今さら感はありますが今日は学資保険についての記事です。
一時期マネー系インフルエンサーたちがこぞって「保険不要論」を唱えていました。
特に学資保険を含む貯蓄型の保険は不要不要と騒ぎ立てられていたのは記憶に新しいところです。
合理性の観点から言えば彼らの主張ははっきり言って正しいです。
でも世の中は合理性だけで動けるわけではありませんので、ちょっと違った観点から学資保険について書いていこうかなと思っています。
そして学資保険に入ったほうがいい人というのも少数ながら存在しますので、それについても触れてみます。
Contents
そもそも学資保険とは?
既にご存じの方は飛ばしていただいていいのですが、最初に学資保険の内容について軽く触れてみます。
学資保険は読んで字のごとく、「学校にかかる資金のための保険」です。
要は子供が生まれたけど先々が不安だから今から教育費の準備をしようという旨の保険ですね。
学資保険は被保険者(子供)が一定年齢に達したときを満期と設定して、それに向けて積立を行う貯蓄型の保険ですが、契約者(親)が死亡したときにはその後の保険料支払いが免除されて予定通りの保険金が受け取れるという商品です。
言わば積立と生命保険(定期保険)を組み合わせた商品です。
子供が亡くなった場合は教育資金の準備の必要がなくなるため、払い込んだ保険料相当額が保険金として支払われることが多いようです。
一方親が亡くなった場合は、保険料の支払いが免除されるだけで契約自体は満期まで有効に継続します。
なので親が亡くなったときに死亡保険金が支払われるのではなく、契約当初に設定した満期(大抵は子供の進学に合わせて)満期保険金が支払われることになります。
なので単純に積立と定期保険の合体商品ではなく、支払保留オプションがついているとも言えますね。
何が悪いんだ?
学資保険(積立型保険)が嫌われる理由は?
インフルエンサーたちが学資保険を含む積立型の保険(というか一部の保険を除いた保険)を忌み嫌うのにはそれなりの理由がありますし、私も正直世間で言われるほど保険がいいものだとは思っていません。
この項では、なぜお金の勉強をした人間は保険を悪し様に言うのかというところを解説していきますね。
理由1.金融商品としては絶望的に利回りが低い。
最初の理由は「利回りが低い」、つまり「儲からない」ということです。
学資保険で言うと、子供が生まれたときに学資保険に加入して10年後に払込が完了して18歳時に満期保険金を受け取るケースだと、条件のいい保険会社で返戻率は106%程度になります。
返戻率とは、支払った保険料総額に対しての満期保険金の割合のことです。
例えば保険料の総額が100万円だったとすると返戻率106%で満期保険金は106万円というこtになります。
悪くないんじゃないの?
一見6万円儲かっているので悪くないように見えますが、これは10年積み立てて8年間寝かせたあとの最終的な戻り率です。
同じように10年積立・8年据え置きで年利3%で運用した場合、最終的な利益は40%以上になります。
日本は何十年も不景気が続いているので実感はないと思いますが、ここ20年の全世界株の年平均伸び率は6~7%と言われていますので、多少の不景気に一定期間当たったとしてもインデックスファンドに投資すれば年平均3%というのは現実的な数字と言えます。
しかも今は昔と違って、ネット証券などでコストの安いインデックスファンドが気軽に変える時代です。
なのでわざわざ効率の悪い運用を保険会社にコストを掛けて依頼するメリットというのは皆無と言えるでしょう。
こう考えると、いかに学資保険の利回りが悪いかがわかるかと思います。
私の考えでは(というかお金の勉強をした多くの人)が運用効率の悪い保険で投資をするのは結局損してるのと変わりません。
保険と投資は別で考えるほうが資金効率が遥かに良くなるのです。
どうせ保険料から生命保険分の経費も引かれてるんだから。
世間では未だに「掛け捨ては損!」というイメージがありますが、積立型の保険は死亡保障分の掛け捨て保険料が隠されているだけです。
なので死亡保障部分以外の経費が上乗せされる積立型の保険のほうが実は損ということになります。
このように、運用効率が悪く最終的な利回りが絶望的に低くなってしまう積立型の保険は投資商品としては質が悪いため、より効率的な運用方法を知っている人からするとゴミに見えてしまうのは否めないということですね。
理由2.資金が長期に渡ってロックされる。
学資保険などが嫌われる理由の2つ目は、支払った保険料は原則引き出せないという点です。
保険はその性質上、支払ったお金は原則保険会社のもので契約者のものではありません。
なので支払った保険料を自由に手元に戻すことはできず、資金が必要になった場合は解約返戻金を担保にお金を借りるか保険契約自体を解約するしかありません。
そして支払った保険料には保険会社の経費が含まれ、支払期間の前半の方で多めに経費を差し引いている関係上、契約開始から相当の間は解約返戻金が大幅に元本割れします。
損をしたくないという心理が働く以上、それがブレーキになって解約をためらい、資金がロックされているのと同様の状態に陥ってしまうわけですね。
特に学資保険では、払込期間が終了したあとも解約返戻金が元本割れの状態ですし、そこからさらに何年か寝かせて初めて100%を超えるという状態です。
支払い開始から十数年間の資金ロックはライフスタイルに変化が出た場合には大きな不安材料になることは想像に難くありません。
15年以上も動かせないほど流動性が低く、さらに利回りもほとんど期待できない、というのが学資保険を含む貯蓄型の保険の特徴なので、数字のことを考えたら不要論が出てくるのも当然と言えるでしょう。
では、すべての人は学資保険に加入してはいけないのかと言うと意外とそうでもないというのが人生の難しいところと言えます。
ですので次項では、学資保険に加入すべき、または加入してもいいというケースについて書いていきます。
決して多数派とは言えませんが、当てはまるという方は学資保険を検討してみてもいいかもしれません。
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学資保険に加入したほうがいい人について。
上で述べたとおり、学資保険を含む貯蓄型の保険は資金流動性が低い上に利回りも低いというメリットのあまりない金融商品であることは疑いがありません。
しかし中には学資保険に加入したほうがいい人というのも少数ながら存在しますのでご参照いただければ幸いでございますよ。
「お金にだらしない人」は学資保険に入った方がいい。
いきなり口の悪い言い方で申し訳ありませんが、こういった人は子供のために学資保険に加入しておいたほうがいいと言えるでしょう。
上で述べた、「資金が長期間に渡ってロックされてしまう」というデメリットは、お金を稼いだそばから使ってしまうようなだらしない人にとってはメリットとしてみることも可能になるということです。
確かに学資保険は、運用のスペックで言うと下の中で、資産運用としては58点程度の商品ですし、今後の人生にプラスになる金融商品としては及第点以下のダメな商品です。
しかし、放っておいたらあるだけ使うような0点のムーブをしてしまう人にとっては学資保険に入るだけでも大きな進歩になりうるんですね。
そしてだらしない人には、いくら運用の効率について説明を尽くしたところで
で終わってしまい、実行に移すことはおそらくないでしょう。
なので、目の前の営業マンが手元へ申込用紙を運んできてくれて、目の前で必要事項を記入するだけで完結してしまう学資保険のほうが、実行できるだけまだマシということになります。
58点の商品とはいえ満期まで持っていれば大体の学資保険は返戻率100%ちょっとくらいの商品ですし、使えないように給料日直後に保険料支払日を設定することで保険料を使い込んでしまうことも避けられます。
解約さえしなければ(大抵)損失は出さない商品ではあるので、使ってしまうだらしない人には資金ロックはむしろありがたいオプションと言えなくもありません。
損した上に何も残らんよ?
お金を管理できるスタートラインにすら立てていません。
「考えるより働いたほうが儲かる人」は別に学資保険でもいい。
長期に渡って資金を運用するということにおいてはある程度最適解のようなやり方はあるものの、やはり考えることというのは多いものですし、多少のリソースは割くことになるでしょう。
であれば、「ごちゃごちゃ考える暇があったらがむしゃらに働いていたほうがすっと儲かるよ!」といった類の人に関しては学資保険という選択肢は悪くはないと言えるかもしれません。
正直言ってしまえば学資保険である必要はまったくありませんし、自分で運用するとしてもそんなに手間がかかるものでもありません。
しかし、多少の勉強や手続きをする時間が労働の機会損失につながるような人は先々の教育資金に困るようなこともないでしょうから、うっかり学資保険に入ってしまっても問題ないのは確かです。
この手の人たちはわざわざ学資保険に入る必要もないのですが、加入したあとでわざわざ見直す必要もないでしょう。定期預金みたいなものです。
保険に加入するのは営業マンの言いなりになっておけば済むの話なので、運用とか細かいことにリソースを割きたくない人にとっては楽な商品ですからね。
「死後に身内が信用できない人」は学資保険に入る価値あり。
上記の2つでは学資保険でなくてもいいケースでしたが、こちらは割と積極的に学資保険に加入してもいいというケースです。
「身内が信用できない」というのはなかなか物騒な物言いではありますが、わかりやすく言うと、「自分が立てた資金計画を遂行できる身内がいない」ということです。
あなたがもし子供のために資金計画をしっかり立てて運用しているとして、あなたが亡くなったときに配偶者が上で述べたような「お金にだらしない人」に該当していたらどうなるでしょうか?
お金が入れば使ってしまうだらしない人だった場合には、あなたが残した資金は子供の教育が終わる前に使い切られてしまう可能性が非常に高くなりますよね?
学資保険はそれに対して一定の歯止めをかけてくれる数少ない金融商品なんです。
例えば通常の生命保険の場合、あなたが亡くなったときにまとまったお金が単発で振り込まれます。
その場合も残された人が日々の浪費で使い切る可能性は排除できません。
しかし学資保険の場合は話が少し違ってきます。
学資保険の契約者が死亡した場合、以後の保険料支払いが免除されるだけでその他については契約当初の内容が踏襲されます。
つまり、子供の進学タイミングに決まったお金が支払われるという契約は有効に機能するわけです。
なので残されただらしない人が使い込むリスクを軽減してくれるということになります。
ない袖は振れない状態になるってことか?
だらしない人もないお金は使えないから。
なのでレアケースではありますが、自分に何かあったときに資金計画を遂行できるちゃんとした身内がいないと考える人は使い込みリスクを軽減するために学資保険に入るという選択肢は充分にあると思います。
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学資保険は要らない子なのか?の話まとめ。
- 学資保険を含む貯蓄型保険は基本的に他の金融商品に対する優位性はない。
- 学資保険よりも「定期保険+自分で運用」のほうが最終的な手取りが増える可能性が高い。
- 利回りが低い上に解約返戻率の低さによって資金が長期ロックされるのが学資保険のデメリット。
- なので資金計画を立てられる人にとって学資保険は無用。
- ただし、お金があれば使ってしまう人にとっては金庫としての使い道はある。
- 資金計画や運用にリソースを割くより働いたほうが儲かるような人にとっては学資保険でもさほど問題はない(要はなんでもいい)。
- 自身の死後に自分の資金計画を遂行できる身内がいない場合に限り、学資保険のシステムが他の金融商品よりも有利になる可能性がある。
こんな感じです。
正直言って学資保険に関しては、数字だけを見れば加入する意義はありません。
しかし、契約者の性格や属性、環境などによっては役に立つ可能性自体は残されています。
学資保険に頼らなくてもいいように金融リテラシーを高めることが何より重要なんですが、そうも行かない状況に置かれている人は一定数存在しますので、そういった人たちの受け皿として存在すること自体を否定するものではありません。
世の中には低スペックな金融商品を含め様々なものが有象無象存在しますので、金融の営業マンの甘言に惑わされることなく適切な商品を選べるようになりたいものですね。
以上です!