日常の中で気になったことをつらつらと書いていますが、この間妻に、
会費だってタダじゃないんだから。
と言われてしまいましたので、今回はFPらしく、やっていい投資とダメな投資について書いていこうと思います。
色々扱うとアホみたいに長くなるので今回は株式投資に絞って書いていきますよ。
ただし当方は博打大好きおじさんですので、この記事も主観にまみれています。
それを御理解の上ご参照くだされば幸いでございますよ。
Contents
そもそもの大前提「投資は余裕資金でやるべし」の意味とは?
「投資は余裕資金でやるもので、生活費をつぎ込んではいけない」
これは今まで色んな人が古くから言われてきた言葉です。
しかし「余裕資金」と言われても多くの人は、
と思っているのではないでしょうか。
しかしこの「余裕資金」というのはかなりフワッとした言葉で、投資を勧める側の人が逃げのために使っている言葉のようにすら聞こえます。
じゃあ結局「余裕資金」とは何なのかを考えたとき、博打好きおじさんは下の2つの意味があるのではという考えに至りました。
- いずれ必要にはなるが直近で使う予定がなく、「増えたらラッキー」くらいの中長期的に多少減ってもなんとかなるお金。
- 小遣いの範囲。
巷の「余裕資金」というのは概ねこの2つに集約されると思っていいでしょう。
しかし投資を行う際にこの2つの「余裕資金」を混同してしまうと、失敗したときにえらい目に遭います。
ですので、投資(投機)を行う際にはどちらの「余裕資金」で行うべきなのかをしっかり見極めて行う必要があるわけです。
この記事では便宜的に①を「将来資金」、②を「小遣い」と使い分けて書き進めていきますね。
預貯金以外の投資では基本的に元本保証がなく損失が出る可能性もあるため、振れ幅が比較的小さいものは①を投入してもいいですが、逆に振れ幅が大きくなる「投機」と呼ばれるものは絶対に②で行うことが原則です。
そして、①の「将来資金」を使っていい投資商品というのは思いの外少ないということは知っておいて下さいね。
投資という観点で見ると、将来資金を投入しても良さそうなものが投資に適している商品、小遣いの範囲でしかやってはいけないものは投資不適格なエンターテイメントですので、そんな感じで読んでください。
それではそれぞれの株式投資について主観で解説していきますよ。
投資の王道「株」は色々あるが基本的には趣味として行う。
一般に「投資」というと真っ先に思い浮かぶのが「株式投資」だと思います。
最近ではインターネットなどを通じて気軽に買えたりもしますが、すべて一緒くたにして将来資金を突っ込んでしまうと大変なことになります。
株の取引にはいくつかの種類があり、この後説明していきますがとりあえず基本的に株はお小遣いでやるべき趣味の範疇として捉えておくほうがいいでしょう。
個別株式の「現物投資」は投入資金以上の損失はないが振れ幅は大きめ。
投資の入り口としてとっつきやすく、初心者がとりあえず手を出すことも多い現物株式について書いてみます。
これは主に証券取引所に上場している個別の会社の株式を手元資金の範囲内で買う投資です。
資金目一杯買ったとしても手元資金を上回る損失を出すことはなく、それだけで借金まみれになるという心配はありません。
しかし買った株の会社が潰れてしまえば資金はゼロになり戻ってくることはありません。
また、どの会社がこの先伸びるかを知るのは素人では不可能に近く、安定的に利益を出そうとするのであれば本業そっちのけで市場の勉強をしなければいけません。
そういった意味では、将来使う予定のある将来資金を投入する対象としては不向きと言っていいでしょう。
ただ、博打好きからするといろんな銘柄を見てベットするのは楽しいことも事実ですし、株主優待など別の楽しみもあります。
ですので現物株投資は趣味としてお小遣いの範囲で楽しむことをお勧めしますよ。
信用取引は株でやる丁半博打。小遣いでも全ツッパは危険。
個別株の投資では現物取引の他に「信用取引」というものが存在します。
信用取引の特徴はざっくり以下の2つ、
- 手持ち資金以上の投資ができる。
- 持っていない株でも売ることができる。
というものです。
手持ち資金以上の取引ができるというのは、仮に手元に100万円あるとすれば300万円ちょっとの株まで売り買いができるシステムを指しています。
簡単に言うと300万円の株を買うために100万円の見せ金を用意し、残金を借り入れて株を買えるんですね。
足りない分の200万円は借金ですから当然利息が付きます。
ですので借りた分のお金と利息については買った株を売り払ったときに清算します。
このように手持ち資金以上の取引をすることを「レバレッジを効かせる」と言いまして、この「レバレッジ」こそが世間で投資が恐れられる原因となっています。
信用取引の限度いっぱいで投資をすると、手元資金に対しての値動きが現物株の3倍くらいになってしまうので、うまく行けば儲けは3倍、逆に行ったら損失も3倍ということになります。
こんな大博打に備え資金を突っ込んでしまうことの危険性はなんとなくおわかりでしょうか。
もう一つの「持っていない株を売ることができる」というのは、上の例で言う手元資金の100万円を見せ金にして株を借りてそれを売ることを指します。
こちらも借りた株は返さなくてはいけませんので、売った株を買い戻して返し、その後の残金で貸株料と損益を清算するというシステムです。
具体的には、100万円の見せ金で300万円分の株を借りて一旦売ります。
そこから株価が290万円に下がればそれを買い戻すことで差額の10万円が利益となります。
逆に株価が310万円まで上がってしまうとそれを買い戻して返すので10万円の損失がでます。
そして見せ金の100万円から損失分の10万円が引かれます。
ちなみに信用買いをすると貸株料がもらえたりしますが、微々たるものなので余り気にしなくていいです。
現物取引は上がりそうな株を買うだけの投資なのに対し、信用取引は下がりそうな株を先に売って投資できるという特徴があります。
市場全体が下落傾向のときにも勝負できるというのはメリットと言ってもいいかもしれません。
ただし現物取引と同様、個別の銘柄が上がる・下がるというのは素人には到底わかりません。
ましてや手元資金の3倍以上の取引ができるとなると元本が大幅に毀損する可能性もありますし、最悪手元資金以上の損失を出す可能性すらあります。
ここに将来資金を突っ込んではいけないのはもちろん、小遣いの中であっても全額を張るようなことはせず一部のお金だけでやるか、手元資金との倍率を自分で制限するなど強い意志が必要になります。
当然初心者向けではありませんので、「信用取引は玄人の遊び」と思ってもらって構いません。
決して軽い気持ちで将来資金を投入しないようにしましょう。
ちなみに信用取引には、預け入れた保証金(決済時に増減する見せ金)が取引金額の一定割合を割り込むと強制的に決済される仕組みがあります。
これを「ロスカット」と言いますが、ロスカットが実行されてしまうと取引はそれで終了となり、その時点で損失が確定します。
ロスカット後にいくら利益が出る方に動いても確定後なので反映されません。
信用取引などレバレッジの効いた金融商品は必ずと言っていいほどロスカットのルールが存在しますので、どのくらいの損失でロスカットされるのかは常に気にしていなければいけません。
信用取引は現物取引以上に増減幅が大きいので、投資としては「ナシ」と考えていいでしょう。
やるとしてもギャンブル感覚で、小遣いの範囲よりも更に少額で行うことをお勧めします。
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「指数先物」や「オプション取引」は素人が手を出すものではない。
株式投資は個別株だけでなく、市場全体を取引対象にするものもあります。
それが「株式指数先物」や「オプション取引」です。
双方とも将来資金の投資先として勧められるようなものではありませんが、そういう物があるという感じで読んでいただければ幸いでございますよ。
実際の現物が存在しない「指数先物」は玄人の巣窟。
ニュースなどで「日経平均」や「TOPIX」などの単語を聞いたことがある方は多いと思いますが、この数字を投資対象にしたものがそれです。
先物取引は、ある期日にいくらで買うという取り決めを交わす取引です。
そして期日が来ると買いでも売りでも強制的に差額で決済が行われます。
個人が気軽に参入できるものには「日経225先物」や「TOPIX先物」などがあります。
例えば日経225先物の場合、3ヶ月毎に期日の決まった商品があります。
仮に2021年2月の段階で「2021年3月限 30,000円」という情報があった場合、買う人と売る人の間(実際には証券会社が仲介)で
「2021年3月に 30,000円で日経225という商品を引き渡します」
という約束が交わされます。
ただし日経225は現物株ではなく指数ですので、現物は持っていません。
そのため実際に3月の期日時点での市場価格と約定した30,000円の差額を精算することになります。
30,000円で約定したその日経225の市場価格が35,000円まで上がって期日を迎えるとすると、期日には
- 買主と売主の間で約定された30,000円の取引
- 買主と売主がそれぞれ市場との時価35,000円での精算
が同時に行われることになります。そうすると
- 買主は約定価格30,000円で買い、時価35,000円で市場と精算した差額5,000円が利益
- 売主は約定価格30,000円で売るための商品を時価35,000円で仕入れることになるので5,000円の損失
となるわけです。
逆に日経225が25,000円まで下がった場合は、
- 買主は約定価格30,000円で買い、時価25,000円で市場と精算した差額5,000円の損失
- 売主は約定価格30,000円で売るための商品を25,000円で仕入れるので5,000円の利益
となります。
ちなみに売買手数料などはここでは考慮していません。
そしてこの指数先物取引も保証金を使ったレバレッジの効いた商品です。
倍率で言うと日経225なら8.75倍ですので信用取引よりも大きいです。
また指数先物は短期的な取引のためその見通しを立てられる素人はいません。
この2点から、指数先物取引も投資資金で行うにはリスクの高すぎる投資商品と言えます。
正直な話、指数先物に手を出す人は相場の玄人かよっぽどの博打好きくらいのものですので、小遣いの範囲であっても素人が手を出すことはおすすめできません。
素寒貧になって退場させられるのがオチです。
「権利」自体を売買する「オプション取引」もほぼギャンブル。まあ仕組みだけは知っておいて損はありません。
もう一つの「オプション取引」についても少し説明します。
オプション取引で売買されるのは、日経225なら日経225を「〇〇円で買う権利」または「〇〇円で売る権利」です。
例えば現在の日経225が30,000円だとして、「32,000円で買う権利」を1,000円で取引するとします。
このとき買主が32,000円で買う権利を得ると同時に、売主は「買主が希望すれば32,000円で売る義務」を負うことになります。
例えば日経225が35,000円に上昇し、オプションの権利行使をした場合、
- 買主が32,000円で売主から日経225を買い、時価35,000円で市場と精算。
売買代金1,000円が経費なのでトータル2,000円の利益 - 売主は32,000円で買主に日経225を売るために市場価格35,000円で仕入れる。
受け取った売買代金1,000円を相殺してトータル2,000円の損失
となります。
逆に日経225が25,000円まで下がった状態で期日を迎えた場合はどうでしょう。
- 買主は時価よりだいぶ高い32,000円で買う権利を放棄するので支払った売買代金1,000円の損失
- 売主は、買主の権利放棄により受け取った売買代金1,000円の利益
といった感じになります。
こちらも手数料のたぐいは考慮していません。
実際は市場の動きでオプションの価格自体が上下するから買いが有利というわけでもないんだ。
オプションの売主は予期せぬ市場の暴騰や暴落があった場合は青天井で損失が膨らみます。
逆に買主は損失額が限定されますが、市場の動きがそれほど大きくない場合は権利放棄でジリ貧になっていきます。
こちらも短期的な見通しが必要になるので素人が手を出す代物ではありません。
オプション絡みでどこぞの営業が寄ってきても手を出さないようにしましょう。
オプション取引の仕組み自体は知っておいて損はありません。
だまくらかそうと近づいてくる詐欺師とかの対抗知識として持っておいてもいいでしょう。
ただどちらにしろ手を出すものではないのでその点はご理解ください。
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株の投資、アリ・ナシのまとめ。
取引内容 | アリナシ | 備考 |
現物株式 | △ | 小遣いの範囲でならまあアリ。将来資金は投入しない。 |
信用取引 | × | 原則ナシ。どうしても売りから入りたい時のみ リスク管理を徹底して小遣いで。 |
指数先物 | × | 玄人の遊び。レバレッジもエグいので近づかない。 |
オプション | × | プロの鉄火場。わけわからないまま負けて退場するよ。 |
ざっとまとめるとこんな感じです。
総じて株式投資は一般の個人が将来資金を投じて行うのには向いていません。
応援したい企業があるとか、配当や株主優待でちょっといい思いがしたいということであればやってみるのはいいのですが、やはりお小遣いの範囲の中で趣味として行う程度に留めておくことをお勧めします。
くれぐれも「将来資金で個別株1点買い!」「将来資金で日経フルレバ!」なんていうのはしないでください。
確実に身を滅ぼしますからね。
将来資金を比較的安全に運用したい、使うときに増えていたらラッキー、といった場合には投資信託あたりが無難なのですが、これもまた買い方にいくつか注意すべき点がありますのでそれはまたの機会に。
以上です!