利回りの大きい投資を騙った詐欺などの事件が最近ニュースを賑わせることが多くなりました。
その度に聞こえてくるのが、
「そんなうまい話なんてあるわけがない」
「詐欺に決まってる」
など、傷心の被害者にとどめを刺してしまう火の玉ストレートの正論です。
これが正論なのは確かなのですが、では騙されないようにするために具体的にどう気をつけるべきなのかということについて少し考えてみました。
Contents
ゴミ投資商品と詐欺の境界線は気にしなくていいから全部切り捨てろ!
そもそも普通の投資と詐欺の見分け方というのは普通の人には難しいものです。
「そんなうまい話なんてない」という人は必ず出てきますが、正直言って後付けの結果論で言っているだけの気がしなくもありません。
誰かが投資の話を持ってきたときに、それが普通の投資であるかただの詐欺なのかを判別するのは素人には不可能と言っていいと思います。
ですので、私の個人的な意見としては、
「向こうからくる投資話は全部クソ」
と判断して差し支えないと思っています。
不動産投資で騙されてかぼちゃの馬車とかのクソ物件を素人のみなさんが押し込まれないために覚えとくことはただ1つ。「不動産投資の実績のない貴方のところにわざわざ向こうからやってくる不動産は全部クソ」これね。
— 全宅ツイのグル (@emoyino) 2018年2月14日
↑これと一緒です。
結局不動産投資であっても他の投資であっても、売る側からガンガン攻勢をかけてくるような商品というのは、
「攻勢をかけなければ売れないもの」
なんですよ。
投資した人が損をするのであればその中身が詐欺かどうかは問題ではないのです。
損をしようと思って投資する人はいないわけですから。
そういった意味で、詐欺の話とゴミ投資商品をひっくるめてバッサリ切り捨てるのが最強の対策ということになります。
詐欺を見抜く必要はないけどその方法はあるのか?
全部切り捨てれば安全というのは間違いないのですが、中にはジャンクの中から宝を見つけたいという奇特な方もいるかも知れません。
そんな場合は、せめて騙されないためにいくつかの判断材料について書いていきたいと思います。
「リスクがない」「元本保証」は全て詐欺。
向こうからやってきた投資商品に迂闊にも興味を示してしまった場合は、まずリスクについて尋ねてみてください。
万が一、
とか、
とかいうセリフが飛び出したら間違いなく詐欺です。
投資商品にノーリスクはあり得ません。
ありえないことを断言してしまう場合、商品がゴミかどうか以前に「平気で嘘をついて金を集める連中」ということが確定してしまいます。
すぐに断って連絡手段を断ちましょう。
利回りが大きすぎるのもほぼ詐欺。そうでない場合も利回りは当てにならないので鵜呑みにしないこと。
具体的にどのくらいが詐欺のラインかは線引きの難しいところではありますが、年利回りが数十%とかになるとわかりやすく詐欺でしょう。
それ以下の年10%とかになってくると詐欺と断定することはできませんが、詐欺でないとしても何やかんやで実質の利回りはそれよりも大幅に下がるのは間違いありません。
詐欺ではない不動産投資を例にすると、セールスが年利回り10%と言って売り込みに来た場合の10%は間違いなく表面利回りです。
この表面利回りというのは経費を引く前の理論上の最大値ですので、この利回りがそのまま投資した人の利益になることは絶対にありません。
どんな商品であっても、セールスの提示した利回りを鵜呑みにして皮算用するのは危険です。
実質利回りを計算して判断するか、それができない商品には手を出すことはやめておいた方がいいでしょう。
全部無視して逃げるのが吉です。
「大企業と取引がある」は本当でも信用材料にならない。
と言って、あたかも大企業と取引を行っているから安心な企業であると思わせるやり方もあります。
この辺のワードが出てきたら逆に怪しいと思ってください。
もちろんそれ自体が嘘という可能性もありますし、本当だったとしてもそれが会社の信用度とは別問題です。
取引があるからと言ってその商品を大企業が買っているとは限らないからです。
極端な例えをすると、ファミリーマートでおにぎりを買った事実があれば、「伊藤忠の関連会社と取引がある」と言ってしまうことも可能です。
銀行の名前を出してくるのも一緒ですね。
会社の口座を開設しているだけで「○○銀行が取引銀行なんですよ」と言ってきたりもします。
てかまともな会社ならわざわざそんなアピールしないでしょ?
聞いてもいないのにわざわざ他社の威光を持ち出してくるような会社は、詐欺ではなくてもまともな会社ではありません。
相手にするだけ時間の無駄です。逃げましょう。
無駄に大きい金額の話をするのは危険サイン。
これは私が実際にブラック証券会社(詐欺ではないですが)で勤めていた時に上司から勧められた勧誘方法です。
ドーンとでっかい何千万の話をして初めてお客さんの心が動くんや!
これは当時何度も言われました。
大きいリターンの話をすることで相手の射幸心を煽るというやり方なんだと思います。
これはもう、商品を勧めるというよりも金を預かることに重きを置いている会社と思って間違いありません。
もしあなたが余裕資金が何億もある資産家に見えるというのであれば金額の大きな話が出てくるのは不思議ではありません。
しかし、そういうわけでもないのにわざわざそんな大きな話を持ち出してくる場合、そのセールスは顧客の資産形成よりもお金を引っ張ることを重視していると考えていいでしょう。
例えば3000万円投資した場合、働かなくても毎年360万円が入ってきます。
もうこれ暮らせますよね?
なんていうセールストークが出てきたら、もうセールスの目は$マークだと思ってください。
こういうところは、仮に詐欺じゃなかったとしても、預けた資産の引き出しを極端に渋ることが多いです。
現金化したい時にさせない会社はクズですので取引をすることは避けた方がいいでしょう。
儲かった人のセミナーに誘われたら詐欺かマルチ。
これはどちらかというとマルチ商法とかでよく見る手法なんですが、セミナーと称して人を集め、その人達の前で「儲かっているとされる人」の話を聞く、というものです。
会場では金に目の眩んだ末端顧客に対して儲かっている人が金持ちの優位性を説き、サクラがそれを盛り上げて集団効果でその気にさせる、というやり方ですね。
こんなのマルチだけだと思っていましたが、ニュースなどで見ると投資商品でもこういった手口は存在するようです。
その経費を配当に回せば顧客利回りも上がるはずというのは外から見ていれば容易に想像できると思うんですが、当事者は集団効果も相まってなかなかそこまで頭は回らないようです。
ネットで調べたらマルチっぽい勧誘が横行していて、社長が逮捕されてたコインだったので全力で止めましたけど。
兎にも角にも、セミナーに誘われたら危ないと思っておいたほうがいいです。
うっかり行ってしまうと契約するまで帰れないとか普通にあり得ます。
預かり資産の分別管理をしていない商品は倒産リスクが大きい。
これも詐欺かどうかにかかわらず見ておかなければならないポイントです。
例えば、株やFXなどを扱う会社は、自社の資産と顧客から預け入れられた資産を分別して管理しなければいけません。
これが何を意味するかというと、分別管理をすることで資産を預かっている会社の倒産リスクが避けられることに繋がります。
例えば株を買って預けている証券会社が倒産したとします。
顧客はその株を債権者に押さえられて取り戻すことができなくなるということはなく、その株を他の人に取られることはないのです。
つまり、顧客の損得は株価の変動(と売買手数料)で決まることになりますね。
しかし、分別管理がしっかり行われていないと、買った投資商品の価値の上下の他にお金を預けた会社の倒産リスクまで顧客が負わなければなりません。
仮にお金を預けた会社が倒産した場合、預け入れた資産はただの債権と同じ扱いになり、清算後の残ったお金が按分されるだけです。
実際には会社が経費に転用してたり使い込んでいることも多く、ほとんど戻ってくることはないでしょう。
セールスに資産管理について尋ねてみたとき、分別管理を行っていない、明確な答えが出ない場合は論外です。
と言われたら今度はその裏取りをしなければいけなくなります。
証券会社や国内のFX会社などは分別管理を法律で義務付けられているためわざわざ裏を取る必要はありませんが、よくわからない商品への投資の場合は倒産や持ち逃げのリスクは飛躍的に高まると言ってもいいでしょう。
面倒でも契約書は全部読みましょう。
特によくわからない投資商品を契約する場合、法令の裏付けがないことが多いです。
その場合どうしても契約書が根拠とされてしまうことになります。
この内容を適当にしたまま契約してしまうと、後々面倒なことになる可能性が非常に高いです。
というのも、劣悪な投資商品の場合は契約書に顧客が著しく不利になる条項が盛り込まれていることが多いからです。
- やたら長い出金制限期間。
- よくわからない手数料を負担させられる。
- 謎な免責事項。
この辺があったらたとえ少額でも投資しないほうがいいです。
契約書に少しでも疑問がある場合は遠慮なく質問しましょう。
これで答えられないようなセールスの会社は早晩破綻します。
疑問を疑問のままにしたまま契約するのはお金をドブに捨てるのに等しい行為です。
1回の面談で契約するな!一度持ち帰って検索しよう。
いろいろ手を出すべきでない商品のポイントを並べてみましたが、「よくわからないけど大丈夫そう」と思うこともあるかもしれません。
いいと思ってもその場では絶対に契約しないでください。
何でもいいので理由をつけて一度持ち帰ることをお勧めします。
家に帰ったらその投資商品の名前で検索をかけてみてください。
あなたがかなり初期に勧誘対象になった場合を除き、商品名のサジェストが出てくるはずです。
サジェストで「詐欺」とか「悪質」、「悪評」などが出てきたらアウトです。
何も出てこなくてもとりあえず「〇〇 評判」あたりで検索すると、その商品が概ねどんな感じのものなのかは把握できるはずです。
そのためには、最初の面談で契約することは絶対に避けなければいけません。
セールスは結果をすぐに求めるのであの手この手でその場の契約を促そうとするので振り切るのは大変かもしれません。
それでも、セールスからの情報だけを鵜呑みにして契約してしまうのはあまりにも危険すぎます。
セールスによっては、「枠がなくなる」とか煽ってきますし、ひどいのだと「今日契約するとお得です!」とかわけのわからないクロージングをかけてきたりします。
この辺の急がせる文句は全て嘘ですので耳を貸してはいけません。
早々に逃げてGoogle先生の審判を待ちましょう。
どうしても1枚噛んでみたい場合は少額で離脱も速く。
ここまではわけのわからない投資商品から逃げるための理屈を並べてきました。
しかしそれでもどうしてもいっちょ噛みしたいという方は、預ける資産は少額に抑えておくということをおすすめします。
投資の大原則は「卵を1つのカゴに盛るな」。
これはもう方々で使い古された言葉ですが、詐欺とかに引っかかって途方に暮れている人はこの大原則を知らないか欲にまみれて見失った人です。
どんなに紹介された投資商品が魅力的に映ったとしても、1つの投資商品に全力で資産を突っ込むことは最低な愚策です。
資産を守りたいなら分散投資するしかないんです。
資産を全て現預金で持っているのも実は安全ではないんです。
円の価値が下がって預金利率以上にインフレが進行すれば相対的に損をしてしまうからです。
我々が日常的に利用している日本円ですらそのようなリスクがあるのですから、わけのわからない投資商品にフルコミットするのは危険を通り越して無謀です。
投資詐欺で騙された人の、
みたいなインタビューをよく見ますが、騙される騙されない以前に
なくなって途方に暮れるような額を一つの商品に投資するのが間違いなのです。
ましてや、利回りが高い(と謳う)商品に全ツッパというのは狂気の沙汰です。
倒産、持ち逃げリスクを全て無視したとしても、リスクとリターンは表裏一体ということは覚えていてください。
うまい話で儲けようという欲があるのは誰しも少しはあるものです。
しかし、そこに全力で投資せずに分散して投資するという大前提は忘れないでほしいのです。
世間ではよく、
ハイリスク商品はなくなってもいいお金でやるんです。
と言われます。
しかしこれがユーザーを混乱させる一因にもなっています。
なくなっていいお金なんて普通の人は持ち合わせていないんですから。
なくなっていいお金がない以上、いくら投資していいかも把握できません。
なので都合の良い方に考えてしまい、投資したお金がなくならないと思い込んで突っ込んでしまうわけですよ。
なくなっていいお金というワードのせいで投資金額の基準がザルになってしまいます。
ですのでこの先、リスクや利回りが高い商品は、
持ち逃げされてもネタにできるくらいの金額でやりましょう。
こう考えていれば全財産に近い金額をゴミ商品に突っ込むようなことは普通はしないでしょう。
これも立場によって金額と多寡は変わってきますが、普通の人であれば多くてせいぜい10万20万が限度だと思います。
ジャンクがお宝に化けるかもしれないというスケベ心で投資をするというのは結局分の悪いギャンブルと一緒です。
詐欺の可能性がある分博打よりタチが悪いかもしれません。
なのでいくらいい投資だと思い込まされても「卵は1つのカゴに盛るな」を徹底しましょう。
もし、10万20万の金額での投資はできず、「最低○百万円から」みたいな縛りがあったら縁がなかったものと諦めてください。
一口が大きい商品ほどいろんなリスクは大きいです。
何なら詐欺の可能性も飛躍的に上がります。
最低○百万円の本当にすごい投資話は庶民のところには来ません。
利食い、損切りはためらわずすぐに逃げるべし。
これは利益が出ている場合でも損失が出ている場合でも一緒です。
というのもよく耳にしますが、預かったお金があるんだからそこから配当が出せるのは当然なんです。
預かったお金の1%でも配当を数回こなせば信用が得られるのであれば、それをやってくる詐欺の会社などいくらでもあります。
少しのお金を撒くことで告発を先送りできるんですからね。
ですので利益が出ているうちにとりあえず出金を持ちかけてみましょう。
ここで出金を渋られたらもうほぼ詐欺です。
詐欺ではなくても不必要に流動性を下げる投資商品に先はありません。
この場合は弁護士でも何でも立てて元金を取り返すことをおすすめします。
逃げられてからではどうしようもなくなりますからね。
損失が出た場合、どこかのタイミングで「おかしいな?」と思うでしょうが、そもそも損失が出ておかしいと思う時点でセールスの言葉が嘘だと確定してしまうわけです。
そんな会社にいつまでもあなたが付き合っている義理はありません。
会社が破綻する前にお金を引き出して逃げましょう。
目減りしていても全額持っていかれるよりはマシです。
上でも書きましたが、○年間は出金が不可能という理不尽な制限が契約書に書かれている場合は出金のために最悪裁判までありますので、そもそも契約はやめましょう。
うまい話の対応策まとめ。
- 「向こうからくる投資話は全部クソ」が大前提。
- 万一興味を持ってしまったらセールスにリスクを尋ねて粗を探す。
- セールスの危険信号に敏感になろう。粗はいくらでも出てくる。
- それでも乗りそうになったら契約書をよく読んで粗を探す。
- わからなければ帰って検索して被害を調べる。
- 絶対にその場で契約しない。煽り文句は全て嘘。
- それでもどうしてもやりたいと思ったら少額に留める。
- 少額を受け付けていなかったらやめておく。
- 儲かろうと損しようと離脱は積極的に。
長々と書いてきましたが、結局のところ、
「よくわからないなら投資なんかするな」
というのが私の伝えたいことです。
そんなことを書くと、
という意見も出てくるでしょうが、まさにその通りです。
何もわからない状態で海千山千の投資家たちを相手に素人が勝てるはずがないんですよ。
もちろんよくわからず買った投資商品がたまたま詐欺ではなく、ビギナーズラックで利益が出ることもあるかもしれません。
しかしそれは勝つべくして勝ったわけではなくたまたま儲かったに過ぎません。
それは投資でも資産運用でもなくただのギャンブルと一緒です。
どうしても投資をしたいのであれば最低限セールスの人とある程度話し込めるくらいの知識は必要になってくるでしょう。
そしてそれは勝つための知識ではなく、最低限勝負の土俵に立てる知識です。
勝つための知識はもっと小難しい理屈と経験が必要なのでそれこそ専門家の領域です。
こういうことを書くと、必ず
という人がいますがこれは大きな勘違いです。
投資商品のセールスは専門家ではなくただ売るだけの人です。
素人が売るだけの人に頼ったところで買わされておしまいです。
彼らは単純に買いたくなるようないいところだけを繰り返し話すスピーカーですので、こちらから聞かなければリスクやデメリットに触れないまま売りつけてきます。
そこに突っ込む気概がないのであれば投資なんて夢のまた夢です。
セールスを専門家だと思っているから騙されるんです。
なので、騙されたくなかったら少しでも勉強して話ができるようになりましょう。
難しいことを突き詰める必要はありません。
私もワンストップを謳うブラック証券会社で少しだけ働いていましたが、金融や投資の知識は身につく気がしませんでした。
最初は「〇〇 評判」で検索するだけでも構いません。
そこで出てきたワードを更に検索するなどを繰り返して知識を少しずつ増やすだけでだいぶ違ってきます。
そしてもうちょっと体系的に学びたいと思ったらそれっぽい本を探せばいいんです。
私はお金周りの全体像を知りたくなったのでFPの勉強をしました。
FPの資格で稼げるようになるわけではありませんが、少なくとも無策でセールスに丸め込まれるようなことは今はありません。
一攫千金の夢は確かに魅力的に映りますが、その前に少し立ち止まって知識をつけるのもいいかもしれませんよ?
記事自体が8,300文字もあるので大目に見て下さい…。
以上です!