効率化できる。
という理由から、私は新しい表を作ることにしました。
合計や残高が自動的に出る程度の簡単な表ですが、手書きで電卓を叩きながら作る表よりは遥かに効率も見栄えも良くなりました。
売掛金の表を作り終わって、あとは他の科目用にシートをコピーして流用するだけの段階になったときにボスが声をかけてきました。
明らかに不機嫌そうに尋ねてくるボス。
めんどくさいと思いながら一応答えます。
多分自分のわからないもので仕事を進めようとしていることが気に食わなかったのでしょう。
ここで完全にスイッチが入ることになります。
売掛金の表なんて目の前にあるじゃねえか何考えてんだ!
多分エクセルが表計算ソフトだということも知らないのでしょう。
彼の目には、私が表のレイアウトだけをわざわざパソコンなる奇っ怪な代物を使って新たに作り直そうとしているように見えたのだと思います。
若い私はその辺の誤解を解くために説明を試みます。
まあ言いながら「エクセル」も「ファイル」も単語の意味わからんだろうなとはうすうす思っていましたが…。
案の定一切理解されることもなく彼の怒りは増幅するばかりです。
売掛の表は今お前の目の前にあるんだろうが!
あるのになんでわざわざ時間使って作り直してんだって言ってんの!
振り出しに戻りました。
どうもこのボスは、近視眼的で直情的なため、目の前の仕事以外のことというのは考える脳みそを持っていないようです。
もしくは自分ができる仕事のやり方を極めればパソコンよりも処理速度が早くなるとでも思っているんでしょうか。
ここでもう何を言ってもただの時間の無駄ということが確定しましたのでその後の説教風罵倒は無視して仕事に戻ります。
その後何か言っていたような気もしますがあまり覚えていません。
ただ1つ、
とか言っていたような気もします。うろ覚えですけど。
まあ結局、自分のやり方以外は邪道で、「仕事の効率化=手抜き」という思考が抜けない人間なんだということは理解できました。
まあこの事務所に長居する気もなかったんで彼は勝手に非効率に埋もれていけばいいと思います。
いずれにせよ、この事務所においては自分の仕事を効率化するという選択肢は消されてしまいました。
そうなるとあとはさっさとここの仕事の流れを一通り覚えて辞めるだけです。
幸い、効率化は許されないくせに新しい仕事だけはどんどん降ってきますので、そこから1年も経たずに流れは把握でき、思ったよりも早くこの税理士事務所を去ることができました。
そういった意味で仕事量の多さには感謝している部分もあります。
じゃあ何のためにパソコンが?という疑問
結局オフコン用の端末に訳も分からず入れただけだった。
では、「クライアントの科目管理をExcelでやることも許されないような税理士事務所でなぜパソコンが何台も導入されているんだ?」という疑問は当然わくと思います。
実はこの事務所、帳簿だけは機械で印刷しています。
伝票データをオフコン(?)に入力するための端末としてパソコンを導入していたわけです。
そして決算が終わるとルーズリーフのような専用用紙に総勘定元帳を印刷し、各科目にインデックスをつけて厚紙の専用表紙を付けて完成です。
それをクライアントに渡すわけでもなく所内に保管(放置)しているんですね。
ちなみにインデックスは印刷せず、インデックス用のゴム印をわざわざ押して貼り付けています。
背表紙の会社名や決算期の表示もハンコです。中途半端な…。
ですので基本的にはパソコンはそのオフコンで伝票データを入力するためだけに使われます。
1台を除きインターネットには接続されていません。
所長は、インターネットに接続した瞬間にハッキングされて個人情報が漏洩すると本気で思っていましたから。
それが一番の防衛策っていうのは事実。
確証はありませんが、おそらく税理士同士の会合的な何かで、
全部自動だもん。
みたいな甘言を真に受けて、何一つわからないままに導入を決意したものと思われます。
印刷外注した方が安くあがるんじゃねえの?
インターネットにつながっている1台については、こちらもおそらく家電屋か何かで、
みたいなことを吹き込まれてわけも分からず買わされたんでしょう。
いずれにせよ、伝票入力と資料印刷以外で触れることが許されないパソコンは、そそのかされて浮かれた所長がろくに使い方も知らないくせに安易に導入を決めたのでした(憶測です)。
どうやって導入できたの?という当然の疑問。
Yさんが聖域を獲得した経緯。
さて、周りにそそのかされて使えもしないパソコンを導入した税理士事務所ですが、パソコンを知らない所長に代わってパソコン周りの雑務を一手に引き受け、結果として事務所内での聖域を獲得するに至ったのが古参のYさんです。
Yさんも昔は、他の辞めていった人間と同じように所長の罵倒や人格非難を浴びせられていました。
本人もいつ辞めようか考えていたと言います。
しかしこのパソコン導入の際、パソコンのパの字も知らない所長に導入にかかる雑務をすべて任されたんだそうです。
普段の仕事をこなしながらパソコン導入の手続き関係がプラスオンされるとかもう恐怖しかありませんが、Yさんはそれを何とかこなします。
これが事務所内でのパワーバランスを一気に変化させるきっかけになりました。
Yさんは所長が放棄したために絶対に触れられない利権を手に入れました。
Yさんがいなければ伝票の入力も資料印刷もできない状態になったわけですから、Yさんがいなければ高い金を出して揃えた機械一式は全て粗大ごみ、自分ひとりで手計算で資料を作らなければならなくなります。
所長は近視眼的なのでそんなことは露程も知らずにYさんへのパワハラは従来どおり続きます。
ところがある日、自分のミスで資料を忘れて出かけていった際、Yさんを駅まで呼びつけて届けさせた挙げ句、忘れ物をYさんのせいにして駅で罵倒するという事件があったそうです。
さすがのYさんもそこでブチ切れてその場で辞める意志を伝えました。
あとは勝手にして下さい。
と言って帰ってしまいます。
そこでパソコン周りの実権をYさんが手中にしていることとその後の破綻が目に見えていることに気がついたんでしょう。
それ以降、所長はYさんに対して「腫れ物に触るような扱い」に変わったそうです。
私が入所したときには既にそうだったんですが、最終的にYさんは16時出勤という立場を手に入れ、罵倒などは一切受けることはなくなりました。
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無駄にパソコンを導入した税理士事務所の話まとめ。
- 何もわからないくせにパソコンを導入する事務所もある。
- 使っちゃいけないならOfficeつきのパソコンなんて入れるな。
- 手作業が尊いと思うのは勝手だが一人でやれ。
- 結果、古参社員に聖域取られてザマァ。
- 丸投げは自分の首を絞めるといういい例。
こんなところでしょうか。
Officeソフト入ってるかどうかでパソコンの値段は1万円くらい変わってくると思うんですが、無知ゆえの高い買い物でしたね。
多分私が辞めたあとに入った人もこの洗礼は受けているでしょうね。
そうやって人が定着しない事務所は効率の悪いまま回っているんだと思います。辞めてよかった…。
こんな極端な例はともかく、非効率なやり方を固定して強制するような職場は大体ブラックです。
変化を嫌うのはブラックの特徴ですからね。
そういったところで疲弊するのであればさっさと辞めて次に行ったほうが人生全体で見るとかなりお得です。
私もこの事務所を辞めて次の職場に行ってから人生が拓けました。
この手のブラックな職場で時間を費やすのは明らかな無駄です。
今は昔に比べて転職ツールの選択肢は増え、比較的簡単に次を探すことが可能になっていますのでそれを生かさない手はありません。
ブラックな職場で疲弊している方はこれを機に本気で転職を考えてみてはいかがでしょうか?
転職で人生が拓ける可能性は高まりますし、転職というカードを持っていればブラックに耐えるにしてもずいぶん気が楽になるはずです。
お互い後悔のない職場を選びましょうね。
以上です!