今年から新NISAが始まって猫も杓子もNISA NISAとなっている雰囲気ではありますが、「果たして全ての人がNISAに全振りでいいのか?」という問題はついて回ります。
また、NISAだけでなくiDeCoというお得制度も存在するので、「NISAとiDeCo結局どっちがいいの?」という疑問も依然としてあると思います。
なので今回の記事では、NISAとiDeCoそれぞれについて解説していきながら、
- NISAを優先すべき人。
- iDeCoを優先すべき人。
- どっちも手を出さない人がいい人。
について個人的な見解を述べていこうかと思いますのでお付き合いいただければ幸いでございますよ。
この記事は特定の商品について投資判断したり推奨するものではありません。
もちろん必ず儲かるという類の話ではありませんし、将来の利益も確約しません。
あくまでも一般論として属性に対して有利になりやすい傾向を説明するものです。
投資は自己責任ですので、ご自身の最終的な判断を行ってください。
Contents
そもそもNISAとかiDeCoって何?
一応NISAとiDeCoについて軽く説明しておきますね。
これらに共通することは、「株などの売却益や配当が非課税になる」ということです。
通常、株の配当や売却益には20%の所得税が課せられます。
例えば年間10万円の利益が出たら2万円は税金として持っていかれ、手取りの利益は8万円になってしまいます。
「この20%を取られずに投資を続けていけばより投資効率が良くなりますよ」というお得制度となっています。
ではNISAとiDeCoでどう違うのかについて軽く説明していきますよ。
今年から始まった「NISA(新NISA)」とは何ぞや?
巷で大人気のNISAは「少額投資非課税制度」のことで、要は「限度額はあるけど株の利益を非課税にしてあげるよ」という制度です。
税金にがめつい国がなぜこんな気前の良いことをするのかというともちろん裏があり、
あとこの先別の税金は上げてくから!
ということなんですね。
それくらいの思惑がないと説明つかないよ。
裏があろうとなかろうと、NISA自体はお得な制度であることには変わりないので、できる人はこれをやらない手はありません。
限度額は生涯1800万円、年間で360万円という限度額はあるものの、その範囲内であれば売却益や配当に対しての税金がかからなくなるという非常に魅力的な制度です。
で、日本では長らく「株式」というとギャンブルの最たるものというイメージで嫌われていたのですが、一応NISAは非課税の鉄火場のために用意されているものではありません。
株式と言っても個別株の売った買っただけを指すのではなく、市場全体の指数に連動したインデックスファンドなども対象となります。
ギャンブル好き以外の人達はこのインデックスファンドを長期にわたって積み立てることで、長期的に銀行の利息よりも大きい利回りを実現できる可能性が高いんですね。
損したくないんだけど?
ただしこの先の保証をするものではないよ。
失われた30年と言われてる日本市場ですら配当込みならプラスになってるからね。
結局株式指数というのはその市場における経済規模を表すものなので、極端な話人類が生活の向上を目指して頑張って働いている限り時間はかかれど上向いていくというのは自然なことです。
もちろん売ろうとしているときに不況が来てしまっては損失が出るのですが、長く持っていればいるほど買ったときより高いことが多いのは事実です。
長々と書いてしまいましたが、NISAは生涯有効な制度に(今のところは)なっていますので、長期の投資を前提として効率的に資産運用をすることができるわけです。
これを有効利用するためには、
- 妙な個別株やファンドなどでギャンブルをしない。
- 銀行窓口などで勧められる尖ったファンドに手を出さない。
- つまり手数料の安いインデックスファンドだけを買う。
- 下がっても狼狽売りしないで長期で持つ。
- 最悪目減りしても生活に影響しない範囲のお金で買う。
- 安心したいなら一括ではなく長期で月々積み立てる。
といった手法が王道とされています。
そしてNISAの一番大きな利点は利益に税金がかからないことなんですが、逆に言うとそれ以外のメリットはないということになります。
もともと損失を出した場合は税金がかからないので、その他の点については特定口座で積立をやるのと何ら変わりがないということですね。
これがNISAの特長ということになります。
じゃあiDeCoは違うのか?
次はiDeCoについてですが、利益に対して税金がかからないという点はNISAと同じです。
じゃあiDeCoはどこが異なるのかというと、「拠出したお金が全額所得控除される」という点と、「原則60歳まで引き出すことができない」という点です。
まず、「拠出したお金が全額所得控除される」という点についてですが、要は、
「支払額を所得から丸ごと差し引けるのでその分税金を減らせる」
ということになります。
iDeCoは「確定拠出年金」と呼ばれるように、言ってみれば年金の一種として作られた制度です。
なので、厚生年金や国民年金などと同じように全額所得から控除できるという強力なメリットがあります。
なので、将来の運用利益がゼロだったとしても、支払ったその年に税金の還付という形で恩恵(利益)が受けられることになります。
てか全額ぶっこんだら生活どうすんの…。
残念ながら、iDeCoには拠出額の上限が設定されていて、通常のサラリーマンで会社に確定拠出年金の制度(企業型DC)がない場合は月額23,000円となっています。
個人事業主とかなら上限は上がりますが、サラリーマンはこれが上限と覚えておいてください。
近いうちに上限が月額6万円くらいに引き上げられるって話も出てますしね。
これはNISAにはないiDeCoの一番大きなメリットとなります。
一方のデメリットである「原則60歳まで引き出しができない」についてですが、これは長期間にわたって資金がロックされるというかなり大きなデメリットとなります。
※障害給付・脱退一時金と言う扱いになり取り崩しとは厳密には異なります。
あと、NISAに比べて取扱商品のラインナップが極端に少なく、個別株も対象外です。
基本的にはボラティリティの低い投資信託がメインだと思ってください。
そして少額ではありますが口座開設時の手数料や月々の管理手数料が発生し、金融機関によっては口座管理手数料がかかったりしますので一応注意しておいてください。
あと注意すべき点としては、iDeCoは積立時には所得控除が適用されて節税になりますが、60歳以降の受取時には受け取った全額が所得とされ、一定の控除後に課税されます。
具体的には、まとまった額を一括で受け取ったときには退職所得として課税対象になり、年金として受け取った場合には公的年金にかかる雑所得として課税対象になります。
ただ、退職所得も公的年金にかかる雑所得も控除が大きめな所得だから受け取り方によって税を圧縮できるんだ。
まあ計算しようとすると結構面倒だけど。
iDeCoの特徴をまとめると、
- NISAと同じく利益は非課税。
- 月額の積立額上限が23,000円(企業型確定拠出年金のない会社員の場合)。
- 積み立てているときは全額所得控除になり節税できる。
- ただし60歳までは取り崩せないので長期間資金がロックされる。
- 受取時は課税対象になるので受け取り方には工夫が必要。
- 毎月少しずつ手数料を取られる。
- 商品ラインナップが少ない。
といった感じになります。
NISAとiDeCoそれぞれの特徴をまとめると以下の表のようになります。
普通の投資ともついでに比較してみますね。
通常の投資 | NISA | iDeCo | |
利益にかかる税金 | 20%の分離課税 | 非課税 | 非課税 |
上限 | なし | ・生涯1800万円 (うち成長投資枠は1200万円まで) ・年間360万円 (積立投資枠120万円、成長投資枠240万円) |
月23,000円 (企業型DCのない会社員の場合) |
引出し・取崩し | いつでも | いつでも (ただし売却分の枠が復活するのは翌年) |
原則60歳以上 |
取扱銘柄 | 証券会社が取り扱っていれば何でも | 一部対象外あり | かなり少ない |
口座の手数料 | だいたい無料 | だいたい無料 | 加入時2,829円 月額171円 (+運営管理手数料) |
所得控除 | なし | なし | 全額控除できる |
取崩し時の扱い | 利益は分離課税 | 非課税 ※損失の場合、通常の投資の利益と通算できない。 |
払い出し金額に対して退職所得または雑所得として扱う。 |
で結局どっちを優先すべきなの?
ここまででNISAとiDeCoの特徴がある程度おわかりいただけたかと思います。
そしてここからは「NISAとiDeCo、どっちを優先してやっていくべきか」というお話です。
もちろんどちらもお得な制度ではありますので、両方できればそれに越したことはないんですが、みんながみんなそんなに余裕資金を持っているわけではありません。
先に言ってしまうと、「人による」という身も蓋もない結論になってしまうのですが、ではどういった人がNISAを優先したほうがいいのか、逆にiDeCoを優先したほうがいいのはどんな人なのかについて解説していきますよ。
来月使うお金とかを投資しても意味はありませんよ!
多くの若者は「NISA優先」でいい。
こう言い切ってしまうのも少し語弊があるのですが、基本的にiDeCo全振りをしてしまうよりも、若い人はNISAに軸足を置いて投資をしたほうがいい結果が得られると私は思います。
若い人というのは当たり前ですが先の人生が長いです。
先の人生が長いということは人生の残りイベントも多く、残りイベントには得てしてまとまったお金が必要になります。
しかもそのイベントはいつ来るか事前に予測しにくいものも数多いです。
大きいところだと結婚、出産、マイホーム購入、子どもの進学、親の葬儀などがありますよね。
もちろんマイホームは住宅ローンなどで賄ったりはしますが、初期費用や引越し費用など意外とまとまったお金は必要になります。
子の教育費に関しても最近は無償化が進んでいるとはいえそれでも出費は大きいものです。
このようなイベントに対してはNISAが適していると言うよりは、iDeCoによる長期間の資金ロックが向いてなさすぎると言ったほうがわかりやすいかもしれません。
手持ちの預金などで間に合うよう貯蓄を並行してやらなければいけないのは当然なんですが、それでも積み立てたものを絶対に取り崩せないiDeCoでは何かあったときに対応ができないとなると使い勝手が非常に悪いです。
例えば50代であれば取崩しできる年齢まで10年以下の期間しかないのに対し、20代では30年以上の資金ロックを強いられてしまいます。
人生のイベントが多く残っている若い時代から長期資金ロックが確定しているiDeCoに全力というのはかなりリスキーだということがわかるでしょう。
また、(もちろん人にもよりますが)若いサラリーマンは上の世代に比べて収入が低いです。
なので「iDeCo特有の掛け金を全額控除できる」というメリットが薄くなります。
給与所得を含む総合課税の税率は累進課税となっており、税率は下記のとおりです。
20代の平均年収はおおよそ330万円程度と言われています。
ここから社会保険料や各種控除を引いた金額に対して上の表の税率が課税されます。
なので大体は表の1番上である税率5%の範囲内で収まってしまい、住民税10%を加えても15%程度の節税となります。
節税効果15%程度で30年にわたる資金ロックは割に合わないというのが私の個人的な見解です。
また、iDeCoを取り崩す際には一時金や年金の受取総額に課税されてしまうので、運用期間が長いことで利益が出やすく、想定以上の税金がかかって節税効果を上回ってしまう可能性もないとは言えません。
しかもiDeCoは運用の手数料がかかってきますので、15%の節税に対しての手数料実損の割合が高くなってしまうというデメリットもあります。
もちろんトータルで見ればお得な制度に違いはないのですが、若い時期にNISAを差し置いてまで投資するメリットは薄いと言っていいかと思います。
ざっくり20代~30代前半くらいの若者で平均的な所得のサラリーマンの方は基本的にNISAを優先して積み立てていったほうが良いかと思いますよ。
ただし、「強制的にロックされないと使っちゃうよ!」というちょっとだらしない若者にとっては資金ロック自体がメリットとなりますので、ご自身の性格と相談の上決めてみるのがいいでしょう。
ちなみに定年直後の方でよく銀行とかに、
とか調子のいい事を言って退職金一括で金融商品を売りつけてくる酷い営業マンが存在しますが、彼らの言葉には決して乗ってはいけません。
60歳ともなると長期で資産形成をしていくには遅すぎますので、長期で上がっていくとしても上がりきらないうちに取崩しを強いられることもあります。
退職金の一括投資は非常に危険ですので絶対にやめてください。
情報格差があるのをいいことに顧客のためにならない物を売りつけるやつは詐欺と変わらないって思ってるだけ。
年齢を重ねてきたらiDeCo優先。
若者がNISA中心で運用していくといいのに対し、中高年の方はiDeCoを優先して積み立てていくことをおすすめします。
年取ってから始めても老後にいくらにもならないんじゃないの?
確かに積立期間が短いということは受取時の金額も少なくなるのは確かです。
ただ、非課税で積み立てられるのはNISAもiDeCoも一緒ですので、単純に「投資で儲けて老後資金を捻出しよう」という目的で行うのであればiDeCoがとりたてて優れているというわけではありません。
厳しいことを言うようですが、中高年になって今から老後資金を0から積み立てる気になったところで遅いんですね。
なので中高年からのiDeCoの妙味というのは資産形成を行うこと自体ではなく、「節税効果を狙って手取りを増やす」ことが主目的になります。
上でも述べたように、iDeCoの掛け金は全額所得から控除されます。
そして中高年の給料は若い人に比べて相対的に高いです。
例えば50代の平均年収は600万円を超えてきます。20代の約2倍ですね。
そしてここから社会保険料や各種控除を引いた課税所得金額は人にもよりますが300万円~350万円程度となり、上の表で行くと税率は10%もしくは20%が適用されます。
これに住民税を10%を足すと20~30%となりますね。
つまり支払った掛け金の20%もしくは30%の節税効果があることになります。
もっと稼ぐ人は33%とか40%に到達するかもしれません。
もちろん月の上限は23,000円ですので金額は限られますが、年間で55,200円~82,800円の税金が返ってくると思うとそれなりの効果が得られるでしょう、
しかも若者だろうと中高年だろうと取崩しは60歳以降(※加入期間10年未満の場合は繰り下げられます)ですので、資金ロックの期間は50代なら10年かそれ以下です。
そして積立期間が短くトータルの金額自体がそれほど大きくなりませんので、取崩したときの税金がかからない可能性も長く積み立てた場合に比べて上がります。
ただ年金で受け取る場合は他の公的年金との合算で課税される点に注意です。
若者が数十年の資金ロックに対して掛け金を支払った年の節税効果は15%、40代なら十数年の資金ロックに対して節税効果20%、50代なら10年以下の資金ロックに対して節税効果が20~30%、年齢を重ねたほうが有利な制度になっているように見えませんか?
まず50代ならiDeCoを優先して直近の手取り増を取りに行ったほうが満足度が高くなる可能性は高いでしょう。
なので現在何もやっていない中高年の方は「今から積み立てたってしょうがないわ」と諦めるのではなく、多少の余裕資金があるのであれば節税のために今からでもiDeCoを活用することをおすすめしますよ。
今年から新NISAが始まって猫も杓子もNISAみたいな風潮があるのですが、実際は20代~30代前半であればNISA、50代であればiDeCoを優先したほうが良い結果を生む可能性が高くなることはおわかりいただけたかと思います。
余裕がないなら投資してる場合じゃない。
ここまでNISAを優先すべき人、iDeCoを優先すべき人について書いてきましたが、どちらもやらないほうがいい人も存在します。
簡単に言ってしまうと、「お金がない人」はぶっちゃけ投資してる場合ではありません。
生活が常にカツカツである場合は投資のための余裕資金を捻出できていないということですので、生活自体の見直しが必要になってきますし投資のことを考えるのは後回しです。
生活がカツカツになっているのにはそれぞれ事情があると思います。
- そもそも収入が少ない。
- 無駄遣いが多くお金が貯まらない。
- 今まさにイベント中で物入り。
などが主な理由になるでしょう。
収入が少ないのであれば転職や副業が必要でしょうし、無駄遣いが多ければ支出を見直す必要があります。
また、今が人生イベントの真っ最中という方はそれが落ち着いて多少の金銭的余裕ができるのを待つほかありません。
慌てなくても当面の間は続く制度ではありますので、投資を始めるための土台作りをきっちり行ってからNISAやiDeCoを始めることをおすすめしますよ。
こちらが属性別どっちを優先するかのまとめ表です。↓
優先商品 | 備考 | |
20~30代前半 | NISA優先 | 資金ロックを避ける。 あると使っちゃう人はiDeCo優先でもOK。 |
30代後半 | 人による (NISAやや優勢?) |
iDeCoで資産形成するにはロックが長いかも。 収入が多ければiDeCoもアリ。 |
40代 | 人による | 残りのライフイベントとの兼ね合いで判断。 |
50代 | iDeCo優先 | 節税で手取りを増やす。 |
60~65歳 | 人による | 再雇用後の給与所得と相談。 |
お金ない人 | ライフプラン自体の見直し | 投資してる場合じゃない。 |
お金持ち | 両方やればいいよ | うらやましい! |
口座を開設したら何を買えばいいのか問題。
ここまでの解説でご自身がどちらを優先したらいいのかというのはなんとなくわかったのではないかと思います。
ではその次、いいたいどこで何を買えばいいのかという問題にぶつかってしまうのではないでしょうか?
NISAにしろiDeCoにしろ、基本的には「手数料の安いインデックスファンド」を買うのがいいのですが、どれがそれにあたるのかとかはなかなかわかりにくいかと思いますし、特にiDeCoでは取扱商品が少なかったりしますのでそれぞれ解説していきますね。
ちなみに大前提なんですが、NISA口座、iDeCoともに複数の金融機関に開設することはできず、それぞれ1社にしか持つことはできません。
なのでNISA、iDeCoともに手数料が安いネット証券で開設することをおすすめします。
自分でやるのは多少手間ではありますが、その手間を惜しむことにコストがかかることはお忘れなく。
高確率で損します!
それをダメと判断できないカモを釣るためのポスターだよ!
ほんとに顧客のことを考えてる人から辞めていくよ。
話を戻しますが、NISAやiDeCoの口座は大体楽天証券かSBI証券、どっちの経済圏にもあまり近づきたくないという方は松井証券あたりでいいかと思います。
リンクを置いておきますのでよろしければどうぞ。
NISAは色々選べるが買っていい商品はごくわずか。
NISAの方は投資対象が結構幅広く、成長投資枠では個別株なんかも買えたりします。
ただ私の考えでは、「我々素人が個別株を買うのは博打に等しい」と思っています。
ひりつくようなギャンブルを求めているのであれば止めはしませんが、将来の資産形成という目的では個別株を買うのはおすすめしません。
あの脳汁が出たときの快感は何にも代え難いですよね!
我々素人は逐一相場を見ていたりすることはできないので「積み立てて放置」という戦略をベースにしていくしかありません。
そこで基本的な考え方としては条件に合った投資信託を積立設定していくのですが、その条件は下記の通りです。
- 手数料や信託報酬の安いインデックスファンド
- 途中で解散しなさそうな大規模のファンド
まず用語がわからん。
上でも少し出ましたが、「インデックスファンド」は株価指数(インデックス、ベンチマーク)との連動を目標とした投資信託のことです。
つまり、日経平均をターゲットとしたインデックスファンドは日経平均と同じ動きをしますし、ダウ平均をターゲットとしていればダウと同じ動きをするように設定されています。
対して「アクティブファンド」と呼ばれる投資信託は、インデックスを上回る収益を目指すように運用する投資信託を指します。
なんでインデックスファンドの方を勧めるんだ?
インデックスファンドを勧める(アクティブファンドを勧めない)理由は2つ、
- アクティブファンドは手数料や信託報酬がバカ高い。
- そもそも大多数のアクティブファンドはインデックスを上回れない。
という点です。
インデックスファンドは、その指数を形成する銘柄を機械的に買い揃えるだけなので運用が単純となり、その分信託報酬を安く設定できます。
信託報酬というのがなかなかの曲者で、ざっくりいうと年間の預かり資産に対しての割合で徴収されます。
この信託報酬は、多くのインデックスファンドでは年間0.5%未満、安いものだと0.1%以下とかの世界です。
アクティブファンドは数%とかを平気で持っていったりします。
勝とうが負けようがです。
投資家からすると信託報酬なんてない方が良いに決まっていますので、できるだけ信託報酬が安いものを選んでいくというのが鉄則です。
しかも。アクティブファンドがインデックスを上回る成績を目標にしているとは言っても、実際にインデックスを上回る運用ができているファンドはそれほど多くありません。
つまり、「どのファンドが好成績なのかを勉強して探していく」作業が必要になってきますので、そもそも個別株を選ぶのと労力的に大して変わらないことになってしまいます。
なので、素人の我々が片手間に資産形成を行おうと思ったら、「時間をかけて成長する市場規模に投資する」という方法が一番現実的になってくるんですね。
あとは、手数料が安くてもあまり資金が集まっていないファンドに関しては「先々解散する危険性が排除できない」という問題があるので、手数料が安いからといってマイナーなファンドを選ぶことはおすすめしません。
預かり資産が大きいからと言って絶対に解散しないわけではないですが、少なくとも資金の少ないファンドよりは解散の可能性は圧倒的に低いです。
投資信託を選ぶ際にはそのあたりに注意が必要です。
大体有名どころだし規模に関しては心配ありません。
投資信託 | タイプ | 信託報酬等 | 備考 |
e-MAXIS Slim (オールカントリー) |
全世界株 | 0.05775% | 米国株以外も ある程度カバー |
e-MAXIS Slim (S&P500) |
主要米国株 | 0.09372% | 米国主要500社 |
楽天VTI(再投資型) | 米国株 | 0.162% | 米の上場企業を 幅広くカバー |
e-MAXIS Slim (先進国債券) |
債権 | 0.154% | 株だけでは不安な方向け |
e-MAXIS Slim (先進国REIT) |
不動産 | 0.22% | 株だけでは不安な方向け |
ゴールド・ファンド (為替ヘッジなし) |
金 | 0.407% | 手数料がちょっと高め |
ここで挙げたのはとにかく有名どころのファンドです。
他のファンドを買ってはいけないというわけではないのですが、有名どころのほうが預かり資産も多く解散しにくいのであえてマイナーなファンドを選ぶ理由はありません。
この他のものを選びたいのであれば信託報酬に関しては高くても年間0.5%以下、できれば0.3%以下のものを選ぶといいでしょう。
あとは規模の大きさを気にすることも忘れずに。
この中のどれがいいというのは好みで選んでもいいのですが、軸とするのは株式のものがいいです。
株以外の債権、不動産、ゴールドのファンドは株式が調子を落としているときの保険くらいの感覚で少し買っておくだけで十分です。
30年とかの長期なら株だけでも構いません。
債券は株と逆の動きをする傾向が多少あるので不況時の資産を下支えしてくれるというメリットは少しありますが、逆に好景気時には資産の上値を抑えるデメリットも併せ持っているので「どの程度安心したいか」で組入比率を調整すればいいかなと思いますよ。
どれが一番いいとかは結果論でしかないので割合はお好みで。
株式ファンドは主要米国株、全米株、世界株で1つずつ挙げてみましたがこれも好みで構いません。
何なら世界株といっても構成銘柄の6割くらいは米国株ですので、気持ち手広く抑えたいなら世界株、主要株以外の米国株も抑えたいなら全米株、主要米株だけで十分ならS&P500、といった感じで選べばいいと思います。
私は買うときの気分で適当に決めています。
正直20代や30代であれば株式のファンドに全力でも問題ないと思います。
ただ50代の方でiDeCoの上限よりも投資に回すお金がある人については出口を見据えた分散が必要になります。
株式の割合を減らして債券やゴールドにしておくとか、無理せず貯金に回すとか、利益の先取りとして高配当株ファンドなんかも選択肢に入ってくるかもしれません。
高配当株ファンドで最近話題になっているのが、楽天SCHDやSBI・SCHDです。
四半期に1度配当金が出るタイプの投資信託で信託報酬は楽天SCHDが0.192%でSBI・SCHDが0.1238%です。
分配を年4回行っているため長期での資産形成としては全くおすすめできない商品ではありますが、出口戦略を見据えて不況が来る前に配当金を受け取ってしまおうという考えで買うのであれば選択肢に入れてもいいかもしれません。
あくまでも取崩しが近い中高年の方のための商品と考えています。
あと1つ注意点ですが、上でいくつか出てきた「eMAXIS Slim」については、必ず「Slim」とついているものから選んでください。
SlimなしのeMAXISは別の商品で信託報酬が高く設定されています。
投資信託を選ぶにあたって信託報酬の高さは絶対悪ですのでお間違いのなきようお願いしますよ。
iDeCoは資産形成目的か節税目的かで微妙に買う商品は違う。
iDeCoに関しては、若めの方が資産形成目的で行うのであれば概ねNISAと同じような感じで決めていけばいいのですが、50代以降の節税目的でやる方はちょっと方向性が違ってきます。
上でも少し述べましたが長期の資産形成目的であれば時間を味方につけることができたので世界株全ツッパでもそれほど問題はありません。
しかし取崩しまでの期間が短い場合、取崩し時期に不況が来てしまうと高確率で元本割れを食らってしまうわけですね。
そうなってくると若い方と同じように株式全ツッパというわけにはいかなくなります。
なので上で挙げた方法の他に、どうしても不況が怖いという方はiDeCoには「定期預金」という手もあります。
ただしiDeCoには管理手数料が毎月発生しますので、ほとんど利息のつかない定期預金では確実に手数料負け(手数料分の元本割れ)することは知っておいてください。
もちろん節税効果に比べれば微々たるものですが、払った金額よりちょっと減ってしまうのが確定してしまうのは気分の良いものではありませんね。
あとiDeCoはNISAに比べてラインナップが限定されています。
上で挙げた3社の中でもちょっと変わってくるので各社でいくつかずつ挙げておきますね。
楽天証券
ファンド名 | 中身 | 信託報酬 | 備考 |
楽天・プラス S&P500 |
主要米株 | 0.07700% | 楽天独自のS&P500ファンド |
楽天・プラス オールカントリー |
世界株 | 0.05610% | 楽天独自の世界株ファンド |
楽天VTI | 全米株 | 0.16200% | なぜVTIだけちょっと高いの? |
たわらノーロード 先進国債券 |
先進国債券 | 0.18700% | 株だけだと不安な人向け |
三井住友・DC外国リート インデックスファンド |
不動産 | 0.29700% | 株だけだと不安な人向け |
みずほDC定期預金 | 定期預金 | なし | 普通の定期預金 |
SBI証券
ファンド名 | 中身 | 信託報酬 | 備考 |
e-MAXIS Slim米国債券 (S&P500) |
主要米株 | 0.09372% | 上で挙げたのと同じ |
e-MAXIS Slim全世界株式(除く日本) | 世界株 | 0.05775% | 日本以外の世界株 日本株も買いたい人は別で買おう |
e-MAXIS Slim先進国債券 | 先進国債券 | 0.154% | 株だけだと不安な人向け |
三菱UFJ純金ファンド | ゴールド | 0.99% | 株だけだと不安な人向け 信託報酬ちょっと高い |
三井住友DC外国リートインデックスファンド | 不動産 | 0.297% | 株だけだと不安な人向け |
あおぞらDC定期 | 定期預金 | なし | 普通の定期預金 |
松井証券
ファンド名 | 中身 | 信託報酬 | 備考 |
e-MAXIS Slim米国債券 (S&P500) |
主要米株 | 0.09372% | 上で挙げたのと同じ |
e-MAXIS Slim (オールカントリー) |
全世界株 | 0.05775% | 上で挙げたのと同じ |
楽天VTI | 全米株 | 0.16200% | 上で挙げたのと同じ |
ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし) | ゴールド | 0.407% | 株だけだと不安な人向け |
eMAXIS Slim 先進国リートインデックス | 不動産 | 0.22% | 株だけだと不安な人向け |
みずほDC定期預金 | 定期預金 | なし | 普通の定期預金 |
若くてそれなりに稼いでいる方は、NISAと似たような構成で株式ファンドを多めに割り振って構いません。
中高年の方はそろそろ出口を考える年齢ですので、他のファンドの割合を増やしたり定期預金を組み入れたりしてボラティリティを下げる対応も検討していくといいでしょう。
個人的には定期預金は入れたくないと思っていますよ。
NISAとiDeCoのどちらを優先するか問題のまとめ。
- 利益の非課税はNISAだけじゃなくiDeCoもある。
- NISAのメリットは非課税と流動性。
- iDeCoのメリットは所得控除による節税(先送り)。
- iDeCoのデメリットは長期ロックと受取には課税されること。
- 退職所得控除や公的年金控除もあるので課税されるかどうかは計算しておいたほうがいいかも。
- ロックが長くなると辛いので若い人はNISA優先でOK。
- 50代とかであれば資金ロックが短くなるのでiDeCo優先で節税狙い。
- 間の人は自分のライフスタイルと相談して決める。
- もちろん余裕ある人は両方やればよき。
- ただしiDeCoの受取金額が多くなると受取時の税金が大きくなることもある点に注意。
- 投資対象のファンドは「信託報酬の低さ」「規模」で選ぶ。
- まあ有名どころのオルカンとかS&P500にしておけば問題なし。
- 若者は株式ファンド多めの構成でOK。
- 50代後半とかであればiDeCoで定期預金も選択肢。
- 50代でiDeCoをすでに埋めている人はNISAで高配当株ファンドもアリと言えばアリ。
長くなりましたがこんな感じです。
NISAでは「年初に一括投資して年間360万、5年で1800万の枠を全部埋めろ!」と張り切っているインフルエンサーなどが散見されますが、正直普通の人には現実的ではありませんし、ギリギリできるくらいの人には精神衛生上よろしくありません。
もちろん機会損失が最小になるという意味ではその方法が合理的ではあるのですが、それができる人はNISAやらで悩まなくてもいいようなお金持ちぐらいのものです。
なので私の記事では、「一般的なサラリーマンが取れる範囲の投資行動」に限定して解説をしています。
その辺をご理解いただいたうえで今後の参考にしていただければ幸いでございますよ。
以上です!